第78話 マッサージ

三日目

今日もこうして朝から雪山に来てスノボーをしてる。


「ふー疲れた」


今日はラストの日だから朝からきてるわけだ。

とは言ってもバスが出発するのは夕方だから、まだまだ時間はある。


「ちょっと休憩してるから、滑ってていいよ」


「そう?」


「ん。フードコートにいる」


「はいよ」


少しの間1人で滑りに行くことにした。


「ふーすべったすべったー」


体バキバキだな。

ちょっと張り切りすぎた。


フードコートに戻り、さやを探していると男に囲まれていた。


「なんと言うか、可愛すぎるのも問題か」


さやの元へと向かう。


「さや、行くよ」


「あ、周」


「なんだ、餓鬼。じゃますんじゃねーよ」


うわー


「邪魔だ。どけ」


「あ?」


「いこ」


さやの手を引いて走る。


「時には逃げるのも吉」


「んー走りづらい」


おっとそうだった。


ナンパ野郎をまいてから板を持って旅館に帰る。


まあ、帰る予定だったからいっか。


「ふー疲れた」


「ん。筋肉痛」


「お風呂でも入ってからだほぐすかなー」


さやがこっちをじーっと見てきて言った。


「一緒に入る?」


「いや「入ろ」


俺に断る権利はないのか?


「でも、予約は?」


「今からする」


「無理じゃね?」


「わかんないもん」


ムスーっとするな


どーせ空いてないと思うけどなー




「空いてますね。と言うか家族風呂人気ないので予約全く入ってませんねー」


なんか、かわいそうだな。


「じゃあ、予約する」


「お盛んですねー」


うっさいわ


「いこ」


「はいよ」


着替えを持ってお風呂に向かい。昨日のように先にさやがお風呂に入り後から俺が入った。


「ふー極楽極楽」


「ふーあったかーい」


昨日のような戦いはなく、お湯に浸かる。


日頃運動してないのがここにきたな。

筋肉痛がやばい。


十分あったまってからお風呂から上がる。


「ふー」


体を拭いてお風呂から上がって浴衣に着替える。


さてと、帰るか。


部屋に戻りお茶を入れる。


「あー足痛ぇ」


お風呂に入って一気に筋肉痛がきた。


「ん、バキバキ」


「ストレッチでもするか」


はぁ。


「マッサージしてあげる」


「まじ?頼む」


流石に足が痛い。


「寝て」


床にうつ伏せになって座布団を枕がわりにして頭を預ける。


「行くよ」


さやは、俺の背中に腰あたりにまたがって足を揉んでもらう。


「はーいよ」


「グハァ」


いでぇ!


「大丈夫?」


「お、おう」


やべえ。想像以上に痛い。


「ね、ねえ。それわざとやってない?」


めっちゃグリグリしてくる。


「ん?普通だよ?」


「そ、そう…」


そんなに重傷かね?俺。


「そろそろ大丈夫」


「ん。わかった」


ああ、痛かった。


「俺もやろーか?」


「ん。お願い」


さやの背中から足にかけて揉んでいく。


「あ、ん。ん。いっ。あん」


…色っぽい。


「大丈夫?」


「っん。大丈夫っん」


大丈夫そうではないけどな…


でも、ちょっといたずらを。


「あん!ん!」


ここかなー?いやこっちか?


