第17話 ご奉仕しちゃうのです!

「ご奉仕……?」

「サクさんのためにぶっちゃけて言うと、性欲処理なのです!」


 え、なにそれ? そういうしきたりだったの? ってことは、もしかして昨夜はあたしがやらなきゃいけなかったってこと? あ、でもあたしは最年長扱いなんだっけ? それはそれで、まだ納得してないけど……。うーん、なんかもう、色々よく分かんないや……。


 でも、性欲処理って……つまりはそういうことだよね……? えー、めっちゃ恥ずかしいんだけど! でも、断ったら断ったで、この先気まずくなりそうだし……これはもう、郷に入っては郷に従うしかないのかな……。


「そ、そういうことなら、お願いしようかな……」

 うわー、言っちゃったよ! どうしよう! 激しく後悔なんだけど! よし、ここは順番を最後にしてもらって、他の二人がどんな感じでやるのか見ることに……


「ボクはいいや。性欲ないから」

「はい、知っているのです! クレアさんには殺人欲しかないのです!」

 え……?


「オレもいいや。自分でやる」

「了解なのです!」

 え…………?


 ちょっとおぉぉ、一人だけがっついてるみたいになっちゃったじゃん! 断ってもいいのなら先にそう言ってよー!


「待って! やっぱりあたしもいい……ぐえ」

 目をらんらんと輝かせてあたしのベッドに飛び移ってくるスモモちゃんを慌てて押し戻そうとするも、逆に押し倒されてしまった。重力が弱いはずなのに、全身でうまくホールドされてしまって全く動けない。っていうか、顔近い!


「遠慮はしないのです! さっきお願いされたのです! キャンセルは不可なのです!」

「いや……えっと……じゃあ……お願いします」

「了解なのです!」


 結局、スモモちゃんの押しの強さに負けてお願いしてしまった……と思いたいところだけど、残念ながらそうじゃない。実は、性欲のことを意識させられて身体が火照り始めていたところに、今の濃厚なスキンシップでとどめを刺されて……まあ要するに、ムラムラしちゃって収まりそうになかったのだ。


 ぶっちゃけ、自分でやった方が気分的には楽なんだけど(なんか悪いし、恥ずかしいし!)、ルームメイトがいる部屋で一人でやるのもそれはそれで超絶恥ずかしい。だったらまだ人にしてもらった方がましかな、という究極の選択をしたというわけだ。


「あ、でも、指は入れないでね……。その、初めてだから……」

「うにゅ? ってことは、千歳の処女なのですね! すごいのです! 魔女なのです!」

「ちょっと! 恥ずかしいからやめて!」

「未経験を恥じる必要はないのです! 何事も最初は初めてなのです!」

「いや、未経験なことじゃなくて、それを大声で言われるのが恥ずかしいんだけど……」

「大丈夫なのです! クレアさんは既に大いびきをかいて寝ていますし、ミラさんはPDに夢中で何も聞こえていないのです!」

「ああ、聞こえてない」

「ほら、聞こえていないのです!」

 いやいや、思いっきり聞こえてんじゃん……。ま、いっか、もう聞かれちゃったし……。っていうかクレアちゃん、寝つき良すぎでしょ……。


 その後、文字通り一瞬で服を脱がされて、あんな場所やこんな場所を撫でられたり舐められたりしたわけだけど……控えめに言ってやばかった。自分でやるのとは雲泥の差の快感に、恥ずかしさなんて感じる暇もなかった。


 同性ならではの知識と感覚を最大限に駆使して絶妙なポイントを絶妙な力加減で刺激してくるもんだから、あっという間に何度もイかされてしまったのだ。


 多分、男の人で同じことができる人はいないんじゃないかな。この先、男の人と付き合うのが馬鹿馬鹿しくなってしまいそうな、電流のように猛烈な快感が何度も全身を駆け巡った。


「スモモちゃん! もう無理! 無理! 次はスモモちゃんの番!」

 二十回目だか三十回目だかの絶頂を迎えたところであたしは叫ぶ。さすがに、これ以上は身体がもちそうにない。


「うにゅ? 私は最年少だから自分でやるのです!」

「そんな堅苦しいこと言わないの! ほら、服脱いで!」

 っていうか、あたしだけ裸見せてんじゃん! ずるいよ! 見せろー!


「ふふー、そんなに言うなら、十秒以内に私の服を脱がしてみるのです!」

「おっけー」

 あたしは素早くスモモちゃんのPDを出して、ホーム画面にある「DATSUI」ボタンを長押しする。


「はふー!? なんで服の脱ぎ方を知ってるですか!?」

「えへへー、さっき見つけたんだー」

 なぜかローマ字表記だからなかなか気づかなかったけど、気づいてしまえば何のことはない。だって、押すだけだし! どうやら、さっきベッドの陰でこっそり試したのはバレていなかったようだ。


「ふえぇ、ずるいのです! セイウチなのです!」

「失礼ね! 不意打ちでしょ!」


 うん、そんな失礼な言い間違いをする子にはおしおきが必要だね! あたしは逃げようとジタバタするスモモちゃんを捕まえて、さっきされたのと同じように全身でがっちりとホールドした。


 目の前には、恥ずかしそうにぎゅっと目をつぶったスモモちゃんの顔。かわいいー! そして、さっきと違って二人とも全裸だから、お胸とお胸がダイレクトにタッチしている。よし、まずはこの小ぶりだけど形のいいおっぱいを……


「ひゃわわー、女の人に触られるのは初めてなのです!」

「あ、ってことは経験済みなんだ! じゃ、指入れても大丈夫だね!」

「はうぅ、失言なのです!」

「ふふふー、覚悟はいいかな?」

「よくないのですー!」


 よーし、本格的に攻めるぞー! こんなことするのは初めてだけど、同じ女の子の身体だし、なんとかなるよね!


 ——この辺をこんな感じで舐めればいいのかな?


 ——お、こっちの方が気持ちよさそう! スモモちゃん、反応が分かりやすい!


 ——わぁー、指ってこんな奥まで入るんだね! 女の子の身体って不思議!


「もうダメなのですー!」

「まだまだぁ!」

 やばい、楽しい! スモモちゃんが感じてくれて嬉しい! 人をイかせるのって、こんなに気持ちいいんだね! スモモちゃんが乗り気だった理由が分かった気がしたよ。


「ふにゅう! サクさん、実は経験豊富だったのです!」

「いや? ほんとに初めてだよ?」

「ふえぇ、初めてでこの絶技は規格外なのです! やっぱり魔女なのです!」


 えへへー、褒められちゃった! っていうか、こんなに楽しいとは思わなかったよ! 始める前はあんなに躊躇してたのが嘘みたいだね!


 と、そんな思考に気を取られて一瞬手が止まった次の瞬間——


「これ以上ヤられるわけにはいかないのです! 反撃を開始するのです!」

「え、ちょ!? きゃあーーー! 無理無理無理ーーー!」


 ——数分後、あたしの理性と意識は完全に吹っ飛んだ。

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