第88話 レオの散歩
朝目覚ましによって脳が強制的に起こされる。
「うへぇー」
いつもの30分以上も早く起きた。
レオなら行ってこーいと言えば、行って帰ってきそうなものだが、さすがにそういうわけにもいかない。
ベットから出て、全然あったかくならないから仕方なく冷たい水で、顔を洗う。
うわ、目パッチリ。
レオがリードを加えてやってきた。
「待ってな」
色々と着込んで完全防寒状態になる。
レオにリードをつけて家を出る。
雲一つない晴天なのにまだ気温が上がってないのでめちゃくちゃ寒い。
「んーさむ」
さやがジャージ姿で準備運動をしていた。
「何やってんの?」
「あ、おはよ。ダイエットのランニングする」
なるほどな
「おはよ、その格好寒くないの?」
「…すごく寒い」
だろうな。この気温でジャージとか死ぬっての。
「着替えてこい。一緒にレオの散歩行くぞ」
「でも…」
ダイエットのこと気にしてんのかな?
「急にやっても辛いだけで続かねーぞ?まずはウォーキングからな」
「ん。そーする」
ランニングしようと考えてただけでえらいっての。
どーせ花音なんて今頃家でゴロゴロしながら寝てるよ。
しばらくレオで暖をとっていると着替えてさやが出てきた。
さっきとは打って変わって超モコモコに厚着。
まあ、そんなもんだろ。今日寒いし。
「いこっか」
「ん」
とは、言ってもまだルートも何も決めてないんだよなー。
どこいこ
適当に近所を歩く。
「次左ね」
「次右」
前を歩くレオに指示を出す。
レオは言われた通りにしっかりと曲がってくれる。
「レオすごい」
ほんとだよな。
人間の言葉理解してるよね。
近くの大きめの公園の途中で他の犬に出会した。
「ワンワン!」
なんで犬って吠えてくるんだろ?
ワウワウ
うちの子はテンション低いなー
そんでもって匂いを嗅ぎ合うと。
「すいませんね」
あら、美人なお姉さん。
「いで」
「ムー」
後ろからつままれた。
「ごめんて、あすいません。おはようございます」
「おはよう」
なるほど、これがワンワンコミュニティーってやつか。
「可愛い子ですねー」
「ありがとうございます」
「うちの子おてんばですぐ他の犬にちょっかいかけに行っちゃうんですよー」
「うちの子は結構冷めてますね」
じりじりと強くなっていくさやのオーラを背中に感じながら適当に話を区切る。
レオも十分嗅いだらしい。
「そろそろ行きますね」
「あ、ごめんね。話長くなっちゃって」
うん。めっちゃおしゃべりな人だった。
お姉さんと別れてるとやっとさやのオーラが弱くなった。
「さやさん?」
「ん?何?」
そのなんもない感じが怖いんだが…
「ちょっと敏感になってたから」
「ああ、悪い」
「頭撫でて」
俺の手を取って頭に乗せる。
「はいよ」
さやの頭を撫でていると、レオも物欲しそうにみてくる。
レオの頭を撫でて上がる。
「もぉー無理ィー」
「止まるなぁ!走れぇー!」
公園からよく聞く声が聞こえた。
「花音?」
「と優っぽいな」
公園の広めのグラウンドでバテバテの花音が優にしごかれてる。
「「うわぁ」」
でも、花音がガチでダイエットか意外だな。
邪魔するのも悪いのでそっとその場を離れた。
「私も頑張る」
「程々にな」
散歩を終えて家に帰りレオの足を拭いて家に上げる。
「ちょっとダイエットする」
上に着ていたモコモコのダウンを脱ぐ。
「足持って」
どうやら腹筋をするらしい。
「いいけど」
さやの足を固定する」
「んー んー…もーむり」
二回…
もうちょい簡単なエクササイズを伝える。
「俺はご飯作るから」
「ん。頑張る」
やる気は十分そう。
その場を離れてお弁当の準備をする。
準備をしている間も、うーだとかわーだとか若干可愛い悲鳴が聞こえてくる。
お弁当ができて朝食を作り始めた頃汗だくのさやがやってきた。
うん。なんかエロい。
「シャワー浴びてくる」
「お、おう。風邪ひかないようにな」
「ん」
とぼとぼと歩いて行った。
ちょっとハードだったかな?
ジャー
え?うちのお風呂入るの?
絶対着替えないやつじゃん。
ジャージを持って洗面所に向かう。
「さや着替えおいてとくよ」
「ん、ありがと」
バスタオルとかも出しておいておく。
…シルエットだけ見えるさやの体のシルエット
…あー戻ろ。
あれ以上いると理性が死ぬ。
自信を落ち着かせるためにコーヒーを入れて心を落ち着かせる。
「ジャージありがと」
俺のぶかぶかのジャージを着て、まだ濡れた髪を拭きながらリビングに戻ってきた。
「次からは自分の家のシャワー使ってください」
「ん?わかった」
素直でよろし。
落ち着いたところで朝ごはんを食べる。
「ん。美味しい」
今日は運動した後だからエネルギッシュな朝食。
あくまでカロリーは抑えた構成。
さやは朝早く起きたせいで目が眠そう。
「コーヒー飲んで目さませ」
「…ん」
反応が遅れてるし。
眠たいせいかなかなか動かないさやに学校の用意をさせるのはなかなか大変だった。
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