冬休み

第74話 クリスマス(1)

ついにきた。クリスマスイブ!


夕方からは、4人でクリスマスパーティーをする予定。

心なしか、さやもちょっと嬉しそうに見える。


一日中家にはクリスマスソングが流れ、クリスマスなのを嫌でも実感させてくる。


「さて、夕飯の準備をしようか」


お昼過ぎから準備を始める。何せ今日は大変なのだ。

今日の夕飯の献立は、骨つき鳥もも肉。


クリスマスといえばこれ!ってイメージおにく。

これに関しては焼くだけなので、そんなに大変ではない。


まずは、ピンチョスでも作ろうか、

作る種類が多いだけで、一個一個の手間はそんなにかからない。


ピンチョスはミニトマトを2/3で切ってチーズを刺して爪楊枝とか刺しておく。

これだけ、これを大量生産。

明るい色で、一口サイズ。お手軽で、オシャンティーなおつまみ的な食べ物なのだ。


スープにはコンソメスープ。

ここは凝らない。凝り始めると止まんなくなるから、強いて言うなら入れる野菜を星型に切ったりする。

あとは、コンソメ入れて煮るだけ。


「いい匂い」


「だろ?」


匂いにさやが食いついてきた。


「味見する?」


「んー大丈夫かな」


「ん。必要だったらいつでも呼んで」


そー言うとまたソファに定位置に戻っていった。


食べたかっただけじゃん!


ハムとローストビーフは既製品。

ちょっと作ってる余裕がなかったのだ。


半分に切って円形に並べると結構高級感が出る。


真ん中には明るめのものを。


さっきのトマトでもおくか。


全部のトマトは乗らないものの、何個かトマトを置いておく。


お次はピッツァ。

ピッツァです。

自分で作ってみることにした。


…やめた。

いや作れる。別に作れないわけじゃないから!


だって、出前で頼んだ方が早いし楽だし美味しいじゃん。


完敗ですわ。


ピッツァは要練習で…


とりあえず、オーブンを使う予定がなくなったので、お肉を焼くことにした。


「花音たち1時間後くらいに行くって」


「はいよ」


ちょうどくらいか?


お肉を焼く。一緒にジャガイモも突っ込んどいた。

肉汁と一緒に美味しくなるだろう。


お肉の味付けはシンプルに塩とかだけ。

他の味付けはしてない。


テーブルを片付けて準備をする。


あ、サラダサラダ。忘れてた。


今回はこれを凝ってみようと思ってたんだった。

まずは普通に野菜たちを盛り付けていく。

その子からピーラーで薄く長く切ったきゅうりを巻いておく。

ちょっとばらっぽいかも。

他にも、いろんな野菜で飾り付けをしていく。


あれ、これほんとにサラダ?


すでに原型を留めていなかった。


「ちょっと頑張りすぎたかも」


美術品と化したサラダとかさっき作ったのをテーブルに並べていく。


「これすごい!」


「だろ?」


「でも、食べるのもったいない」


「そーなんだよな」


正直。このまま残しておきたいくらいうまくできた。

まあ、2、3日でも置いておいたら腐って悪臭を放つこと間違いないんだが。


「写真とる」


それはいいね。


机にはあかり用のキャンドルを置いていく。


「おーオシャンティー」


「だろ?」


キャンドルに火を灯していき、2人の到着と肉の焼き上がりを待つ。


ピンポーン


花音と優がきたっぽい。


「お邪魔ー!」


「邪魔しまーす」


2人が入ってきた。


「おー!すごい!これはすごいよ!」


めっちゃ褒めてくれるやん。


「おぉ。これは確かにすごいな」


あざす。


チーン


ちょうどいいタイミングで肉が焼けた。

オーブンから肉を取り出して、お皿に乗せていく。


お、肉もなかなかいい感じだけど、ジャガイモもいい感じだね。


いい感じのホクホク感に仕上がった。

メインディッシュのお肉をテーブルに乗せる。


「おー早く食べよ!」


「待て待て」


急かす花音を止める。

まだ、飲み物を用意してない。


「みんな炭酸でいい?」


「いいよー」


「俺もー」


「ん」


本日用意したのはこちら!

ででん!


果汁100%のお高めスパークリンググレープです。

名前からお洒落さが伝わってくるではないか!


