第二章 聖獣
08
『ケモノ』はずっと息を殺して生きてきた。
親を殺された。兄弟を殺された。仲間を殺された。その痛みにずっと耐えて、暗闇の中で報復の牙を研ぎ続けてきた。
やがてケモノは成熟した。その体躯は巨大で獲物を捻り潰す。その爪は鋭く肉を引き裂く。その口は笑うように大きく裂けて獲物を丸呑みにする。
ケモノは思う。時は満ちた。やっと、やっと奴らを殺せる。奴らの頭を噛み切って血を飲み、肉を咀嚼して嚥下する。その喜びにケモノは打ち震えた。だが焦ってはいけない。奴らを根絶やしにするために少しずつ、少しずつ殺していこう。まずは子供だ。
ケモノは闇に潜んで、獲物を探した。そして子供の群れを見つけ出した。
ケモノは舌なめずりする。さあどうやって殺してやろうか。なぶってなぶりたおして生きたまま丸呑みにしてやろう。ケモノは笑みを浮かべる。下卑た笑み。それはどこまでも醜い。
さあ復讐の幕開けだ。
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