第110話 地震

かーえろ。

最近は暑くなって、ヒートテックも要らなくなった。


「むぅ。家遠い」


今日は、学校で謎のテストがあったせいでさやもクタクタ。


「あー疲れた」


まず、何がおかしいって3教科のテストを受けて学校終わり。

何でだ!


もう、学年末考査はやっただろ!


このテストは成績にも入らない奴だから大体みんな適当にやって寝たりしてる。


ちなみに、まだおかしいことがある。

一教科90分って長すぎなんだよ!

期末テストでも50分だぞ!


と、言うわけで俺らはあまり機嫌がよろしくないのだ。


「なんか、甘いもの買って帰るか」


「ん」


めんどくさいテストを頑張った自分へのご褒美だ。


帰り道から少し逸れてコンビニへと足を進める。


「さてと、何にしよっかなー」


スイーツコーナーを眺める。


「これにしよ」


俺が選んだのはシュークリーム。カスタードと生クリームの二層構成。


「これ」


さやが選んだのは、モンブラン。カップのケーキだ。


「へいよ」


さやから受け取り、会計を済ませる。


「よっし、帰って食べよ」


「ん、楽しみ」


家へと帰り、紅茶を入れる。


スイーツ系はやっぱり紅茶。

そういや、最近よく紅茶飲むなぁ。

まあ、嫌いじゃないからいいけど。


「いただきます」


パク!


ウメェー


コンビニスイーツってのはいいものだ。


「ちょーいとちょうだい」


「ん。あげる」


ほう、なかなか。


「ほれこっちも」


シュークリームを差し出す。


「ん。おいし」


あんまり大きくないから、すぐに食べ終わった。


スイーツを食べてからしばらくの間グータラしながら時間を過ごす。


「周」


「ん?」


「くる」


「何ぐわっと」


地震か。


「キャ!」


体勢を崩したさやを受け止める。


結構揺れるな。


「うー」


さやは、地震苦手か。

まあ、俺も好きじゃないし、子供の頃あった地震のせいでちょっとトラウマ。


強く抱きしめてくるさやをそっと抱き返す。


「止まったね」


「ん」


テレビをつけて地震の情報を確認する。


震度4弱。そこそこ揺れたもんな。


これで明日学校なくならねーかなー


「家具の固定しててよかったなー」


多少物が落ちたりしたものの、お皿とか割物は大丈夫そう。


「うちしてない」


「見てみよっか」


今度はさやの家をチェックする。


「大丈夫」


「だね」


何と言うか。何もなさすぎて。

落ちるものがなかった。


物少なすぎだろ。


揺れは一度だけで、その後は特に余震はなかった。


「てかさ、こーゆー時何でこれ鳴らないんだろ」


「ん」


スマホを見ても特に何も通知きてない。

緊急地震速報さん…


プルルルル


電話がなった。


「どしたん?」


『だーすげーでー』


優から電話がかかってきて花音の声が聞こえた。


「どしたの?」


『優の部屋が崩れた』


何となく察した。


「いろんなもの積んであったもんな」


荷物大量な優の部屋は見事に崩れたか。


「ちょっと手伝い行くか」


「ん、いく」


何でも親がいなくて2人っきりで動けないとか。


「何だこれ」


積んであった漫画や、何やらが散乱してすごいことになってる。

ちなみに、優と花音は布団に敷かれてその上にガラス瓶があったせいで動けなかったらしい。


「ほれ」


ガラス瓶をとってやる。


「ふーやっと動ける」


「ったく、危なく割れるところだったぜ」


そんなに大事なものだったんかい。


「んで?何で優は上裸なんだよ」


「花音に襲われてました。はい」


「花音さん?」


「腹筋を触ってました」


謎だ。


俺が変人を見る目で花音を見てると。不満そうに見返してきた。


「えーさやちゃんだって、周の腹筋触りたくない?触りたいよね!」


「ん。触りたい」


ほとんど言わせただろ。


「だよねだよねーいい腹筋してそえへ、えへ、えへ」


うわ、きっしょ。這い寄ってくんな。


「むーだめ。浮気良くない」


「ちぇー」


いじけた優は自分のお腹を突いてるし、なかなかカオスな状況。


「そんじゃ帰るぞ。さっさと部屋片付けろよ?」


「へーい。花音手伝って」


「うーん。優腹筋腹筋」


「先片付け」


「えー」


何だ、この腹筋マニアは…


ここにいるとさやが汚れちゃう。早く帰ろ。



「周の腹筋触っていい?」


「…影響出るの早くない?」


「だめ?」


「いいよ」


その顔で迫られちゃうとなー、断りきれない。


「ふむふむ。硬い」



「カチコチ」


ツンツンさわさわ


触り方がなんかなぁ。


ちょいくすぐったい。


「んじゃ、今度俺触る」


「ん?」


ぷにぷに、いつも通りいい触り心地。

無駄のない脂肪にほどよいふにふに感。


「たまらん」


「?最近甘いもの食べすぎてちょっとやばい」


そうかね?


「どこが?」


「お腹とか、二の腕」


確かに、二の腕は…前より柔らかいかも。


「…触りすぎ」


「ああ、ごめん」


「胸にはつかないのに…」


ボソッとした声を俺の耳が拾ってきた。


うん。俺は何も聞いてない。


そう、俺は知らないのだ。さやが寝る前にスマホで胸を大きくする方法を調べてたことも。花音に揉むと大きくなると聞いて自分で揉んでたことも。


小さいのも嫌いじゃないよ。


「さてと、夕飯を作りますか」


「キャベツ、鶏肉食べたい」


キリッ!って。


「キャベツと鶏肉かぁ」


まあ、考えてみるか。




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