第72話 クリスマスプレゼント 〜男編〜
「おはよ」
優と駅で待ち合わせてでかける。
今日は珍しく優と2人っきり。
浮気とかでは断じてない。
「どこ買いに行く?」
「ショッピングモール行けば何かしらあんだろ」
今日2人で買いに行くのは彼女へのクリスマスプレゼント。
何買うかはまだ決めてないんだけどね。
電車に乗りながらGoogle大先生にクリスマスプレゼントは何がいいか聞いてみることにした。
おでかけ。食事。
これは当日4人でパーティーだしな。
アクセサリー類。
なんか重い。大人ならそれでもいいかもしれないけど。
俺ら高校生だからな。別に相手も嫌がらないだろうけど。
変に気を使わせそうだからな。
花束。
そんな恥ずかしいことできねーよ。
バック。
これもアクセサリーと同じ感じだなー。
んー大人向けすぎる。
なるほどね。
ショッピングモールへと足を進める。
「んで?何買うか決まった?」
「いや、全く」
んーどーすっかなー。
高すぎるのもあれだし、逆に安すぎるのも。
そんなに気を使わなくていいってさやはいいそうだけど、ここは男子の意地にかけていいものをプレゼントしないとなー。
目的のものは決まってないのでとりあえずお店をぶらぶらして色々見てみることにした。
ちょうど、おもちゃ屋には入り、その物を手に取る。
見つけた。
「俺、これにする」
「デケェな」
クマのぬいぐるみ。さやよりも少し小さいくらい。
普通のと比べるとめっちゃビックサイズ。
「ほんとにそんなん買うのか?」
「ああ、ぴーんときたからな」
俺の感性がこれだと言ってる。
お会計を済ませてクマを背負う。
生憎とこれが入る袋はなかったのだ。
ラッピングもできなかったので首に『さやへ』と書いたメッセージカードをつけてもらった。
待って、これ持ち帰るの大変じゃね?
「これ、あげる前にバレるじゃん」
あーそれは…
「がんばって隠す」
「ぜってー無理」
信用ねーなー
押し入れにでも入れておけばバレないだろ。
「あとはお前の分だぞー」
「お前と知り合いだと思われたくねーんだけど」
仕方ないだろ。袋ねーんだから背負うしかないじゃん。
「まあ、なんかスマン」
すごく視線を感じるんです。
それにしてもこのクマふかふかだな。
俺の分も欲しいくらいだ。
…
「マーダー?」
すでにこのショッピングモールを二周してる。
「うーん」
三周目に突入です。
こいつめんどくせぇ。
「とりあえず店員さんに聞いてこい」
ここに来るまでもクリスマスプレゼントを取り扱ったお店は結構な数あった。
時期が時期だからな。
「はぁ…そーすっか」
「はいいってらー」
俺は外で待ってることにした。
なぜって、このクマさんがデカすぎる。
そう、デカすぎて邪魔になってしまうのだ。
ここまでですでに何回か怒られてしまった。
しばらく待っていると満足した顔で優が袋を持って出てきた。
「何にしたの?」
「ハンドクリームとかそう言うやつ」
普段使いできるし、もらっても困ることも基本ないからいいやつ。
「なるほどね。そんじゃ帰りますかー!」
「まだだ、その前に行くとこがある」
ん?
優の後を歩いていくと向かった先はアクセサリーショップ。
「なるほど。いいんじゃねーの?」
「そのニヤニヤした顔をいますぐやめろ」
「わりわり」
ついついな。
またなっげー吟味してんなー。
まあ、俺も人のこといえないか。
指輪決めるとき死ぬほど悩んだもんなー。
「待たせたな」
「いや、本当に」
今度こそ家へと帰る。
「あげるの?それ」
「まあな。最近色々あったろ」
そういや、修学旅行あと色々ありましたねー
「いいと思いますよー」
「その顔うぜええ」
ニヤニヤが止まらんわ
「お前だって指輪あげてたろ」
「まあな」
あれは、うん。あれだから。
「てか、吸血鬼に銀っていいのか?確かシルバーリングって言ってたよな?」
「それは伝承だけらしいよ」
「まじか」
俺も結構これ聞いた時は驚いた物だ。
「白金とかにすればよかったじゃねーか。なんつって」
「白金だと流石に重たいだろ。最初は考えたけどやめた」
お金は問題なかったんだけど。流石に付き合った記念に白金の指輪って婚約でもあるまいし。
(買えたんかい!!!)
「ん?優なんか言った?」
「いや。呆れてなんも出てこねーよ」
「はぁ?」
クリスマスパーティーはうちで行う予定なので優もうちにプレゼンントを置いていくことに。
はあ、このクマさん運ぶの結構大変だな。
「ただいまー」
「邪魔しまーす」
「おかえりー」
さや来てたのか。ふー疲れた疲れた。
「おい周!」
小声で優が呼んでくる。
「なんだよ」
「いや、クマ」
あっ!
時すでに遅し
「クマ?」
「え、えっとー」
い、言い訳、言い訳…だめだ。
「クリスマスプレゼントにな」
「言っちゃうのかよ」
だって言い訳思いつかないし。
「さ、さわりたい!もふもふしたい!」
だいぶ好評だな。やっぱこれにしてよかったわ。
しかし!
「クリスマスまではダメだよ」
「ちょっとだけ」
そんなあざとい顔してもダメだ。
「ダメだよ」
「お前性格悪いな」
「クリスマスプレゼントだからな」
昔俺が親にやられたことです。
優はうちにプレゼントを置いていくと家に帰っていった。
「優は何買ったの?」
「それもクリスマスまでお楽しみ」
「むー気になる」
「クリスマスまで待つんだな」
さてと、クリスマスの準備をしよう。
「さや、ちょっと手伝って」
「手伝ったらクマ触っていい?」
「だめ」
「ムー」
そう言いながらも手伝ってくれるらしい。
「何するの?」
押入れの奥深く、こっちに来るときに母さんに押し付けられて使う機会もないと思っていた物。
そう。
「クリスマスツリーってやつ」
「おー!あるの?」
「まあな」
奥深くに埋まっていたのをなんとか取り出す。
さてと、中は大丈夫そうだね。
木の本体を取り出して、組み立てテレビの横に置くことにした。
「さて、こっからが大変だ」
「何するの?」
「こいつらを飾り付けていく」
この大量の飾りを木にぶら下げていく。
「一箇所に固まりすぎないように全体的になー」
「ん」
ひたすらいろんな飾りをつけていく。
ふー終わった終わった。
「ラストはこれだな」
クリスマスツリーと言ったらこれ。
星
さやに渡す。
椅子を持ってきて、つけてもらう。
「できた」
木に内蔵されているLEDを点灯させると一層クリスマスツリー感が出る。
「すごい」
「だろ?」
これがあるとクリスマスだなーって感じがするんだよね。
買ってきたクリスマスプレゼント達をクリスマスツリーの下へと運ぶ。
「おいしょ」
「クマ運ぶ」
…まあ、仕事だからな。
「よろしく」
さやに渡す。
「ん!ふかふかぁー」
さやがほとんど同じ大きさのクマを抱き抱えて進む。
それ前見えてねーだろ。
「はい。ここ置いて」
「ん…」
名残惜しそうにクマをクリスマスツリーの下においた。
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