第104話 勉強会

「これより、学年末考査に向けた勉強会を始める」


花音の号令の元、俺の家で勉強会が始まった。


ゆうは人前では勉強したがらないので、今日はさやの専任教師。特にさやがやばい。進級できないのは流石に困る。


後輩が彼女ってのは憧れるけど、落第で後輩になるのは流石にやだ。


俺と花音は落第はないので、いつもどおりやる。


「ここなんでこーなんの?」


花音が数学の問題がわからないらしい。


「あーそこはね」


俺は結構数学は得意な方なので、任せて欲しい。

逆に暗記系がすごく苦手。


花音に教え終えてふとさやの方を見る。

…近い。2人の距離が近い気がする。


「どしたの?」


花音が覗き込んでくる。


「何でもない」


勉強に戻る。


「もしかして、優に妬いてる?」


「妬いてない」


「妬いてんじゃん」


「焼いてないってぇの」


花音のほっぺを引っ張る。


優に怒られた。

さやにもジト目で見られた。


「勉強をしろ。彼女に手を出すな」


「「はーい」」


花音に教え教えられながら勉強を続ける。

お昼もてきとーに作ってぱぱっと食べる。

俺らの勉強会は意外とちゃんと勉強している。



疲れたー



流石にそろそろ疲れてきた。

15時過ぎ。棚から持ってきたお菓子を食べながらおしゃべりしながら課題を進める。


「はぁぁぁああ」


優の大きなため息をついた。


「うるせぇ」


優とさやは、まだちゃんと勉強をしていたらしい。

これは悪いことをした。


「疲れたし、帰る」


「ちょっと待ってよー」


花音は急いで荷物をまとめる。


「もしかして花音と周がおしゃべりしてたのに、妬いてる?」


「なわけ」


「あー嘘ついてるー」


「うっせ」


どーやらそう言うことらしい。


「どうだった?優先生の授業は」


「わかりやすかった」


「そりゃよかったな」


なんか盗られた感。


これで、成績上がるといいな。


「周は花音と楽しそうだったね」


ん?言い方に刺がある。


「さやだって優と楽しそうだったろ?」


…やっちまったぁ


「ふん」


なーんで言い返しちゃったんだろぉ。


さやは不機嫌そうに俺の部屋に入っていった。


…帰るわけじゃないんだ。


トントン。自分の部屋を叩く。初めての経験だ。


「何?」


「入っていい?」


「ん」


すんなり入れた。

さやは、ベットで横になり俺に背を向けていた。


「ごめん」


あれ、さやから謝られちゃった。


「こっちこそ、ごめん」


「きて」


さやに手招かれる。


「どしたの」


さやと向き合って座る。


…何事。



「私達も勉強会しよ」


「…どゆこと」


「ベットの上の勉強会」


…は?


「いやいやいやいや。さやさん?何言ってるんですか?」


じりじりと近づいてくる。


「あ、ちょ、そこは」


「ふむふむ、ここ?」


さやが楽しそうに攻めてくる。攻められるのはあんま好きじゃないんだけど。




「あ!あはははははは」


なぜだろう、俺は今さやにお腹をくすぐられている。


「ここか?ここがいいのか?」


すんごく棒読みだなぁ


「ちょ、まじ止めろ。あははは」


俺はくすぐられ続けた。

ちゃんとくすぐり返してやったとも。

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