第87話 始業式

ついにきた。

学校が始まってしまった。


「あー起きたくなーーーい」


毛布が気持ち良さすぎる。

朝の毛布は神。


「んー」


どうやら隣にいるさやも毛布の誘惑と闘っているらしい。


「やば、起きなきゃ」


流石にこれ以上はまずい。

今日は授業も普通にあるので、昼食も作らなきゃいけない。


誘惑を振り切って布団から体を出す。


「うーさむぅう」


暖房をつけて、カーテンを開ける。


「うっわ、寒そ」


若干曇った空。

絶対寒いやつだ。


さやが起きてくるまでに、昼食を作る。

とは、言っても昨日のうちに下ごしらえはしていたので、パパッと作る。


昼食を作って弁当箱に入れて、今度は朝ごはんを作り始める。


お餅つきをやった時の余ったお餅は凍らせて保存していたので、それを使って具材多めのお雑煮を作る。


「さや、起きて」


そろそろ起こさないと学校に遅れる。


「んーやだ」


「ダメです」


強制的に、掛け布団を剥ぐ。


「あー寒い」


知ってる。


「ほれ、そっちにガスヒーター」


「うーうー」


そう言ってガスヒーターの前に座り込む。


まあ気持ちはめっちゃわかるけどだな。


「朝ごはんできてるからな」


「ん。食べる」


体を温め終わったのか椅子に座った。


「ほい」


お雑煮をお椀に入れて出す。


「お雑煮?」


「そ、この前のお餅つきのあまり」


「ん。おいしそう」


「「いただきます」」


うん。普通に美味しい。


「おいひー」


おいしそうに食べるね。

嬉しいよ。


「おっと、さっさと食べて学校いこ」


「ん」


ご飯を食べおわり、学校の準備をする。


「寝癖直してほしぃ」


「ああ、いいよ」


ちょっと甘えん坊かな?


まだ、時間はあるしいいかな。


さやを椅子に座らせて、寝癖を丁寧に治していく。


「はいできたよ」


頭をポンポンと撫でる。


「ん、ハーフアップがいい」


「はいはい」


綺麗に下ろした髪の左右を編んでまとめる。


「今度こそできたよ」


「ありがと」


準備を終えて、家を出る。


「あー寒いなー」


「ん、寒ぃ」


ホッカイロで手を擦りながら、学校に向かう。


「あー教室あったかいな」


「だね」


「「あけおめー」」


教室に入ると優と花音がきた。


「あけおめ」


「ん。あけおめ」


こいつらウルセェ。


「あれ?花音ちょっとふとッン!?」


花音に人差し指で止められる。


「それ以上言ったらわかるわね?」


…こわっ!


「返事は?」


「は、はい」


「周。それには触れちゃあかんのよ」


ばちん!


「イッテェ」


無事顔叩かれた。


「もおその話ダメって言ったのよね?」


うわ、ガチでキレてる。


「花音デブ」


「あ、」


さやが止め刺しにきた。


「うーさやちゃんだってー」


そう言ってさやのお腹を触る。


「ホラーぷよぷよだぞー?」


あらら、まあずっとゴロゴロしてたからな。


「なんで、男2人は太らないのよ?」


花音が聞いてきた。


「なんでって」


「なぁ?」


「「太らない体質だから」」


「「殺す」」


女子2人怖いっす。


「いいもん。これから痩せるから」


まあ、言ってもほんの少しだからぱっと見じゃわかんないしほんの少しだから。


「やばい?」


さやが聞いてくる。


「大丈夫だよ。触らなきゃわからないくらいだから」


「んー運動する」


「手伝うよ」


どうやら今日からしばらくは、ヘルシー料理だな。


授業を終えて、帰る準備をする。


「この後マック行かない?」


花音が優を連れて、誘いにきた。


「朝のこともう忘れたのか?」


「いや、明日からだから、今日はセーフだから」


絶対やるやつじゃん。


「それに悪い。今日母さんくるから」


「そうなの?」


さやにもまだ、言ってなかったな。


「なんかレオ預かって欲しいらしくてな」


「じゃあ、うちも行くー!」


なんやねん。


「最近、秋のお母さんにも会ってないし。犬可愛いしー!」


よかったな。マック食べなくてすみそうだな。


家に帰るとすでに母さんと雫さんが家でレオを愛でていた。

これは、珍しい光景だな。


「ただいま」


「あらきてたのね」


「ああ、大所帯でな」


後ろからぞろぞろと3人がくる。


「あ、花音ちゃんに、優くんじゃん」


雫さんがレオを膝に乗せて言ってくる。


「「お久しぶりです」」


「おっと、じゃあ私たちは行くわ」


「うん。じゃーねー」


レオを置いて2人とも出て行った。


「久しぶり」


レオの頭を撫でる。


クゥーン


いや、久しぶりでもないか。結構最近まで実家いたわ。


「わー可愛いー!」


花音がレオをもふもふする。


「実は、犬が好きな優くんです」


俺の隣でうずうずしてる優の説明をする。


「はぁ!?悪いかよ」


花音と合流した。


レオも大変だね。


散々レオをモフった後、帰って行った。


ワゥ〜ン


どうやら結構疲れたらしい。


「レオ疲れたって」


「ぽいね」


さやの膝の上に頭を乗せて休憩してる。


ったく、羨ましいな。


結局その後も俺とさやにモフられてぐったりと疲れるレオだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る