第93話 放課後デート

「帰りちょと寄り道しね?」


学校が終わり帰りのHRが終わりさやを誘う。


「寄り道?」


「そそ、ちょっとしたデートもどき」


「ん。行きたい」


カバンに荷物を突っ込んで学校を出る。


「どこいくの?」


「特に考えてないからとりあえず、駅の方いこ」


「ん。わかった」


駅近はなんでもあるからな。


「あ、スタバ行きたい」


「スタバ?いいけどなんで」


「めっちゃ長いやつ頼んでみたい」


「…がんばれ」


スタバの長い名前ってなんなんだろうな。

あんまスタバ行かないからよくわかんないけど。

あれってオプション的なやつを入れまくるってことでしょ?美味しいのかね?


頼む勇気はない。

あと。高そう。


「この前花音が頼んだんだって」


あいつはやりそう。


「美味しいの?」


「甘いって言ってた」


あ、飲んでないかい。


「だからきになる」


「いいんじゃない?」


と、いうことでスタバに来た。


まあ、俺はシンプルに。


「ドリップコーヒーMを一つ」


スターバックスのコーヒーの力見せてもらおう。


「リストレットベンティツーパーセントアドエクストラソイエクストラチョコレートエクストラホワイトモカエクストラバニラエクストラキャラメルエクストラヘーゼルナッツエクストラクラシックエクストラチャイエクストラチョコレートソースエクストラキャラメルソースエクストラパウダーエクストラチョコレートチップエクストラローストエクストラアイスエクストラホイップエクストラトッピングダークモカチップクリームフラペチーノ一つ」


…え、なが!!


