第92話 結婚式
「あのね、あのね。この前親戚の結婚式行ったんだけどさーめっちゃよかったよぉー」
花音がクネクネしながら語っている。
「結婚式ねぇ」
お金かかるよね。絶対。
「めっちゃすごかった。料理とかめっちゃ豪華のでね。会場もめっちゃ綺麗で…」
さっきから優は苦笑いで笑ってる。
「結婚式。がんば」
「あはは…金…金が…」
この花音の話以上のを用意しようとしたら結構やばそう。
「ご祝儀頼むぞ。まじそれにかかってるから」
「…程々に出す」
「まじ頼む」
顔がまじなんだが。
結婚することは大前提なんだよなぁ。
さやは、興味津々に花音の話を聞き入ってる。
「それでね。花音結婚式の時ブーケ取ったんだー」
そう言ってスマホの写真を見せてくれた。
「すごい」
「でしょー。結婚式楽しみだなぁー」
「花音はどんな結婚式がいいの?」
それ聞きたかったと言わんばかりに優が話を聞きにいく。
「ハワイでー、めっちゃ海の近くの教会でやりたい」
優。あご。顎が外れそうだよ。
「あはは。がんばろ。バイトしよーかな」
がんばれ…
「って言いたいところなんだけど。こじんまりとした綺麗な教会がいいかなー」
「別に俺の懐に気使わなくていいんだぞ…」
すでに少し涙目の優が言った。
「あはは。そーゆーんじゃなくて。大きいところだとちょっと恥ずかしぃ」
乙女か!
顔を赤くしながら花音は顔を伏せた。
「よかったな?」
「よし。お金貯めてめっちゃおっきい所でいろぉんな人呼んで盛大にやろう」
さっきまでの涙目の顔とは打って変わってスンゲェ悪い顔してる。
「いや、金は?」
「はぁ?人生一回きりのイベントだぞ。何百万でも使ってやるよ」
あら、かっこいい。
「いや、ほんとにいいから」
「いや。俺はやりたい」
ただただ。花音の恥ずかしがる姿を見たいだけじゃん。
「さやちゃんはどーなの?」
「周に任せる」
「「「えぇ」」」
俺と優と花音の声がハモる。
「周に任せたら多分やらないよ?」
流石にやるよ?
「ちゃんと意見言わないと。大変なことになるって」
大変なことってなんだよ。大変なことって。
「いやちゃんとやるし。別に変にはならないけど。少しは意見頂戴?」
「ん。綺麗な服着たい」
「それは当たり前だよ!」
うんうん。
「綺麗なところでやりたい」
「それもだよぉー」
うんうん。
「人少ないほうがいい」
「へーなんで?」
ふむふむ。メモメモ。
「恥ずかしい」
「だよねー」
なんか共感してる。
「りょーかい」
「周は、どういうの想像してるの?」
「んーんと。やっぱ教会より、神社がいいかな」
「へー意外だね。なんで?」
「さやって絶対ウェディングドレスより着物の方が似合うから」
「迷いなくいうのね」
当たり前だよなぁ。
「でも、さやちゃん。ウェディングドレス着たくない?」
「ん。きてみたい」
「披露宴で着るってのはどうだ?」
「ん。それでもいい」
「花音友人代表のスピーチやる!」
「…ん」
少しの間が空いてからさやがうなずいた。
「え?今の間何?」
「なんでもない」
「絶対そんなことないでしょ!」
まあ。花音何いうかわかんないもんな。
そりゃ言葉も詰まるってもんだ。
「んじゃ、周の方は俺がやってやるよ」
「あ、大丈夫でーす」
丁重にお断りする。
「いや、なんでだよ」
「なんとなく?」
「やらせろ」
うわ、卑猥。
「キャーヘンターイ」
これぞ棒読み。
「おい」
「あんたら何やってんの」
花音とさやから白い目で見られる。
痛いっす。
「元から任せる予定だよ」
「ったく。仕方ねーなー」
嬉しそうですねぇ。
ってか、いつの間にか俺らも結婚すること前提になってるな。
もしこれで、別れたら笑えない。
さやの方をチラッと見るとニコっと笑いかけてくる。
いや、ないな。
俺がヘマしなければ…
「ねえ、君らもう授業始まってるんだけど。いつまでそうやって話してるのかな?」
いつの間にか授業が始まっていたらしく。
周りの人たちからニヤニヤと笑って見てくる。
先生は独身なせいか少しイライラしていた。
「「「すいませんでした!!」」」
(((めっちゃ恥ずかしいんだけど!!)))
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます