第77話 雪山

二日目朝起きると寝る時は右側にいたさやがなぜか左にいる。

まあ、そんなことはどうでもいい。


スマホを見るとすでにいい時間になっていた。

さやを起こそうとするも、まだ可愛らしい顔で眠っている。


この顔を見るとついつい悪戯したくなる。


寝ているさやを抱き寄せて匂いを嗅ぐ。


あーいい匂い。この匂い好きだー


頭をナデナデしながらしばらく匂いを嗅いでいた。


さて、


一度、さやから少し離れる。


「おーい。さやー朝だぞー」


「んーん。おはよ」


「おはよ?」


「ど、どしたの?」


「顔赤いよ?」


風でも引いたか?


さやのおでこに自分のおでこを当ててみる。

熱い


「やっぱ風邪か?」


「い、いや違くて」


違う?


「…あ、もしかして起きてた?」


「…ん」


あーさっきの起きてたのか。

まずった。


こっちまで顔が熱くなってくる。


「起きたら周が抱きしめてナデナデしながらクンクンしてきたからびっくりした」


そりゃびっくりしますわな。


「なんか、ごめん」


朝からなんか気まずい。


「あ、朝ごはん食べに行こうか」


「ん」


寝ている間に若干着崩れた浴衣を着直して食堂へと向かう。


「朝食ってどんなのかな?」


「確か、バイキングって言ってた気がする」


「バイキング?」


え。知らないの?


「自分で好きなものを好きな分だけ盛り付ける感じ」


「じゃあ、いっぱい載せれるように頑張る」


何を頑張ろうとしてんだよ。


頑張ろうと意気込むさやの頭をポンポンと叩く。


「おかわりは自由だから別にいっぱい乗せなくても大丈夫だよ」


「それは、安心」


食堂に着くと俺ら用のテーブルにつき、食べ物を取りに行くことにした。


和風な漬物や、納豆や焼き魚から洋風なスクランブルエッグやパン、ソーセージなどなかなかの種類が揃ってる。


プレートをとっていろんなのを取っていく。


ちなみに、俺は和風に朝食です。

温泉卵あったから。


さやは、洋食のにするらしい。

スクランブルエッグが食べたいらしい。


バイキングのいいところって自分の好きな物食べれるとこだよねー。


飲み物も持ってテーブルへと戻る。


「「いただきます」」


飲み物にはオレンジジュースを。

朝にはこれが一番きく。


「今日は何するの?」


「今日はこのあと雪山行くよ。スノーボード」


「ん!楽しみ!」


まだ時間あるから詰め込むな。

ほら喉に詰まったろ。


「ン!ン!ン!」


「これ飲め」


さやに水を渡す。


「ゴクッ。死ぬかと思った」


「落ち着いて食べろ。急いでないから」


「ん」


朝食を食べおわり、部屋に戻り着替える。


この前一緒に買いに行ったウェアに着替えて、雪山に向かう。


「どお?」


着替えたさやがこっちにきた。


「…」


「むーなんか言って」


…はっ!


