第67話 戦い



マンションに着くとさやと分かれて自分の家のドアを開ける。


「さて」


部屋着に着替えてさやがくるのを待つ。


今日は愛でるのだ。存分になんならさや嫌がるまで。


「ただいま」


ご本人様登場


「おかえり」


さて、どう調理してやろうか。いきなり抱きついてみようか


「ん」


さやが手を広げてくる


「ん?」


「んー」


えっと。先手を取られた。


なんでだ?


とりあえずさやを抱きしめる。


至福


「ん。よき」


「どしたの?」


「今日はガチで甘える日」


どうやら俺の甘やかす日とさやの甘えたい日が重なったらしい。


「言っとくけど俺もガチで愛でるよ?」


「ん」


取り合えずソファに座る。


「ぎゅーして」


ぎゅーーーーーーーーー


「ちょっと苦しい」


「ごめん」


あーやばい。かわいい。


「周?」


「どしたの?」


「私嫉妬した」


こっちのセリフだと言いたい。


「…何に?」


「女子との距離が近い。頭撫でたりとか」


…否定できないかも


「それは…まじでごめん。でも俺から言わせろ。男子との距離近い」


「ん?そう?」


「俺が嫉妬する程度には」


「周も嫉妬してたの?」


俺だって嫉妬する。


「まあな」


「じゃあ、安心」


安心?


「どゆことだ?」


「嫉妬するのは好きだから」


なるほどね


「なるほど。さやも然りか」


「ん。大好き」


面と向かって言われるとちょっと恥ずかしいんだが。


「周だけ言わないのはずるい」


えぇ…


「俺もさやのこと大好きだよ」


「んーいい」


さっきよりも強く抱きしめてくる。


あはは。ちょっと痛いよ


プルルルル


俺のスマホが鳴った。


電話の主は花音。


「もしもし」


スピーカーにおく。


[どーせ今頃さやちゃんといちゃついてるだろうから。一言で避妊はしっか]ブチッ


わざわざ電話してくんなや


「避妊は大切」


君も何を言ってるんだ?


真面目な顔で言うな。

いや、大切だけど。


「ん」


目を瞑ってこっちに顔を向けてくる。


えっと…本当に今日はオンパレードだな。


「ん、んーちゅぱ」


あの舌入れてくるのは聞いてないかなーなんて

この子止まらんな


おーがんばれ俺!耐えろ!おおおおお息子ォオ


あ、だめだこれ


こーなったら…


さやをソファに押し倒す。


この四つん這いの状態ならバレない…ハズ!


「え、ええっと、シャ、シャワー浴びてからがいいかももも」


首元まで真っ赤に染まってる。


「いや、いいから」


「えええ、えっとこのままの方がいい?で、でも心の準備がが」


変な性癖みたいに言わないで。


「そう言うことじゃない。やらないから」


「…びっくりさせないで」


「そんなに反応するとも思わなかったから」


「周、いじわる」


そー言われましてもうちの息子が臨戦態勢になっちゃたから


「周のはヤル気まんまん」


ん?


「なんでそー思った?」


「サキュバスだから」


「…え?嘘だよね?」


「ん。うそ」


変に驚かせるな


おかげでなんか収まってきたし。


「ベットいこ」


「え?」


「別にそーゆー意味じゃない」


ジト目でこっちをみてくる。


(なんだびっくりしたぁああー)


