第81話 おせち

「おはよ」


「ん。おはよ」


隣で起きたさやの頭を撫でる。


「んーもっと」


「お、おう」


嬉しそうに悶えながら頭を擦り付けてくる。


「おーはーよー」


あ…


母さんが入ってきた。


「いちゃつくのもいいけど、夜にしてね」


ウルセェ


「起きるよ」


「朝ごはんできてるからきなさい。早くしないと春と雪が突撃してくるわよ」


「はーいよ。起きよ」


「んー眠い」


知ってた。眠そうな顔してるもん。


「2人とも起きるのー!」「朝ぁー!」


くるの早いな。


「うお、いって」


「起きるの!」「の〜」


俺とさやの間に入り込んできた。


「さやお姉ちゃんも起きるの」「ゲットアップー」


雪の英語力がすごい。


「まだ眠い」


さやはそういうと春を抱き枕にして抱きしめる。


「さやお姉ちゃんが甘えん坊さんなの」「周寒ーい」


雪がこっちを物欲しそうにこっちをみてくる。


はいはい。わかったわかった。


「あったか〜」


雪を抱きしめる。


「むー私の周」


「独り占めはダメなの」


みんなの周です。


「さて、みんな起きるぞ」


「わかったの」「んー」


「ん。引っ張って」


まだ布団で寝てるさやの手をとり引き上げる。


すでに、他のみんなは朝食を食べ終わっているらしく、食べていないのは俺とさやだけだった。


「「いただきます」」


今日の朝食はBLTサンド。


分厚いパンにシャキシャキのレタスに厚いベーコン

朝からしっかりしてんな。


「ブラックでいい?さやちゃんも」


「いいよ」


「ん。私も」


母さんに伝える。


「美味しい」


「だな」


これは、素材がいいな。うん。


ご飯を食べてモーニングコーヒーを飲み終える。


「それじゃ、春と雪のこと頼むな」


「ん。おせちづくり頑張って」


「おう」


sideさや


「じゃあ、一緒に遊ぼ」


春と雪の手をとると後ろからレオもついてきた。


「何する?」


「レオの散歩に行かなきゃなの」「散歩ぉ」


それでレオはついてきたのかな。


「わかった」


散歩用のリードをつけて家を出る。


「最初は雪にゆずるの」「ありがとぉー」


2人も成長してる。


3人で近くの公園まできた。


「あ、ここ前も一緒に来たね」


「きたの!」「きたー」


懐かしいかも。


「遊ぼっか」


「ん!遊ぶの!」「遊びー」


ーside周ー


さやと春と雪それからレオを連れて3人と1匹が家を出てから俺は母さんと紅葉さんとおばあちゃんと元旦のためのおせちを作り始める。


「あんたは、栗きんとんでも作っといて」


「はいよ」


材料を用意して作り始める。


「さやちゃんとはどーなの?」


無心に作ってると母さんが聞いてきた。

母さんの方を見ると他3人も興味深々にこっちを見てくる。


「別に…いつも通りだよ」


「「「ふーん」」」


何その信じてない声。


「やった?」


ねぇ。母さん。今俺らご飯作ってんだよ?


「やってない」


「「「ふーん」」」


何その興味深々な声。


「いつ結婚するの?」


「また、唐突な…」


「え?しないの?」


意外そうに紅葉さんが聞いてきた。


「…まあ、俺はしたい…ってなんでこんな話になんだよ」


「素直でいいじゃないか」


おばあちゃん?


「でも、さやちゃんって吸血鬼なんでしょ?子供できるの?」


この話まだ続くのか。


でも、そういえばそうだな。どうなんだろ?


「呼ばれた気がして登場!」


ドアを開けて雫さんが入ってきた。


あれ?この人いつ来たの?


「それでどうなんですか?」


雫さんに聞いてみる。


「んーできるよ」


あ、できるんだ。


「でも、あれだね。吸血鬼って長生きなんでしょ?さやちゃん残して周くん先死んじゃうのはかわいそうだねー」


確かに紅葉さんの言うとおりかもしれない。


「もう、あんたも吸血鬼なりなさい」


母さん!?


「そー言われましても…」


雫さんの方を見る。


「なる?」


「あ、なれるんですね」


「前言ったじゃん」


あーそういえば、そんなこと聞いたかもしれない。


「まあ、まだいいんじゃないかな」


「それもそーね」


うんうん。


「ちなみに成功率は3%失敗したらナムナムかなー」


…まじ?


一気に周りが静かになる。


「あ、ごめん。ジョークだよ?」


「笑えない冗談はやめてください」


「あはは、ごめんごめん」


全く、まじでびびった。


「まあ、とりあえず早く結婚しなさい」


「ちなみに何人子供欲しいの?」


紅葉さんが聞いてくる。


「まあ、2人くらい?」


「「「ふーん」」」


その顔ウゼェ。


「はいはい。みんな作りましょ。早くしないと明日までに終わらないわよ」


この話始めた張本人が何言ってんだ。




ーsideさやー


「ヘクチッ!」


「さやおねちゃん大丈夫なの?」「かぜー?」


「大丈夫だと思う」


誰かが噂話してるのかもしれない。


「そろそろ帰ろ」


冬なのもあり、すでに日が隠れ始めて気温も落ちてきた。


「わかったの」「帰ろー」


「ワウ」


帰りは、春がレオのリードを持つ。


レオはえらい。2人の歩調に合わせてゆっくり歩いてる。


「さやお姉ちゃんは周と結婚するの?」「結婚ー」


「…まぁ、したい」


「春も結婚していっぱい子供欲しいの!」「雪はいっぱい犬かうー」


「子供かー」


周との子供。ムフフ


「早くさやお姉ちゃんの子供見たいの」「みたーい」


「頑張って子供作る!」


頑張って作ろう。


「子供の作り方わからないの。雪知ってる?」「わかんなーい」


「大人になったらわかる」


「ふーん。不思議なの」「謎ー?」




「「「ただいまー」」」


家に着くとレオの足を拭いて家に上がる。


「周お疲れ様」


一生懸命ご飯を作ってる周に声をかける。


「お、おう」


なんか緊張してる?


「あ、おかえりー」


後ろから雫さんが抱きついてきた。


「来てたの?」


「さっきねー」


「この人誰なのー?」「おねーさん?」


春と雪が雫さんのことを不思議そうにみてる。


あれ?前会わなかったっけ?


「あ、春ちゃんと雪ちゃんね。雫おねーさんだよー」


お姉さん…


「さやおねーちゃんのおねーさんなの?」「お姉ちゃんのおねーさん?」


「お姉ちゃんのお母さんだね」


「お母さんなの!?」「びっくりー!」


見た目若いもん。


「春と雪の面倒見てくれてありがとな」


周が頭をポンポンしてくれる。


「疲れた」


周のお腹に顔を押し付ける。


「お疲れさま」


「んー」


夕飯を食べ終わり、周はまたおせち作りを始めた。


「先に寝てていいよ?」


周にそう言われた。スマホを見るとすでに10時。

まぶたも重たくなってきてる。


「んーん。待ってる」


周と一緒に寝たいもん。


「そんじゃ、さっさと終わらせるか」


周が一緒に作ってるのをウトウトしながら見てる。


「はい。終わり」


やっと終わった。


「寝る」


「そーだね」


周の服を摘む。


周に引っ張られながら部屋に向かう。


「はい、ここ布団」


「ん」


横になり周の腕を抱き枕にして寝る。


「周だぃすきぃ」



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