「おー!ワインみたい」


「でしょ?」


瓶に入ってるせいで炭酸がなかったら赤ワインっぽい。

まあ、ただの炭酸ジュースですけどね。


「ちなみに、白もあるけどどっちにする?」


「赤!」


「赤ー」


「赤」


みんな赤かい。

ちなみに白はアップルです。


ワイングラスに注ぐとなおのこと高級感が漂う。


「割るなよ?」


「び、ビビらせんな」


優くんがおしっこちびりそうな顔してまーす。


一方。花音は、女王様気取りでワイングラスをくるくる。


ああ、炭酸が抜けて行ってますね。


「そんな乾杯しよーか」


「ん!」


「お腹減った!」


「「「メリークリスマス(イブ)!!!」」」


んーこのジュースうまいな。

グレープサイダーよりしっかりグレープしてる。

まあ、あのちょっとジャンキーな感じもいいけどね。


「お肉いただき!」


足先には持ち手をつけているので、かぶりつける。


アム


うまい!


「おいひい!おいひい!」


わかったから飲み込んでから話せ。

花音は急いでお肉を飲み込んだ。


さやに至っては、黙々とご飯を食べてる。


「さや?美味しい?」


「ん。美味しすぎて、止まらない」


嬉しいんだが、落ち着け。


落ち着いて食べてるのは俺と優だけ。

普通こーゆーのって逆じゃないの?


「ふーお腹いっぱーい」


「ん、パンパン」


お皿を片付けていく。


「さて、クリスマスプレゼント交換でもしますか」


優がそう言い出した。


「あ、ちょっと待って」


それを花音が止める。


どしたんだ?

さやの耳元でなんか喋ってる。


「ん。ちょっと家行ってくる」


「花音もー」


そう言うと2人とも家を出て行った。


「どしたんだろな?」


「さーな」


しばらく、リビングで待ってることにした。


「ネックレス今渡すのか?」


「あー、2人きりのときにするよ」


「まあ、それがいいな」


ガチャ


2人が戻ってき…た?


「どーよ?」


「どー?」


2人はサンタの格好をしていた。

ミニスカの。


「ちょ、ちょっとなんか反応しなさいよ。恥ずかしいでしょ」


「あ、ああわりぃ」


俺も優も驚きと想像以上の尊さに言葉を失っていた。


「もーそんなに、変なら着替えるー」


花音がそう言い出した。


「待て待て」


優が花音の手をとり止める。


「何?」


「かわいいよ。と言うかエロい。てか襲っていい?」


「やめろ」


俺の家で変なことすんな。


「ゆ、優ぅ」


お前も何魅了されてんだよ。


っと。さやが俺の服を引っ張ってきた。


「どう?」


「かわいいよ」


「それだけ?」


え。えっとぉー

エロいですけど。

それは、置いといて


「抱きしめたくなるくらいには」


「襲いたくならない?」


ん?


「襲わないけど…」


「むー」


えぇ。襲って欲しかったの?


「んにゅ」


さやが抱きついてきた。


「襲う?」


「襲わないよ」


頭を撫でる。


「むー」


そんなに膨れっ面すんなよ。


「あれ?花音たち帰った方がいい?」


おっと。


「大丈夫」


「ん。続きは後で」


え?続きあるの?


「さて、交換しよー!花音から」


花音は優にプレゼントを渡す。

なんだろ?


ちなみに、プレゼント交換は彼女彼氏だけ。


「…香水?」


「そーこれで花音のものアピール?」


「怖いわ!」


まあ、確かに…


「はい!花音にもちょーだい」


「はいよ。これ」


花音に渡す。


「おー結構優にしては、まともだね」


「うっせ」


「なんだったの?」


さやは、何をもらったか気になるらしい。


「ハンドクリームとか」


「さてと、俺からも」


今度は俺から。

まあ、何渡すかはさやもわかってるんだけどね。


「はい」


でかいクマを渡す。


「フワフワー!」


やっとさわれたね。


「花音にも触らせてー!」


ご機嫌そうで何よりだね。


「はい。これ」


さやがくれたのはマグカップ。


「お、いいね。大きいのはありがたい」


それに真っ白で綺麗だな。


「お揃い」


なるほど、ペアのやつなのか。


「ありがとね」


プレゼント交換を終えると、クリスマスケーキを食べる。


早速、もらったマグカップに紅茶を入れる。


「んー美味しい!」


「おいひい」


美味しいね。さすが本職の味は違うね。


「あ、もうこんな時間じゃん」


「帰るか」


「うん」


花音と優は帰るらしい。


「花音その格好で帰るのか?」


「ん?変かな?」


「変ではないけど、襲われるよ?」


「優に襲われるから大丈夫」


何が?


「ほれ」


花音は優にパーカーをもらう。


「ありがとー」


また、嬉しそうに。これが狙いか?


「じゃ、またね」


「じゃーな」


「ん。おやすみー」


花音と優を送るってからリビングに戻る。


「母さんが送ってきたプレゼント開けるか」


「ん。雫さんもそろそろ来るって」


今日は、まだまだ長そうだ。


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