第82話 大晦日

大晦日

今日も今日とて正月のためのおせちづくりをする。


「さてと、こんなもんか」


すでに日が落ちて6時過ぎ。


「今日の夕飯は年越し蕎麦よ。準備手伝って」


えぇ。さっきまでおせち作りしてたんだけどなぁ。


「早くしてくれない?」


「あ、はい」


この人、人遣い荒いなぁ。


「私も手伝う」


「ありがとな」


さやも来てくれた。


「蕎麦茹でるだけでいいから具はこっちで用意する」


「はいよ」


さやから麺を受け取り鍋で茹でる。


「こんなもんか」


ざるにあけて丼に盛り付けていく。


「できたよ」


「こっちもできてるわ」


具は、シンプルに海老天にかまぼこにネギにワカメ。

シンプルな、具材。


「周。春と雪呼んできて」


「へーいよ」


「いこ」


2人を呼びに2人がいるであろうレオの場所に向かう。


「春、雪。ご飯だよ」


「ん。年越し蕎麦」


春と雪の顔が嬉しそうに笑う。


「レオも来いよ」


「ワウ」


いこーぜ。


「お、みんなきたね」


席に座る。


「「「いただきます」」」


ウメェ。


なんかちょっとだけ麺伸びてるのが、すごく悲しい。


「美味しいね」


「だな」


ご飯を食べ終えてお皿を洗い。


こたつに入り紅白を見る。


「あったかーい」


「間違えねー」


みかんを片手に紅白を見る。

毎年こんな感じ。


「あーこの人知ってるの!この前テレビで出てたの」


「知ってるー」


「最近人気だよな。この人」


「ん」



みかんがなくなり、また入れ直し。


再度みかんがなくなった頃。紅白が終わった。


「さてと、ちょっくら神社いこーか」


ちなみに、春と雪は俺らの膝の上で寝てる。


「スゥスゥ」


俺の膝で寝てる雪の頭をそっと撫でてからそっと下ろす。


「クゥーン」


レオがこっちをついてきたそうにみてくる。


「レオも一緒に来るか?」


「ワウワウ!」


さやも、膝に乗せていた春を下ろす。


流石に子供この時間は辛いわな。

俺ら的には、12時すぎまで起きてるのは普通と言ってもいいけど、俺が子供の頃に9時には寝てた。


「神社?」


「そそ。明日は、おっきい神社行くけど今から行くのは、歩いて10分くらいで着くところ」


「ん。わかった。いこ」


母さんたちは、すでに行ったらしい。


「いこっか」


だいぶ厚着をして家を出る。


「う、寒い」


「おーまじ寒いな」


「ワ、ワウ」


レオは体を俺へと寄せてきた。


犬でも寒いわな。


マフラーをしっかりと閉めて神社に向かう。


寒そうに手を擦らせているさやの手をとり、俺の手と共にポケットに入れる。


「ん。あったかい」


「だろ?」


「ワウゥ」


レオの手は届かないだろ。


レオは、悔しそうに下を向いた。


この犬も感情豊かだよなぁ。


神社に近づくにつれて、初詣にきた人が増えていく。


「さてと、はい5円」


「5円?」


「ご縁がありますようにってね」


「ん」


二礼二拍手一礼


「甘酒とおしるこどっちがいいですか?」


ボランティアの人が飲み物を配っている。


「私は、おしるこ」


「俺も、おしるこでお願いします」


生憎と、甘酒の美味しさがわからない。

え、おいしくなくない?


レオはお水をもらった。


「あら、2人も来てたのね」


母さんたちが姿を現した。


「2人ともおしるこ?」


「そだけど?」


「お子ちゃまね」


そのニヤニヤ顔ウゼェ


「うるっせ」


「さやちゃん飲んでみる?甘酒」


「ん。ちょっとだけ」


さやのおしるこを受け取り、さやは甘酒を飲む。


「うぇ。ベー」


どうやらダメだったらしい。


「ほれ」


おしるこを渡す。


「ん。甘い」


やっぱ。甘酒よりこっちのがうまいよな。


おしるこを飲み終わりカップを捨てる


「さて、帰ろっか」


「ん」


「ワウワウ」


初詣も終わり、家に帰るとすでに紅葉さんが春と雪をお風呂に入れて寝かしつけていた。


「おっと、静かにね」


((はーい))


静かに、横を通っていく。


「先お風呂入る?」


「ん。先入ってくる」


「はーいよ」


さやがお風呂から出てくるのをただただぼーっとしながらまつ。


いやーにしても、今年一年早かったなぁ。


去年はやっと年末かと思ってたけど、今年は、早かった。


楽しかった。


ただひたすらに楽しかった。

こんなに楽しめるものかね。


来年もこんなに楽しいのか?…俺死ぬんじゃねーの?


さやとの出会いがでかかったな。


「恵まれてるなぁ」


「クゥーンクゥーン」


何かを感じたのか、レオが俺のほうにきた。


「どうどう」


レオが顔を舐めてくる。


あれ?泣いてた?


「どしたの?」


お風呂方出てきたさやと目があった。


「ちょっと来年のことと今年のことを考えててな」


「ん。もう、今年」


あーそうだった。


「今年もよろしくな」


「ん。こちらこそ」


プルルルル


俺のスマホにテレビ電話がかかってきた。


「優?」


珍しいな。


通話に出ると画面に出てきたのは、花音だった。


「あけおめー!」「ウルセェ」


なるほど。


画面に入るように、さやは俺の膝に座る。


「あけおめ。今年もよろしくな」


「ん。よろしく」


「ウルセェ」


どうやら、優はもう眠くて機嫌が悪いらしい。


「全くー今周たちと繋がってんだけどー」


「寝かせろ」


そういうと花音の、膝に頭をのせた。


こいつ完全に寝ぼけてテレビ電話のこと気付いてないな。


「ごめんねー。オールだったから機嫌悪いの」


なるほど、さすが優って感じだな。


「どこにいるの?周の家じゃないでしょ?」


「実家だよ。帰省中」


「へーさやちゃんも連れてかー!」


顔が凄まじくうざい。


「あれ?花音ちゃん?」


帰ってきた雫さんが、入ってきた。


「あれ?雫さんもいるんですか?実家なんじゃないの?」


「俺の母さんと仲良くてな」


「へー両親公認の許嫁ってことかー」


言い方に語弊がある。


「あ、私は寝るね。眠くて眠くて」


「「「おやすみなさーい」」」


「さてと、花音も寝るよ。はぁあああ」


大きくあくびをする。


はぁ、こっちまで眠くなってくる。


「おやすみ」


「「おやすみぃい」」


明日は俺は早いからな。

また、おせち関連でこき使われるんですよ…


はぁ、寝よ。






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