第99話 俺死ぬ?

「ミーツーケーター」


やっぱここで合ってた。んだが、誰だあいつら。

てかやばい…めっちゃ足疲れた。

嫌な予感したからめっちゃ走ったせいでもう足ガクガク。


「なんだてめぇ」


めっちゃ悪役っぽいセリフだな。


俺の女に手出したな…お前ら絶対殺す。


…あ、まって足まじで動かない。


「…すいません。どうかその子を離してください」


頭を下げる。

ああ、殺してぇ。


「ははは!おい見ろよ。お前の彼氏頭下げてるぞ?だっせ」


「優…」


今にも爆発しそうな苛立ちを全力で押さえつける。


「お願いするなら土下座しろよ」


…ッ


地面に正座して頭を下げる。


「うわ、まじでやってやんのきっしょ。まあお願いされても離さないけど」


俺の頭に足を乗せる。

はぁああ殺したいなぁああ。


「まじで、お願いします」


「やだよ」


「本当に、これが最後。お願いします」


「はぁ?何言ってんだよ。いやだって言ってんだよ。聞こえてますかーー?」


頭をグリグリと踏みつけてくる。

禿げる。まじで禿げる。


でも、警告はしたし、足はまあ、いけるかな?


俺を踏んでいる。足をつかんで無理やりどかす。


「おま、何すんだよ」


体を起こして男のお腹に全力のパンチを入れる。


「クハッ」


はースッキリ。


「お、お前こっちくんな」


花音の近くにいた男がこっちに声をかけてきた。


「あ?」


花音の方を見ると男が花音の首元にナイフを近づけていた。



「殺すぞ。今すぐナイフ捨てろ。頭潰すぞ」


一瞬で男に近づき花音の隣にいた男2人の頭を握る。


「わ、わかった」


「今すぐ消えろ」


周りにいた奴らにも威圧しながら言い放つ。


「は、はい」


そそくさとこの場を離れて行った。


「悪い。怖がらせた」


ボーッと立ってる。花音を抱きしめる。


「…うん。怖かった」


「そーだよな」


「怖かったけど、怒った優が一番怖かった」


ボロボロと涙をこぼし始めた。


ちょっと傷つくなぁ。


グサ…


「あれ?帰ってなかったの?」


後ろから刺してきた。腹パンした男に聞いた。


「ヒ、ヒィ!」


化物を見たかのように逃げていった。


「ゆ、優。血」


背中に触れると手が真っ赤に染まった。


「ああ、これ…めっちゃ痛えええええ!」


え、まって?死ぬ?俺死ぬ?


「そ、そうだよね」


いや、死なない。大丈夫。大丈夫。

自分に言い聞かせる。


「キュ、救急車呼ぶ?」


「お願いします」


「え、えっと119」


花音が救急車を呼んでいる間に周たちに連絡する。


「もしもし」


『お、見つかった?』


「ああ」


『よかった。んで?声が死にそうだけどどした?』


「背中刺された」


『そんなに花音怒ってたのか』


「いや、ちげーよ」


『まあわかんないけど今どこ?』


「公園。前言ったとこ」


『へーい』


ふぅ。


「呼んでおいたよ」


「ありがと」


あ、これもしかしたら周と入れ違えになるんじゃね?


ま、いっか。


「花音」


ちょっと辛いのベンチに座ってる花音に耳を下にして花音の膝を枕に寝転がる。


「ん?」


「ごめんな」


謝る。本当は長々と話したいけど。ちょっと辛い。


「花音もごめん」


なんで、花音が謝ってんだろ。


「後で、しっかり話そ」


「うん。しっかり休んでて」


「ああ」


体が重い。


「随分と弱ってんな」


「ん。大丈夫?」


周と成瀬がついた。


頼む…


「うん。大丈夫そう」


「喋らないくらいってことか」


…わかってんなら聞くなよ。


「花音大丈夫?」


「うん。あとで優とはしっかり話すよ」


「ん。よかった」


ピーポーピーポー


来たか。


「呼んでくるよ」


周と花音は救急車に場所を伝えに行った。


しばらく待ってると、担架を持った救急隊員がきた。


これで死なずにすんだ…



「知らない天井だ」


もしかして異世界来ちゃった?


