正体不明の太古の神
アンクルが怒ってる様な気配を感じ、皆んなギョッとして身構えるが、グラドラスはそんな事を気にする様子もなく眼鏡をくいっと上げると楽しそうな表情を浮かべ質問をした。
「教えて欲しいんだけど太古の神、ヨトスとは何なのかな?」
「ヨトスはアステリアが封じてた神で、誰もあれが本当は何ものか知らないのよ。だから、危険だと判断した私とネルガン、タナクス、ハイダラ、ラスで後を継いで封じてたの。それをバーランドがネクロスの書を使ってネルガンを呼んだ際、隙を見てヨトスを解き放ってしまったの……」
「だから、この世界に顕現できたのか。でもヨトスは神なのに何故、この世界に顕現できたんだい?」
「それは、神と言われてもさほど強い力はなかったから、眷属に近いやり方で来れたのよ。だから、今は何かを触媒にして存在を維持しているでしょうね。最悪は相性の良い身体に魂を移してしまうかもしれないわ」
「へえ、そんな事ができるのか」
「神々が良くやっていたことよ。自分の領域に半身を降ろして普通に生活したり、時にはその領域に作られた世界を統治したりとね」
「箱庭遊びみたいだねえ」
「神々が領域を作った理由なんてそんなものよ」
アンクルがそう言って溜め息を吐くと、リリアナが腕を組みながら呟く。
「私達は神々の遊びで作られた?不愉快かも」
「ああ、ごめんなさいね。遊びと言ってもちゃんと皆んなが幸せになれる様に頑張ってるのよ。でもね……」
アンクルは話してる最中、悲しそうな顔になり黙ってしまうと、それを見たオルトスが舌打ちした。
「ちっ、必ずクズ野郎が生まれんだろ?」
「……ええ、どうしても悪い方向にいってしまう者が現れるの」
アンクルがそう答えるとファルネリアがお手上げのポーズをしながら頷く。
「確かに皆んなが皆んな、善人なんてありえないわよね。そこら辺は気にする必要ないんじゃない?」
ファルネリアの言葉にフランチェスカが頷く。
「わたくしも同意見ですわ。それに神々が万能ではないというのは親近感が湧きますわよ」
「ふふ、ありがとう。なんだか、あなた達と話してたら元気が出てきたわ。この元気を彼にも分けてあげたいわね……」
アンクルはそう言い遠くを見つめる。
するとサリエラがアンクルの表情を見て呟いた。
「もしかして、アンクルさんはキリクさんの事を……」
「ええ、愛してるわ」
そうアンクルが頬を赤くしながら言った瞬間、それぞれがすぐに反応した。
「くうっ!神まで相手なの⁉︎でも絶対負けないわ!」
「なんてこと……。いったいどっちが正妻なのよ?」
「愛人の座は渡さない。つまり、私がある意味一番」
「番の方が偉いんだからね!」
「実に興味深いね」
「ちっ、もう菓子はねえのかよ」
「神と人の恋、あたしとオルトスさん並かもね」
「闇人と人は恋はできるのでしょうか……」
「わたくしも、そろそろ婚約者探しをしないと……」
「はあっ、死人が出ない事を祈ります……」
それぞれが反応した後、サリエラがアンクルの両手を包み込み微笑む。
「私もです。だから、よろしくお願いしますね」
「ええ、一緒に彼を助けましょう」
二人は手を取り合い微笑み合う。
そんな姿を見てファルネリアは難しい顔でどっちなのとずっと呟き続け、ミナスティリアはひたすら二人に闘志を燃やすのだった。
◇◇◇◇
その後、無駄なやり取りがあったが、無事に話しあうことができ、アンクルは蝶に戻ってしまった。
「次回、来るまでに色々と用意してくるらしいから、しばらく連絡は取れないみたいだよ」
グラドラスが肩に止まってる蝶を見つめながらそう言うと、ミナスティリアは立ち上がり頷く。
「まあ、話しは終わったしアンクルが味方という理由はわかったわ。後は上手く濁して上に報告って感じね」
「彼らが良い方向に動けば良いけどね」
「動かなきゃ私が動かすから大丈夫よ。それじゃあ、私達は行くわ」
そう言ってミナスティリア達、白鷲の翼とミランダ達、蒼狼の耳は部屋を出て行った。
それを紅茶を飲みながらグラドラスは眺めていたが、オルトスとサリエラの方に視線を移す。
「君達はどうするんだい?時間まで好きにやってて良いよ」
「じゃあ、俺は一杯引っかけてくるかな」
オルトスはそう呟くと、さりげなくテーブルの上にあったお金をポケットに突っ込み部屋を出て行った。
するとそれを見ていたアリスがグラドラスを見るが、グラドラスは苦笑いしながら首を振る。
「いつもの事だから気にしなくていい。それより、サリエラ嬢はどうするんだい?もしかして僕から魔法を学びたいのかな?」
「えっ、なんでわかったんですか?」
「もっと、強くならないとって顔に書いてあるからね」
「……はい、無理かもしれないですが、カーミラの張るあの結界を私の力だけで壊せる様になりたいです……」
「なら、多重魔法を覚えてみるかい」
「多重魔法ですか?」
「使いこなせば密度の濃い魔法が使える。つまり当たる面積にかかる力が強くなる」
「つまり、結界を破壊できる可能性が?」
「精霊の力を使わなくても可能になるかもね。それに武器も強くしよう」
グラドラスはそう言うと、旧ロメリア文明文字が刻まれた剣を見つめていると、サリエラが迷ったような表情をしながら質問しだす。
「……キリクさんは何故、アレス様のお姿になったのですか?」
「おや、言わなくても、もうわかってるかと思ったけどね。まあ、それは本人に聞きなよ」
「……はい」
サリエラは頷いた後、ポケットから黒い花の形をしたバレッタと指輪を取り出し見つめる。
キリクさん……。
無事でいて下さいね。
サリエラは心の中でそう呟くと二つの宝物を愛おしそうに、そっと撫でるのだった。
________________
※ただいま、超下手な文章を少しだけ直してる最中です。
ちなみにいつ反映されるかは未定です。
特に話しが変わる事はないですが以下のよう
・五章をまったり編集しています。(一、二、三、四章済)
・ページタイトルの変更
・話しの辻褄合わせ(文章が増えたり減ったりします)
・街は全て町に変更
・首都を変更 例、レオスハルト王国→王都
・メイン級の登場人物に苗字みたいなものを追加
・その他色々
以上です
すみませんがよろしくお願いします!
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よろしくお願いします
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