「んー!」


さやは、顔を座布団に埋めてる。


「もうちょっと上かな?」


「んーーーあ!」


「あ」


「おしり触ったでしょ?」


「気のせいでは?」


「触った」


「あはは。悪りぃ」


「…別にいいけど」


あはは


「それ」


チョン


「あん…遊んんでるでしょ」


「あ、バレた?」


そうプンスカすんな。


「もういい。十分」


「はいよ」


ちょっと遊びすぎたかな。


「おっと」


さやが押し倒してくる。


「疲れたからお昼寝」


「するなら布団いこ?」


「えーめんどくさい」


「体痛くなるからだめ」


「ん。わかった」


お布団に移動してから少しの間お昼寝をすることにした。


「いい匂い」


「はいはい」


俺の胸元に顔を埋めて言ってくる。


「頭ナデナデして欲しい」


「いいよ?」


今日はやけに甘えたがりだな。

まあ、いいんだけどさ。


「んふふ。ありがと」


「いえいえ」


さて、ちょっと俺も寝よーかな。

マッサージしてもらったら眠くなってきた。


「おやすみ」


「ん。おやすみ」




「っと」


目が覚めた。

スマホをとり時間を確認する。


2時間弱か。


まあ、疲れてたから仕方ない。


「さて、そろそろ帰る準備をしないとな」


「んにゅ。おはよ」


あれ、起こしちゃったかな。


「おはよ。帰る準備しよっか」


「ん」


荷物をまとめてキャリーケースに入れていく。


「おっけ。こんなもんか」


「ん。終わった」


ちょうどいい時間だ。


旅館から出てバスが来るまで夕食を食べに行く。


「えっとここら辺かな?」


旅館の女将さんにいいお店を聞いたのでそこにきた。


「あった」


「お、ナイス」


女将さんに教えてもらったのは、ほうとうのお店。


席に座り2人分のほうとうを頼む。


木造で囲炉裏のある。古風なお店。


「なんかすごいお店」


「だね。東京じゃ、こんなお店建てれないからな」


「ん」


きたきた


「「いただきます」」


野菜たっぷりのほうとううまそう。


「あ、熱い」


「気を付けろよ」


大きい木のスプーンにほうとうを入れてフーフーをして食べる。


さやがフーフーしてるのが、可愛い…


「食べないと伸びちゃうよ?」


「あ、ああそうだな」


ズルズルズル


うま。いい熱さだな。


「「ごちそうさまでした」」


お会計を済ませてバス乗り場に向かう。


キャリーケースを預けてバスに乗り込む。


「楽しめた?」


「ん。また来たい」


「だね。俺も楽しかったよ」


「家族風呂あるとこがいい」


…そこ?


「だめ?」


「別に、いいけど」


「ん」


はあ、まあ、良かったし。うん。


バスに揺られて何時間。


途中高速の渋滞に捕まったりで予定よりだいぶ遅くなり家に着いたのは夜中だった。


ぱぱっとお風呂に入りベットの用意をして、いつでも寝れるようにした。


「さや?」


ベランダから夜空を見上げていたさやに声をかける。


「何してんの?」


「ん。星見えない」


あっちは、星凄かったからな。


「今度、星を見に行くのもいいな」


「ん。行きたい」


「流れ星とかみたくない?」


「ん!みたい!」


楽しみな予定がまた、一つ増えた


「早く中入れ。風邪ひくよ」


「ん」


さやを中に入れて窓を閉める。


「寝る?」


「んーあんま眠くない」


さっきお昼寝しちゃったしな。


「でも寒いからベットでお話ししよ」


「そーすっか」


電気を消して、布団に入る。


「こっちの毛布好き」


「わかる」


家の毛布はふかふかのやつ。

旅館とかってただの布団だからなー。


「あと、これもある」


さやが抱きしめてるのはこの前買ったクマのぬいぐるみ。


でかいだけあって、さすがに狭い。


「いや、さすがに狭いんだけど」


「ん。クマはここ」


ベットに寄りかかるように座らせておいておく。


「私には周がいるから」


そう言って、俺に抱きついてきた。


「さやさん?」


「んー?」


なんだかちょっと恥ずかしい。

暗くてよくは見えないけどさやの顔も赤くなってる気がする。


「なんでもない」


さやを抱きしめ返す。


スゥー


あれ、寝てる。


さやの額にそっと口づけをする。


「んふふ」


「あ?」


「起きてた」


なんだよ…恥ずかし。


チュ


さやがキスしてきたのは首元。


「かわいいね」


「むーずるい」


本当のことだからね。

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