第90話 奢ればいいんだろ奢れば!


仕事終わったぁ…


学校が終わって、仕事を仕上げる。

なんとか納期には間に合ったな。


データを送って確認のためにマネージャーさんに電話する。

確認してなくて納期過ぎましたなんて笑えない。

俺の努力の結晶だぞ。


「もしもし」


『もしもし。どーしたの?』


やっぱまだ送ったの気付いてないか。


「仕事終わったのでデータ送っときました」


『あ、確認するわね。ちょっと待ってて』


「はい」


『…全部やってくれたんだ』


全部?


「どゆことですか?」


『いや、一応書いてあったはずなんだけど。ほらこの一ページの分だけでよかったのに』


「…は?」


『まあ、いいわ。よく頑張ってくれたわね』


「この量は流石にきついです」


『それは、あなたのミス』


う…なんで気づかなかったんだろ。


『お給料おまけしとくわ』


「ありがとうございます」


結局もともと4人でやるはずだった仕事を俺1人で全て終わらせたらしく、4人分の給料を全部もらえた。


「まあ、忙しかったけど。こんだけもらえれば許せる」


マネージャーさんから送られてきた。

給料の明細を見てニヤニヤする。


仕事終わったのこの時間は好き。

お金が手に入る瞬間ってのはいいものだ。


ふーんふふーん


ついつい鼻歌も歌ってしまう。


「んで。どんだけもらったんだ?」


「ん?6…なんでお前らいるんだよ」


いつの間にか、うちにはさやに優、花音までもがきていた。


「…何してんだ?」


「周くん。いつもかっこいいと思ってたんだよね。花音と一緒にご飯食べに行かないかな?」


嫌な女か!?


「なんなんだよ」


「俺の彼女寝取られた…」


「寝とってねぇ!」


こいつらめんどくせぇ。


「し、周ぅ…」


さやまで。


「違うから!んで、何が目的だ?」


「お金持ちな周くんにぜひ奢ってもらおうかなーってな?」


「な?」


こいつら。


「ダメ。これは周が頑張ったお金」


さ、さや…


「でも、さやちゃん。おいしい物食べたくない?」


…さや?


「…食べたい」


オイィィイ


「はいはい、わかりましたよ。どこ食べいく?」


「よっしゃぁ!」


「いえーい!」


「わーい」


現金な奴らだ。


「んで、どこいくよ」


「焼肉でしょ」


「だね」


へいへい。


「行きますか」


「タクシーでいこー!」


「それはだめだから!」


あんなコスパ悪い乗り物学生は乗れません。


家を出てお店に向かう。


「何名様でお越しですか?」


「4人です」


「こちらへどうぞ」


ちょっといつもよりお高めなお店です。

俺が全額出すのに…俺が全額出すのに…


席に案内されメニューを開く。


「なーに食べよっかなー」


「俺の財布のこと考えろよ?」


一応言っておく。

ちょっとは手加減してよ?


