第107話 優の痛い出費
「ホワイトデー何にするか決めた?」
学校終わり、俺のもとに優が来た。
「まだ買ってないわ」
「一緒に行かね?」
「いいよ」
そういえばホワイトデーも近かった。
ちょうど買いに行かなきゃ行けなかったしちょうどいい。
学校帰りに少し寄り道してデパートに行く。
ホワイトデーが近いこともあってお店はホワイトデーの品がたくさん売ってる。
「何買おっかなぁ」
特に何も決めてないんだよなぁ。
「お菓子とか?コスメとか、女物なんか買えばいんじゃね?」
「そんあ簡単には選べないっての。優は決まってんの?」
「まだ」
決まってないのかよ。
ホワイトデーコーナーで物色する。
「そーいや、花音にももらったんだった」
「俺、成瀬に貰ってない」
「どんまい」
いじけるなよ。
「花音はこれでいっかな」
近くにあったマカロンを手に取る。
「いいね。俺も食べれる」
お前が食べたいだけだろ。
「まあ、いいや」
あとは、さやの分。
「これいいかも」
優が手に持っていたのは、香水。
わお、オシャンティだな。
ケースがおしゃれ。
「お菓子作るってのでもいっか」
そっちの方が安上がりな気がする。
マカロン無駄に高いし。
「おい、俺のマカロンは?」
「お前のじゃねえーし手作りにした」
「ほうほう…周のうまそうだからそれでいいや」
めっちゃ上からですねぇ。
「これいいかも」
手にとったのはバスボム。
見た目も結構いいし、匂いもいい。
これにしよ。
これだけじゃ味けないしなぁ。
「これは?めちゃくちゃ映えじゃね?」
ネイルオイル?
何でも、爪のケアができるらしい。
それよりもとにかく見た目が映えを意識してる。
小さい花が透明な瓶の中にたくさん入っていてインテリアにもなる。
「お値打ちだしそれも買うか」
「俺も買おー」
バスボムとネイルオイル合わせて、3000円弱。
いいね。
優の選んだ香水は一つ6000円を超えていた。
お会計の時の優の引きつった顔はめちゃくちゃ面白かった。
「さて、お菓子を何作るか…よし決めた」
食品売り場へと移動し必要なものを買っていく。
チョコ、バターはある、砂糖もある、卵はあるけど買ってく、薄力粉、ココアパウダーっと。
「喉が渇いた」
「わかりみが深い」
…最近乾燥してるよね。
「お、絶滅危惧種のタピオカじゃん。飲まね?」
優が、デパートの中にあるタピオカ屋を指差す。
「いいよ」
絶滅危惧種ってな…
まあ、駅の近くにあったタピオカ3、4軒あったのいつの間にか全部消えてたんだよなぁ。
「何にする?」
「俺はシンプルにミルクティーので」
「んじゃ俺も」
結局シンプルが一番うまいってね。
お金を払い商品を受け取る。
「…高い」
「あはは…」
今さっき、結構な出費をした優にはなかなか痛手な値段ではあった。
「そこ座るか」
近くにあった、テーブルに腰を下ろす。
「ふーなんか疲れた」
「…」
優が俺ではないどこかをじーっと見ている。
「どした?」
優の見てる方を振り返ってみる。
「あれ、花音とさやだよな」
「やっぱお前もそう思う?」
俺らの視線の先には楽しそうに一緒に歩いてるさやと花音の姿が。
「てか、こっちくるんじゃね?」
「だな」
優がハンドサインで移動する先をさす。
(OK)
いつもなら、2人と合流してもいいんだが、今日はホワイトデーのプレゼントを買った。せっかくだから当日まではバレたくない。
2人の視界に入らない等に移動していく。
側から見たら、ただの不審者なんだよなぁ、俺ら。
優の指示で2人が見てないうちに上の階に移動することになった。
そういえば、2人は何しにきたのかな。
気になって後ろを振り返ると花音と目があった気がした。
「ヤッベ、花音と目あった」
「おいごら…何やっとんじゃ。うわ、こっちきた」
「いくぞ」
「おう」
足早にその場を離れて、花音たちの視界から抜けたところで全力ダッシュ。(タピオカをこぼさない程度に)
「振り切ったか?」
「おそらくわ」
「ふぅ、もっと喉渇いた」
「とりあえず、飲みながら帰ろう」
…疲れた。
「買い物付き合ってくれてありがとさん」
「こちらこそ」
優と別れて、家に帰りお菓子の準備を始める。
さやから、花音と夕飯を食べる旨の連絡が来たので、先に作っちゃうことにした。
ちなみに作るのはガトーショコラ
ボウルにバターを入れて泡立て器で混ぜる。
しばらく混ぜたら砂糖と塩を入れる。
混ぜ終わったら卵黄をIN
溶かしておいたチョコも入れる。
お次は、メレンゲ。
卵白を泡立て器で混ぜる。
砂糖を入れる。泡がいい感じに細くなるまで混ぜていく。
あってよかった電動泡立て器。
そしたら、さっき作った奴とメレンゲを混ぜてく。
型に流したらオーブンで40分。
その間に夕飯のチャーハンをパパッと炒めて食べる。
「んーうまい」
このパラパラ感たまらん。
ちょうど食べ終わった頃オーブンのアラームが鳴った。
「できた」
ちゃんと焼けてるね。
粗熱をとってから、冷蔵庫に入れる。
六当分して一切れ食べてみる。
「うっま。え、うっま」
これはなかなか…なかなか美味しすぎる。
全部食べそうになったので一切れ食べたら冷蔵庫に戻す。
ふぅ。危ない危ない。
使ったボウルやらを片付けているとさやが帰ってきた。
「ただいまー」
「おかえり」
「なんかいい匂いする」
あ。
「そう?」
「ん」
「夕飯何食べてきたの?」
話を変える。
「カレー食べた。辛いの」
「美味しかった?」
「ん。出来立てナン美味しかった」
「そりゃよかった」
人のご飯の話聞いてるとこっちも食べたくなってくる。
「そういえば、今日デパートいた?」
…おうふ
「行ってないけど…」
「そう?花音が見たって」
「…人違いじゃない?」
「まあ、いいや」
助かった…
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