第103話 巨大パフェ

花音からの情報で、駅近くのカフェで巨大パフェが期間限定であるとか、さや現在ダイエット中にも関わらず食べにいくことに。


でかいらしいので、朝は抜いてきた。

とは言ってもパフェ。甘いものは結構いける口なので。大丈夫だろう。


目当てのお店についた。


「いらっしゃいませ。何名様ですか?」


「2人です」


店員さんに案内されて席につく。


メニューを見る。


「あった」


さやがメニューを指差す。

メニューには、大きく『期間限定!』と大きくかかれパフェが載っていた。


「食べたい」


目をキラキラさせながら訴えかけてくる。


まあ、これ食べにきたからな。食べない訳ないんだが。


「飲み物とか大丈夫?」


「コーヒー、ブラック」


パフェだけじゃ、口の中大変なことになりそうだし。


「だな」


店員さんに、注文を伝える。2人前サイズのパフェを一個と、コーヒーを二つ。


しばらく待ってると、想像より遥にでかいサイズのパフェが出てきた。逆三角形のカップのせいで、無駄に高い。のせいですんごくでかく見える。


「これ本当に2人前か?」


「4人くらい行けそう」


「…だな」


ちなみにだが、カロリーは1000を優に超えている。

これからのダイエットが大変そうだ。


「と、とりあえず食べよう」


早く食べないと、上に乗ったアイスが溶ける。


「ん」


「「いただきます」」


パフェ専用の長いスプーンを持って戦いを始める。


さすが、パフェ。甘い。甘い。甘いの三拍子。

特に上の部分。アイスクリーム、生クリームにチョコケーキ。ダメ押しにチョコソース。甘い!


「美味しい」


「だな」


この甘さこそパフェ。たまにはいいねぇ。

まだまだ、行ける。がんばってくれよ胃。


「ん」


さやが、アイスを掬ってこちらに差し出してくる。


食べろと?


アイコンタクトできくと、うん。と頷かれた。


余計に甘いわ!


これは本人にも味わって貰わねば。

コーヒーを一口飲んで、甘いのを中和させる。


「ほい」


俺も掬ってさやのほうに差し出す。


「…なんかすんごく甘い」


でしょ?


「やっと、一番上食べ終わった」


逆三角形だから一番上が一番量があるんだろうがやっとカップの中を食べ始める。そう考えるとこの先が怖い。


カップの中はクリームにアイスにコーンフレーク。


甘さは止まらない。


「…きっつ」


そろそろ自分辛いっす。


甘いものは好きだけど、やっぱ適量ですね。

いっぽうのさやはまだまだ行けそう。

パクパクとアイスを食べてる。

寒くならないのかよ。


俺は、胃が完全に冷えた。

追加でホットコーヒを頼む。


中層を食べ終わる頃には俺はもうほぼ限界。

さやは、限界ってほどではないものの。これ以上は食べたくないって顔をしていた。


「あと…少しだな」


「…ん」


「ちょっと休憩するか」


「…ん」


しばらく休んでから食べるのを再開する。

下層は生クリームにフルーツ、コーンフレーク。


フルーツとは言ってもフルーツ缶のやつだ。

酸っぱいと言うより甘い。甘すぎる。


まあ、生クリームとは違った甘さなのは唯一の救いだが。


「あと、ちょっとがんばろ」


「うん。食べさせて」


何でも食べさせてくれれば食べれるらしい。


「ほい」


あむ。


「ほい」


あむ。


「ほい」


あむ。


「ひゅぎ、ひゅうのばん」


そう言う作戦ですか。


「3回分」


さやのスプーンから3回分食べる。


「…あと…ちょっと」


「う…ん」


あと5口くらいだろうか。


そう考えたら頑張れそう。


パクパクと一気に食べきる。


「「た、食べ切った…」」


「動きたくない」


「寝たい」


店員さんにお茶を頼んだ。

もう、コーヒーも飲みたくない。

シンプルにお茶がいい。


俺とさやが食べた量は1:3くらいでほとんどさやが食べてた。


俺は10分くらいでだいぶマシになってきたが、さやはまだ意気消沈してる。


「大丈夫?」


「やばい」


だそうです。


「吐きそう」


「まじ?」


「嘘」


嘘かよ!


とりあえず、帰るか。ここにいても仕方ないし。

会計を済ませて、さやをおんぶする。


「花音すごい。これ結構恥ずかしい」


あの時は幼児化してたからなぁ。


顔を背中に埋めて周りの人から見えないように隠した。


「さて、いくか」


ちなみにだが、パフェ自体はそこそこの値段だったんだが追加しまくったドリンク代が嵩んだ。


悲しい。


なんかしょっぱいもの欲しいな。

でも食べたくはない。

胃に入れたくない…


遅い足取りで家へと向かう。


足重い。いや、背負ってる物がイテテテ


「つねらないで?」


「ん」


何とか、家に着くとサヤをベットに転がして俺も横たわる。

ご飯食べて横になるのはよくないのはわかってるんだが。仕方ない。気持ち悪いし。動きたくない。


「はぁ」


なんか、ため息が出る。

美味しかったんだが…多かった。多すぎた。


しばらく甘いのはいいかなぁ


そう思いながら目を閉じ意識を手放した。



目が覚めたのは首元に痛みを感じたから。


目を開くとさやが俺に覆いかぶさり、血を吸っていた。


「さや?」


「吸血…衝動」


そういや最近吸って無かったし。仕方ないのか?


ぷはぁ


「ハァハァ」


上気して少し顔が赤い。


「どしたの?」


そしてエロい。


「なんか、久しぶりだったから…やばい」


「大丈夫?」


上半身を起こして、俺に馬乗りになってるさやの肩に触れると


ッビクン


とはねた。


…あれれ?エロいよ?


「ちょっとやばい」


俺もやばいよ?


さやは、ベットから降りて歩き出す。

心配になり、後ろをついてく。


「帰る」


「あ、はい」


荒い息遣いのまま、少しフラフラしながら帰っていった。


何だったんだ?


不思議に思い。雫さんに電話相談することにした。


『あーそれは多分。あれね。血吸って敏感になっちゃったんじゃない?』


「今まで、なかったんですけど」


いつも飲んでも普通だったし、こんなことになったことはなかった。


『久しぶりだったんでしょ?吸血鬼ってもともと感覚鋭かったりするけど、血飲んでないと普通以下なの。だから、久しぶりに飲んじゃうと急に感覚が鋭くなって体がついていけない感じ』


なるほど。よくわかんないけどわかった。


「なんか、したほうがいいこととかあります?」


『そっとしといてあげれば大丈夫よ。うふふ』


何その笑い怖いんだけど。


「わかりました」


『今手出したらダメよ。やれるけど血全部吸われるから』


何それ怖い。


「そんなことしません」


『簡単に言えば発情期ね』


「もう、いいです」


ツーツーツー


何であの人楽しそうなんだよ。


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