第三章 巫女

15

 レイトは夢を見ていた。ああまたこの夢かとレイトは思った。


 そこには黒い影があった。


「やあ、レイト」


 影が話しかけてくる。


「まっていたよ。調子はどうだい?」


「悪くはないよ」


 そうレイトは答えた。

 

「それは良かった。大切な体だからね。大事にしてもらわなきゃ困る」


 なぜ影が困るのかレイトにはわからなかった。


「君は力が欲しいかい?」


 レイトはすぐさま応える


「ああほしいね。ネイナを守れるぐらいの力が」


「そうかそれは良かった」


 そういって影は笑う。


「君は強くなれるよ」


「ほんとうに?」


「ああほんとさ。君はいつか強大な力を手にする。世界を壊してしまえるぐらい強大なね」


「……世界を壊したくはないな」


 影はまた笑う。


「そうだろうね。君はそれでいいよ」

 

 レイトは何かおかしなことを言っただろうかと考える。


「お前はだれなの?」


「僕かい? さてなんだろうね」


 影はいつもその質問には答えない。


「そろそろ目覚める時間だよレイト」


 どこか遠くからネイナの声が聞こえ始めた。


「また会おう」


 影がそういうと同時にその夢は霞んで見えなくなっていった。

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