第73話 クリスマスプレゼント 〜女編〜

「はーい。オッケーじゃあ、明日ねー」


花音との電話を切る。


花音とは明日、クリスマスプレゼントを一緒に買いに行く約束をした。


周は今。部屋で仕事してるから、邪魔しないように静かに周の家を出て。

自分の家に帰る。


「この部屋っているのかな」


最近周の家にいることの方が多くなってる気がする。

また今度雫さんにでも相談してみよう。


しばらく待ってるとお風呂が沸いたことを知らせる音がなった。


湯船に浸かる。


「ふぅーきーもーちー」


お風呂は至福の時間。ずっと湯船に入ってたい。

あ、でも周と一緒に布団に入ってる方があったかいかも。


お風呂とは違った、暖かさがある。


今は、お風呂で我慢。


髪を丁寧に洗って体も洗う。

髪にはトリートメントを。


周に喜んでもらえるように最近は結構髪の手入れをしっかりとしている。


髪がサラサラだといっぱいナデナデしてくれる。


お風呂から上がるとドライヤーで髪を乾かす。


1人でこの髪を乾かすのは結構大変で時間がかかる。

クラスの女子には短くしても可愛いって言われたけど、周はロングが好きらしいから切るつもりはない。


一生懸命ドライヤーで乾かす。

これを怠ると髪がゴワゴワになるし、絡まる。


大変だけど、それに見合った対価は得てる。


もっと前からしっかりやってればよかったと後悔してる。

それでも、まだ周のようにうまくはできない。


なんとか時間をかけて髪を乾かす。


「ふー疲れた」


髪を乾かすだけでも一苦労。


花音に教えてもらったスキンケアやらなんやらを重たくなってきたまぶたを必死に持ち上げる。


「むーめんどくさい」


んーん。これも周に喜んでもらうため。

頑張らないと。


首を振って眠気を飛ばして終わらせる。


「お…わ…った」


バタン


ベッドに倒れ込む。


(風邪ひかないように、ちゃんとあったかくして寝ろよ)


今にも意識が飛びそうになる中、周の声が聞こえた気がした。


残りわずかの気合いで体を動かして布団の中に入る。


「…おやすみ」


体の力を抜いて目を閉じるとすぐに意識は飛んだ。



チュンチュン


「んーーふぁあ」


ベットから起きて体を伸ばす。


「時間は大丈夫」


スマホで時間を確認して家を出て周の家のドアを開ける。


「おはよ」


すでに起きて、朝食を作ってる周に声をかける。


「おはよ」


いつものようにソファに座って朝食ができるのを待つ。


周は、朝食を作ってる。

今なら…


そろーりそろーりとクマの方へと近づいていき手を伸ばす。


「さや?」


「…ん?」


「ダメだよ」


こっちをむかずにそう言った。


「ん」


なんでわかるんだろ。

周は360°見えてるのかな。


朝食を食べて、しばらくして家に戻り服を着替える。


「行ってきます」


行く前に周の家に寄って一言伝える。


「いってらっしゃい」


ん。この一言でなんだか気分が上がる。


花音との待ち合わせ場所である。駅へと向かって歩いていく。


どうやらまだ花音は来てないらしい。


「あ、ごめんごめん。まった?」


「大丈夫」


「そっか、ならよかったよ」


すぐに花音はきた。


「ショッピングモールでいいんだっけ?」


「ん。周が色々売ってるって言ってた」


「ならそーしよー」


早速電車に乗って向かうことに。


「さやちゃん何買う?」


「んーどしよ」


スマホを取り出して調べてみる。


「これは?」


花音が見せてきたのは、マグカップ。


「ん!それがいい!」


日常的に使えるし物だし周とおそろいもできる。


「花音はどーすんの?」


「とりあえず、香水でも買おっかなーって」


「香水?」


意外


「花音と同じ感じのやつにして他の女が取り付かないよーにね」


なるほどなるほど。


私も香水買おっかな…あ、でも私つけてないし。

でも、今の周匂い好きだからいーや。


ショッピングモールに入り、最初はマグカップを見に行くことにした。

プレゼントとして人気なのか、いろんなマグカップが売っていた。


その中のペアになっているのを探す。

ハート柄や男女のイラストが入ってる物。

いろんな物がある中なかなか見つからない。


「いーのあったー?」


花音がこっちにきた。


「まだ」


「こうも量が多いと見つけるのも大変だね」


「ん」


さてと、なんかいーのないかなー


ん?


「これにする」


見つけたのは真っ白の陶器のマグカップ。


「そんなシンプルなのでいいの?」


「ん。綺麗」


柄も何も特にない純白のマグカップ。

特徴的なのは、持ち手が平たいうどんみたいになってるのと他のマグカップより一回りか二回り大きいサイズなこと。


会計へと持っていく。


「ラッピングお願いします」


「わかりましたー」


店員さんにそう伝えるてラッピングしてもらうことにした。


「買った」


「よーし!次は花音の!」


香水かーお店臭そう。


お店は思ったより臭くなかった。


「どーしよっかなー」


選ぶ花音を置いておいて、お店を見渡す。

いろんな奴の匂いを嗅いでみることにした。


おー花の匂い。

あ、これもいい匂い。

うげ、この匂いきつい。


「決まったよー」


花音がこっちを呼ぶ。


「どれにしたの?」


「これこれ」


花音が選んだやつの匂いを嗅いでみる。


あ、花音の匂いに似てるかも。


「ん。いい匂い。花音と同じいい匂いがする」


「ふふーん、いいでしょー?」


お会計を済ませてお店を出る。


「帰る?」


「あと、もう一つ買お。2人で男どもへのサプライズ!」


「ん、やろ」


どうやら花音には作戦があるらしい。

と言うことでなんでも売ってる百貨店のおもちゃコーナーへと来た。


「ここで何買うの?」


「もっとおくー」


さらに奥へと行くとコスプレ衣装が売っている所へ出た。


「これこれ」


花音が持ってきたのはサンタのコスプレ衣装。ミニスカの。


「…本気?」


「まじまじ、これで男はイチコロよぉ!」


ふむふむ


「いいよ」


「いやったー!」


花音とお揃いのを買った。


「クリスマス楽しみ」


「だね。2人を驚かすのが楽しみだよー」


ん、これで周と既成事実を作る。

正直、ミニスカサンタの衣装はなかなかキワドイラインを攻めてる。


これで落とす!


プレゼントを置きに花音も連れて家に戻る。


「ただいまー」


「お邪魔するよー」


「おかえりー」


周はこたつで仕事中だった。


「おぉ!何このクマいいなぁー!」


花音がでかいクマを見つけて飛び込んだ。


「ごら」


と、思ったら周に止められた。


「これ、クリスマスプレゼントだから触るな」


「えーいいじゃーん。ちょっとだけだから」


「だめ」


花音にも厳しい。


「2人も買ってきたのか?」


「ん」


いいのが買えた。


「さや何買ったの?」


「ひみつー」


クマ触らせてくれないから教えない。


「まあ、お楽しみだな」


「ん。そう」


花音はプレゼントを置くと足早に帰っていった。

なんでも今日は優と遊ぶとか。


忙しい人だ。


冷たい手足を温めるためにこたつに体を突っ込む。


「あったかーい」


至福。


「いいの買えた?」


「ん。期待してて」


「それは、よかったな」


周に頭を撫でられた。

んふふ。クリスマス楽しみだなー。

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