「悪い。めっちゃ似合ってる。似合いすぎて飛んだ」


「…えへへ」


最初はムスーっとしてたものの耐えられなくなったのか口元から崩れた。


「いこっか」


俺は持ってきた板も持って雪山に向かう。

旅館から雪山直通のバスが無料で出ているのでそれに乗って向かう。


冬休みと言うのもあって、人はそこそこいる。


さやようの板を借りてちょっとした坂で練習してみることにした。


「おーゆき積もってんなー」


「ん。眩しい」


うん。雪山では女性がいつもの3倍可愛くなるって言うのは事実かもしれない。


いや、でもさやは、いつも可愛いか…


「どしたの?」


「なんでもない。やってみよっか」


「ん」


少し坂を登って板をつける。


「とりあえず、滑ってみようか」


さやの手を持って滑ってみる。


「きゃっ」


倒れてくるさやを支える。


その後もとりあえず今日中に多少滑れるようになればいいかなとか思ってたんだけど…何この子…飲み込み早い。


まだ、リフトには乗ってないものの普通に滑れてる。


いや、すごいなおい。


「ご飯食べたらリフト乗って上まで行ってみよっか」


「ん。ご飯」


板を置いてフードコートに向かう。


「さて、何食べよっかなー」


雪山といえば、俺はラーメン一択。


「俺は、ラーメンにするけどさやはどーする?」


「カレー食べたい」


料理を頼んで、会計を済ましてテーブルに戻る。


雪山で食べる昼食っていつものよりも何故か美味しく感じる。


「辛味。美味しい」


「ラーメンもうめーぞ食べる?」


ちなみに俺は味噌派。


「ん。食べるあーん」


「はい。あーん」


レンゲに入れて口元に運ぶ。


「あむ。うむうむ」


「どう?」


「美味しい!」


そりゃよかった。


「あげる」


さやもスプーンにカレーをのせて俺の口元も運んできた。


「うん。美味しいね」


「ん。カレーも美味しい」


ご飯を食べ終え、リフトに乗ることに。


「いこ」


「ん。緊張する」


2人乗りのリフトに乗って山上に向かう。


心配だったリフトから降りるのも難なくこなした。


やっぱこの子すごい。


「どしたの?」


心配そうにこっちを見てくる。


「なんでもないよ」


頭をポンポンしとく。


「さて、滑ろ」


「ん」


実際に滑ってみるとまだ、おぼつかないけどちゃんと滑れてる。


「さや、ほんとすごいな」


「ん?そう?」


本人自覚してないけどたった数時間でちゃんと滑れるやつ見たことねーよ。


しばらく滑ってから旅館に帰る。


「楽しめた?」


「ん。楽しかった!」


そりゃよかった。


旅館に戻ってお風呂に入ることにした。


「さて、俺はお風呂入ってくるよ」


「待って」


ん?


「どしたの?」


「家族風呂入る約束」


…あー忘れてた。


「でも、よくよく考えると水着とかないよ?」


「大丈夫」


何がだよ。


「まじ?」


「まじ」


うーん。あーー。


「…はい。いこ」


「ん!」


受付に行くと案の定ちゃんとさやが予約してた。


受付のお姉さんはニヤニヤしながら鍵を渡してきた。


「今日は、他に予定入ってないからごゆっくりどーぞー」


「あ、はい」


顔引きつりそう。


「いこー」


さやに手を引かれて家族風呂へと行く。


家族風呂は、露天風呂のみだけらしい。


湯船に浸かるまでが寒そう。


「えっと、先入っていいよ。後から入るから」


「なんで?」


いや、なんとなくわかるだろ。


「いいから」


「ん。じゃあ、先入ってる」


しばらく後ろ向いて待ってる。


後ろから聞こえてくる。

服を脱ぐ音が耳を刺激してくる。


「入ってるね」


後ろからさやの声が聞こえた。


「はいよ」


扉が開く音がして閉じる音がした。


振り返って俺も服を脱いで籠に入れてく。


ふと、さやの籠の方を見ると普通に下着見えてる。


「はぁ…なんだかな」


腰にタオルを巻いて扉を開ける。

さやは、まだ頭を洗っていた。


さてと、


俺も隣の椅子に座って体を洗うべくシャワーを体にかけていく。


「頭やって」


「いいよ」


さやの頭を優しく洗っていく。


「んー気持ちい」


「痒いとこはありませんかー?」


「大丈夫ー」


シャワーで髪を流していく。


「はい、オッケ」


「ん。体もお願い」


「えぇ。流石にそれは」


体に巻いたタオルが水に濡れて体に張り付いてエロい。


「じゃあ、周の頭洗う」


「お願いします」


頭をゴシゴシと洗ってもらう。


「痒いところはありませんかー」


「大丈夫だよー」


「はーい」


髪を流してもらう。


「背中流す」


「いや、だいじょ「やる」


「あ、はい」


なんか、強気よね。

まあ、背中だけなら。


「周背中おっきい」


言い方に悪意を感じる気がするが、まあいい。


「そうか?」


「ん」


そんなことより、なんで体を押し付けてくるんだい?


「ねえ。何してるの?」


「一緒にお風呂入る時はこれしなきゃ行けないって花音が言ってた」


「なんでだよ」


「男の人の背中は体で洗うって習った」


君は何を習ってるんだ!?


「タオルは?」


「こっち」


もともとさやが座っていたところにタオルが置かれた。


…静まれ息子。無の精神。無の精神。


「っん。ん」


ああーあーーーアイウエオカキクケコああー


さやの体に塗られた石鹸を体を使って塗りつけてくる。


え?何?やばいんだけど。ここ風俗ですか?


「あ、あのさやさん?」


「う、うるさい」


背中にあたる感触が脳みそに焼き付いていく。


まじで、死ぬ。


「はい、終わり」


あ…背中の感触がなくなった。


「あ、ありがと」


「ん、先お風呂浸かってる」


「お、おう」


体のまだ洗ってないところを洗い。なんとか息子を沈めてから俺もお湯に浸かる。


「はぁ、君やりすぎ」


「でも周も喜んでた」


まあ、否定できないけど。


「気持ちかった?」


「えっとー…」


さやがこっちを真剣な眼差しでみてくる。


「き、気持ちよかったです。ハイ」


「またする」


「いや、やめて?本当に死ぬから」


「私も、気持ちよかったし」


ボソッとさやの口からそんな言葉が聞こえた。


「さ、や?」


さやの方を見ると恥ずかしくなったのかお湯に顔をつけた。


はぁ…かわいいかよ。このやろう。


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