気づくとベットの上に寝転んでいた。


「優!」


花音抱きついてきた。


「おっと。いてて」


「えっと。どうなったか教えて?」


抱きついてくる。花音の背中をそっとさする。


花音は涙を拭いて話し始めた。


「救急隊員さんが来てから優が気絶してそのまま背中縫ってもらってたんだよ」


「なるほど、縫ったのか」


うぅ。痛かったー。


気づくと病室には、お母さんと周と成瀬もいた。


「みんな、迷惑かけて悪いな」


「まじで。おごれ」


「わかったっての」


今回はまじで迷惑かけすぎた。


「2人で話したいこともあるだろうし俺らは失礼するよ」


周と成瀬は帰って行った。


「お母さんも帰るね」


「悪い」


察してくれたのか母さんも帰った。


「さて、話そっか」


「うん」


花音はベットに腰掛けた。


「まずは、ごめん。花音がいるのに、他の子と遊んだりして…俺さ、あ別に花音のせいにするわけじゃないけどなんも言われないから勝手に良いって解釈してたんだよな。だから本当にごめん」


花音はじーっと黙ってしっかりと話を聞いてくれた。


「花音もごめんね」


「さっきもだけどなんで花音が謝るんだよ。今回どー考えても俺が悪いだろ」


そういうと少し笑って話し出した。


「まあ、確かに何も言わずに遊びにいくのはちょっとあれだったけど、もともと優のこと縛らないって決めてたの。だけどこの前っ独占欲が爆発しちゃって。だからごめんね」


何この子いい子すぎない?


「ありがと、そこまで独占欲持ってもらえると嬉しいよ。これからは女子と遊ぶのもできるだけなくすし、もし遊ぶ時は花音にいうよ」


花音の頭を撫でる。


「うん…」


照れ臭そうに顔を赤くする。

はーあ。まじ可愛い。


「なんか言いたいことある?」


念のため聞いておく。


「うん。いっぱいあるよ」


ニコっと笑って行ってくる。


「…いっぱいあるのか」


「まず、全然かまってくれない優嫌い」


嫌そうに目を細める。


「そんなに、俺放置してた?」


「他の子と楽しそうに遊びに行ってたのに花音はいっつも家で優ゲームしてるし。最近はましだったけどー」


ムスーっとほっぺを膨らませる。


んーそう言われると確かにそうかもしれない。


「わかった。俺らももっと遊びに行こうな」


「うん!」


この笑顔を守りたい。


「あ、まだあるよ」


「あ、はい」


いっぱいあるんだもんな…


「優モテすぎるの嫌い」


相変わらず嫌そうな顔をする。


「…それはどうしろと?」


「みんなに優しくするから…」


んーそー言われてもなぁ。


「女子には優しくがモットーだからなぁ」


「彼女には?」


「もっと優しく」


「うん」


それで良いのか…結局もとの問題の解決にはなってないんだが。


「じゃあ次、もっと甘やかして」


ちょっといやらしい顔で見つめてくる。


「それは、いつでも可愛がるよ」


頭をポンポンと叩く。


「それはそっちの意味?」


花音は俺の下唇に指をそっと当てる。


「もちろん。どっちも」


花音のほっぺたを触る。


「えへへ」


「まあ、こいつが治るまでは普通に可愛がるよ」


「…あいつぅ」


ちょっと不覚だったなぁ。


「我慢できない」


「君エッチだねぇ?」


「襲うよ?」


俺の上にまたがってベットに押し倒す。


「痛いんだけど」


「あ、ごめんね」


一気に普通の花音に戻る。


「治るまでは我慢して?」


「…はーい」


そんなに残念そうにしないで?

理性飛ぶよ?

傷口開いちゃう。


花音を俺の横に寝させる。


「一緒に寝て良いの?」


「良いだろ?怪我人のわがままだ」


「じゃあ、仕方ないなぁ」


君も満更でもなさそうですけど。


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