第69話 雪だるま

さむっ


朝起きるといつもよりいっそう寒い。


うー布団からでたくねー。

でも今日学校なんだよなー


頑張ってベットから体をだす。


うー寒すぎだろ。


鳥肌のたつ体をさすりながら暖房をつけてカーテンを開けると外は白銀の世界と化していた。


まじか


どうやら夜の間に雪が降ったらしい。


雪が降ってテンション上がるような歳でもない。


「これは学校行きたくねえ。休もうかな」


まず第一に寒い。第二に寒い。第三に寒い。


以上の理由から私は学校をさぼりたいです。


「おはよ」


さやが入ってきた。


まだなんも準備できてねーや。


「おはよ」


「雪降ってた」


「だね。だから学校今日休まない?」


「ちゃんと行かないとメ」


だめかー


まあ、この調子じゃ遅れるのは確定かな。


まだ着替えてないし朝ごはん作ってすらないし。

何?朝ごはんなんて食べてないで学校に行け?やだよ。


朝ごはんはちゃんと食べたほうがいいって学校の先生が言ってたもん。


気分が乗らないせいで作るのに時間がかかる。


さやは遅れることは別にいいらしく。外の景色を眺めてる。


「あーできちゃった」


ものの10分ちょいで朝ごはんができてしまった。

もう少し時間伸ばしたかった。


「「いただきます」」


ご飯を食べて着替える。


「…はーいくか」


「ん」


すでにさっき学校から電話がかかってきた。


何故来ないのかと


寝坊しただけと伝えておいた。


「うーさむ」


マフラーを首に巻く。


「周、手」


「はいよ」


さやは冷え性だから手が冷たい。


「ん。あったかい」


さて行きますか


意外と雪はベチャベチャにはなってなかった。

ただツルツルだが


「うわ!」


「大丈夫か?」


足を滑らせたさやを支える。


「ん。ありがと」


「どっかぶつけてない?」


さやはお尻をはたきながら確認する。


「ちょっと、腰ぶつけた」


「大丈夫そう?」


「ん。大丈夫」


そっか、よかった。


学校に着くとまず職員室にいく。


遅刻した時はまず職員室にいかなければ行けないめんどくさいシステム。


「あれ?中野先生」


「あれー2人とも一緒に遅刻?」


「えっとーまあ」


絶対いじられる。


「んー腰少し痛い」


ん?


「腰?ハ!?なるほどねぇ〜」


ニヤニヤしながら書類を書く中野先生。

絶対誤解してる。


「さっき転んだだけですよ」


「ふーん。恥ずかしがらなくてもいいんだよ!」


めんどくせえ


遅刻用の書類を書いてもらってから職員室を出て教室へと向かう。


「腰大丈夫か?」


「ん。たぶん」


腰をさすりながら答える。


本当に大丈夫かね。


教室に入るとすでにみんな1限目の授業を受けていた。


2人揃って遅刻。さやは腰を摩ってる。


…まずい。


「え、これってそーゆーことかな?」

「きゃーやばくない?」

「クソォ高坂の奴うう」

「やばー」


そこらじゅうから小声がだだ漏れしてる。


うん。完全に勘違いしてる。


「はーい。授業の続きするから2人とも早く席について」


先生にそう言われてそそくさと席につく。


キーンコーンカーンコーン


授業が終わると優と花音が真っ先に飛んできた。


「ついにやっちゃいましたね!」


「こいつはやると思ってたわ」


ウゼェ


「で?どうだった?感想聞かして!」


もし仮にやってたとしても言わない。


「まず、やってない」


「え?やってないの?」


逆になんでやったと思ったし。


「成瀬が腰痛がってたのは?」


「来る途中転んだだけ」


「なんで遅刻したの?」


「だるかった」



「なーんだつまんないのー」


「ちぇ、しけてやがる」


なんなんだーこいつらは?


「まあ確かにやったら次の日は休むかー」


「俺らはそうだったしな」


公共の面前で何を言ってんの?


「あの時そうだったんだ」


「ま、そう言うこと」


別に知りたくもなかった。


その後なんとかみんなの誤解はとけた。


お昼になり今日は4人でご飯を食べる。


花音とさやは足にマフラーをかけていた。


確かにこんだけ寒いとJKってのは大変だな。


「寒いならタイツでも履けよ」


ちょうどその時優がツッコンだ。


「なーにーどーせ。優が黒タイツ見たいだけでしょー変態さーん」


「ぐは」


どうやら図星だったらしい。まあ分からなくもないけどさ。


「でも、最近寒いし着よっかなー」


「ぜひ低めのデニールのを」


なんだこいつ変態丸出しじゃねーか


「仕方がないなー」


こいつもこいつでなんだかんだ乗り気だよな。

さすがバカップルですわ。


「周も黒タイツ好き?」


さやが聞いてくる。


「まあ、嫌いではない…かな」


「おい周お前だって男なら好きだろ!」


ウルセェ


「嫌いではないかな」


「ん」


うん。変な空気感


「さやちゃんのマフラーってそれどこで買ったの?」


「周にもらった」


「あーどーりでどっかで見たと思った」


「ちょっとかーして」


さやの膝からマフラーを取ると匂いを嗅いだ。


「くんくん。確かに周の匂いがする」


「むーだめ。これは貸さない」


「あ、ごめんごめん」


ねえさや、マフラーの匂い嗅いで蕩けた顔するのやめようか。


「さや、ここ学校」


「あ、ん。気をつける」


「なんて顔させてなんだよ。麻薬でも入ってんのか?」


「そんなことはない」


全く失礼な


学校が終わりさやと一緒に帰る頃には雪もとけ初め俺の嫌いなぐちょぐちょが所々にできている。


「腰の方は大丈夫?」


「ん。もう完治」


それはよかった。


家に帰ると着替えて布団に引きこる。


「ただいま」


さやが帰ってきた。


「雪だるまつくろー」


「やだ、寒い」


「むー一緒につくろ」


「寒いっす」


布団の中にさやが入ってきた。


「つくろ」


「えー寒くない?」


「寒い」


でしょ?


「でも作りたい、お願い」


…あーやだヤダヤダアイラブ布団


「…いいよ」


「やった!」


その顔はずるいって。


防寒装備を身につけて外に出る。


「さて、雪だるまか、俺がしたの作るからさやは頭お願い」


「ん。任せて」


意外とマンション前の雪はしっかりと残っていた。


雪をコロコロ転がして土台となる玉をつくる。


こんなもんか。そこそこの大きさの大きさができた。


「こっちもできた」


さやは土台より一回りか二回り小さい雪玉を持ってきた。


「おいしょ」


あとは枝とかさして完成だな。


「できた!」


意外と様になってるな。


「一緒に写真撮る!」


嬉しそうにこっちを見てくる。


「はいはい」


「んー寒い帰る」


切り替え早いな。


「布団あったかーい」


「やっぱこれだな」


布団の中であったまる。


「ぎゅーってして寒い」


「いいよ」


さやを抱きしめる。



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