ゼーゼー言ってるじゃん。よく一息で言えたな。


「すいません。もう一度お願いできますか?」


店員さんがすごく申し訳なさそうに言ってくる。

うん。そりゃ一回で聞き取れないわな。


「ん」


結局スマホを見せることに。


なんとも言えない…


そして案の定できるのも遅い。


「お、できたっぽいな」


「ん」


あのめっちゃ長いやつを受け取る。


「でかいな」


「ん。思ってたよりでかい」


だな。


「どうだ?味は」


「甘い」


甘い…か


「飲んでみる?」


ストローを向けてくる。


「お、もらうわ」


…あっま。


「これはカロリーやばそうだな」


ふとつぶやいた俺の言葉にさやが青い顔になった。


あ。言わない方が良かったやつだ。ミスった。


ちょっと調べてみるか…


うん。1000超えてる。


「まあ、せっかく頼んだんだから飲も?」


「ん」


にしても、よく飲めるなぁ。

甘すぎて俺飲めないわ。


普通においしそうに飲んでるし。


にしてもスタバのコーヒーってのは意外とうまいな。


みんな、ノートパソコンでなんかしてるよな。

スタバって仕事する場所に化してるな。


「さてどーすっか」


飲み物を飲み終えてスタバを出る。


「夕飯も外で食べちゃおっかな」


なんか作るのめんどいし。


「夕飯何か食べたいものある?」


「さっぱりしてるものがいい」


さっきまでめっちゃ甘いもの食べてたもんな。


「うどんとかでも食べよーか」


とは、言っても夕飯を食べるにはまだ早い。


「さてと、どーすっかな」


「どーしよっか」


デートに誘っといてなんだがすることなさすぎる。

帰って布団で寝たい。



「ちょっと散歩しよっか」


「ん。いいよ」


レッツカロリー消化。


それにしてもあれだな。

今さやが隣にいる。

けど。特にどうとは感じない。


ダメだなぁ。隣にいることが当たり前になってる。

これで痛いめみたはずなんだけど。

昔…いや昔ではないや。数ヶ月前は隣にいるだけで最高に幸せだったはずなんだよな…


慣れって怖い。


特に会話もなくあるき続ける。

するとふとさやの足が止まる。


「どした?」


「綺麗」


さやの視線の先を見ると、ちょうど地平線に太陽が半分沈んでいた。


「…だな」


夕陽なんて久しぶりに見た気がする。

見ている間にも太陽は沈み続ける。

しばらくすると夜と夕焼けのちょうど真ん中。

空が赤と紫で二つに分かれる。


「こーゆーのなんていうんだっけ」


「大禍時」


「いや、何それ」


「魔物に会えるらしい」


それに類似した人なら隣にいるんだが…まあいいだろう。


「ほら、有名な映画の方」


「黄昏時?」


「多分そう」


あの映画よかったよなぁー。


「この景色好きだな」


「わかる」


割とずっとみてられるかもしれない。

とは言っても黄昏時は長くは続かない。


「沈んじゃったね」


「だな」


そろそろ気温も下がってきて寒くなってきた。


「そろそろご飯食べにいこっか」


「ん。うどん食べるー」


そーだな。


駅近くのデパートのフードコートを目指す。


「何階?」


「4階だな」


エスカレーターを使っ4階まで登っていく。

デパートとかでデートするのっていいけどさ。

女性物の下着売り場に出会すとめちゃくちゃ気まずくないですか?


男子だけなら。ウェーイお前入ってこいよってできるけどデートとかだとすごく気まずくなる。

そしてなんでエスカレーターから見える位置にお店があるんだーーー


なんて心の中で叫んでいる間に4階についた。


フードコートってもともと何食べるか決めててもいろんなお店あるから他の食べたくなっちゃうんだよな。


「うどん。うどん」


余程さっきの甘々な飲み物が効いてるのか。

さやはうどん一択らしい。


「俺はどーすっかなー」


ローストビーフ丼とかいうめちゃくちゃ美味しそうなのあるんだよなぁ。

でもなぁ。ラーメンってのもアリだよなぁー


「周早くして」


ウズウズしてもう待てないらしい。


「まあうどんでいっか」


結局うどんにした。

決め手はネギと天かすが無料で盛り放題。

これはうどんしかねえ。


「さやは何にする?」


「ぶっかけうどん」


…なんか…あれだな」


「なんて?」


「ぶっかけがいい」


…やめとこ。これ以上は言わせちゃいけない気がする。


「あったかいの?」


「ん。熱いのがいい」


うん。よろしくない。


「あったかいのね。わかった」


さやは場所取りに俺は注文をしにいく。


「はい。ぶっかけと明太釜玉ね」


ちなみに俺が明太釜玉。


「明太釜玉は大盛りで」


「はい」


注文んを終えて、呼び出しベルを受け取る。


さすがうどん屋さんか。割とすぐにできたようでベルがなった。


「席取りしたはいいけど、結局2人で撮りに行くにいくからあんま意味なかったな」


「ん。確かに」


まあ、空いてて離れたら座る席がないってわけではないから別にいいんだが。


うどんを受け取って、常識の範囲内の量でネギと天かすを入れる。


「さやは入れないの?」


「ネギだけ」


「天かすは?」


「いらない。ただでさえ今日はカロリーがやばいことになってるから」


そう言われると何も言えない。あの飲み物が全ての元凶。


さやはネギを少しとってうどんに乗せる。


対する俺は、麺が見えない。


いや、これがうまいから。


いいんだよ。それに俺はカロリー気にしなくていいし。


たっぷりのネギと天かすに醤油をかけて食べていく。


「「いただきます」」


んーやっぱこれだねー


たまに食べたくなる。


「ずるずる」


さやも美味しそうに食べている。

ほんといい顔で食べるなぁ。


麺を食べ終わってもまだネギが残ってる。

明太釜玉の何がいいって、面を食べ終わってもまだ残ってる卵と明太子それからネギと天かす。これらを混ぜ合わせると普通に美味しいのだ。


うどんとは違ったシャキシャキとした食感に明太子、卵と醤油で普通にうまい。言うなれば、これはお鍋の締め的なものだ。


量が量なので俺の方が食べるのにだいぶ時間を使ってしまった。


「「ご馳走様でした」」


腹一杯ご飯を食べて食器を返却口に返す。


「帰ろーか。だいぶ遅くなっちゃったな」


「ん」


こうして放課後デートらしきものは幕を閉じた。

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