「まずは、これだな。高級3品セット4人分」


「いいねー」


うわ、こいら遠慮ってもんがねぇ。


「ちょっとは遠慮しろよ」


「まあまあ、いいじゃない。俺の金じゃねーし」


「そーだよ。私のお金じゃないし」


こいつら嫌いだわ。


俺がいやそうな目で二人を見ていると、察したのかちょっとはきづかってくれた。


「じゃあ、食べ放題にしよ」


「そーだね。この全種類食べ放題3時間コース」


前言撤回。一番高級なコースですね。


「まあ、いいよ。それで」


「よ!太っ腹!」


なんか、こいつらめっちゃ食べそうだし。高級なのばっか食べられても困る。食べ放題のほうが安いと踏んだ。


「そのかわり他頼むのはなしな」


全品とはいってもさっき優がいってた高級三品とかは別。


「いいよー。だって、ドリンクもサラダバーもデザートバーまでついてるから」


てんこ盛りじゃねーか。


「はやく、頼もー!」


たしかにおれも腹へった。


グ~


「こ、これはちがくて」


さっきからだまっていたさやはどうやらお腹が限界だったらしい。


お腹をすかせてさやのためにもさっさと頼む。

食べ放題にしたから適当に色々たのんだ。


「サラダバーとりにいくか?」


「ん。いく」


お腹が限界なさやをさそってサラダバーに来た。


「焼肉屋さんはじめて来た」


「あ、そうなの?」


これは意外。


「いつも家だったから」


たしかに。それもそうか。


「ここがサラダバーですきなの取っていいの。このお皿にね」


「好きなの?」


目をキラキラさせてきいてくる。


「そうそう」


「ん!」


いいよね。俺もこーゆーの好き。


特にこのワカメとかの海藻系。


お皿に盛り付けて席に戻る。


「おかえりー」


俺らと交代でこんどは花音と優がサラダバーへ。


「さきに食べてよっか」


隣の子も限界そうだし。


「ん。食べる」


「「いただきます」」


ふつうにうまい。想像以上に新鮮でおいしいね。


「おいひい」


「こちら注文のカルビとタン。それからごはんです」


店員さんが、お肉をもってきてくれた。


「あ。ありがとうございます」


網にお肉を乗せて焼いていく。


「お、焼いてんねー」


ちょうど二人も帰ってきた。


「俺が金だすんだから焼け」


「「だが、断る!」」


…はぁ。おまえらなぁ

自信満々に言うか?


「焼いてみたい」


「お、やってみるか」


焼けたタンをお皿に乗せる。


「とりあえず、たべようぜ?焼くのはそのあとだ」


「ん」


お肉はタンが好きです。


「やっぱこれだなー、お肉とご飯を一緒に食べてる時の幸せ感。たまらん」


「んー美味しいぃー」


幸せそうな顔なことで。


「うんうん。美味しいねー」


「う、うめえ」


まだまだあるんだからそんなに詰め込まないでも。

優はハムスター状態。


「さて、焼いてみる?」


「ん」


優はもう足りないらしく。自ら焼きまくってる。


「お肉は逃げないから大丈夫だよー」


なんか優は、花音に宥められてる。


「いや、腹へったんだわ」


無言で食べ続ける。


「焼いてみよっか」


「ん」


さやにトングを渡す。


「お肉とって網に乗せて」


まだ、カルビが残ってるのでそれを。


「って、優。他ぜんぶ食ったのか?」


「追加で頼んどくわ」


食べ放題にしてよかった。


「そろそろひっくり返そうか」


「ん」


じーっとお肉を見つめてる。


「そこまで見なくても」


「焦げたら苦い」


まあ、そうだけどなぁ


「そろそろいい?」


「いいと思うよ」


お肉をお皿に乗せる。


「こっちあげる」


何枚か焼いていたお肉をくれた。


「いいの?」


「ん」


ありがたく頂戴する。


「ん。美味しい」


「上手に焼けてるよ」


「ん」


嬉しそうにうなずいた。


「お二人さん。俺らもいるんだぞ」


「だぞ?」


花音と優が主張してくる。


「知ってる」


いつの間にか机の上に新たに頼んだお肉が大量におかれていた。


「こんなに食えるのかよ」


「まあ、まかせな」


「うんうん。花音もお腹ペコペコだし」


お前も何気に結構食べてるよな。



ふー食った食ったー。


まさかの、さらにお肉を頼んでそれも食べ切った。


そして現在。デザートを食べてる。


「どんだけ食べんだよ。お前ら」


「甘いのは別腹」


「そーそー。別腹別腹」


「俺は、肉でもいい」


なんだこいつら。


このお店はサラダバーと一緒にデザートバーもついてる。コーヒーゼリーとかフルーツとか、ケーキとか色々ある。


「もう、俺はいい」


「お腹いっぱい。すぎる」


無理して詰め込むからだろ。


「お腹痛い」


アホだろ


「ちょ、トイレ」


お前はまじで食い過ぎ。


帰りの支度をして会計をする。


「はぁ…そこそこするな」


「「ご馳走様でーす」」


「ご馳走様」


人の金で食った飯はさぞうまかったろうなぁ。


「それじゃあ、花音達こっちだから」


「おやすみー」


「お、おやすみ」


優は食べ過ぎでまだ腹痛


花音と優と別れて家に帰る。


「いっぱい食べた」


「だね」


「お腹パンパン」


「明日からダイエットがんばろうな」


「うぅ…頑張る」

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