「そ、そうか」


「周のえっち」


あはははは。男ですから。


なんだかんだ結局移動しないし。



後ろから抱きしめながらナデナデ。


んーよきである。絶妙な大きさとやらかさがたまない。


そしてこのサラサラヘアー。撫でてよし。手櫛してよし。満点です。


「周って匂いフェチ?」


「んーさやの匂いは好きだけど、匂いフェチかはわからん」


「周もいい匂い」


男なんて臭そうなもんだけど。


女の子ってなんでこんな匂いするんだろうね。まじで惚れる匂い。


「もっと頭撫でて」


「はーいよ」


「これで、クラスの女子よりもいっぱい撫でられた」


何を張り合ってんだよ


「周のことも撫でてあげる」


今度はさやが後ろに回る。


身長差の関係でさやは膝立ち。


「いーこいーこ」


「いや、俺赤ちゃんではないぞ?」


「ん。わかってる」


優しく髪を撫でてくれる。

あ、これ結構いいかも。落ち着く。


「いい匂い」


「本当に?臭くない?」


なんか怖いんだけど


「ん」


首元にさやの息が当たる。


「えっと、膝枕いい?」


「周からは珍しい」


「ちょっと横になりたい」


「ん。いいよ」


頭撫でられたらぼーっとしてきた。

なんかこれ、すごく落ち着くんだよね。


「10分くらい寝ていい?」


「ん。いいよ」


「10分立ったら起こしてくれ」


「ん」


さやに撫でられながら眠りにつく。


「10分たった」


さやの声に目が覚める。

10分はあっという間だった。

それにしてもなかなか至福だった。


「ありがと」


「ん。代わりに背もたれになって」


背もたれ?


ソファにもたれかかって座りその前にさやが座って俺に倒れてくる。


「ん。手はシートベルト」


「はいはい」


さやのお腹をギュッと。


スマホをいじりながら暇をつぶす。


「周?」


「どした?」


「呼んだだけ」


なんじゃそりゃ


「さて、そろそろご飯作りますか」


「むーもうちょっと」


「はいよ」


もう少しの間さやをぎゅーっと抱きしめておく。


「ん」


さやがこっちをに体を向ける。


「どしたの?」


「こっちがいい」


そのまま首に手を回して抱きしめてくる。


今日は本当によくくるな。

この全身で感じられるの好きだわ。

やばい。


「あったかい」


「そうだな」



「さて、そろそろいい?」


「ん」


ソファから降りてキッチンへと向かう。


「さやさん?」


「ん?」


俺の服の裾を掴みながらスマホみてる。


「包丁使うから気をつけてね?」


「ん」


ちなみに今日の夕飯はグラタン。

作るのは早いんだが焼くのに地味に時間がかかる。


「はい。オッケ。あとはオーブンで焼くだけだね」


「ソファいこ」


「ちょっと待て」


オーブンはすでに温めておいたのであとは突っ込んでタイマーつけて。

よし。


「いこっか」


「ん」


抱き合いながらスマホをいじってる。

何この態勢。


俺はさやの背中の後ろでスマホをいじり、さやは俺の後ろでスマホ触ってる。


まあ確かにこの体勢なら抱き合いながらスマホを触れるけど。


まあいっか。


さやの髪を手櫛でとかしながらいじる。


「さやの髪本当キレイだな」


「ん。周のおかげ」


まじでこの髪好き


「私より私の髪の方が好きそう」



「それはない」


「変な間があった」


「どっちも好きだから」


「むー」


やーだってこの髪やばいもん。ずっと触ってられる。


ピーー


「お、タイマー鳴ったな」


「ん。お腹すいた」


スプーン用意してグラタン出してと。


「「いただきます」」


あっついけどうまい。


「美味しい」


「だね」


夕飯を食べて食器を洗う。


お風呂準備しないと。


「一緒にお風呂入る?」


「なんでそう思った?」


「この前一緒に入ったから」


「ない」


「けち」


えぇ。


「水着着れば大丈夫」


「…だめ」


理性が今日すでに一回崩壊しかけてるから


「入る」


確定?


「まじ?」


「まじ」


うちのお風呂そんなに広くないんだけどな


「ジャンケン」


完全に運ゲーとかした。


「ジャンケンポン」


負けた。


「一緒に入ろ」


「水着着ろよ」


「妥協」


妥協じゃねーよ


水着を取りに家に戻った。


さやが戻ってくる頃にはすでにお風呂も沸いた。


さて、入るか


「無駄に緊張する」


俺が先に入って後からさやが入ってくる算段。


お風呂で体を洗ってるとさやもお風呂に入ってきた。


「…そんな水着持ってたっけ?」


夏に見たのとは違う。

今来てるのは黒三角ビキニのやつ。


「へ、変?」


「いや、似合ってるよ」


「ん。ありがと」


2人で湯船に浸かると流石に狭い。


「眠くなってきた」


「お風呂で寝るなよ?」


「んー」


これはヤバそう


「頭洗ってー」


「はいはい」


別に喜んでなんかない。やばいニヤける。


「んー気持ちぃー」


将来美容師になろうかな。


いや、さやの髪がいいからやめた。


「体も」


「はー…だめだろ」


「むーいけると思ったのに」


危うくやっちゃうところだったわ


先にお風呂から上がり着替えてベットでスマホをいじってるとお風呂から上がってきたさやがやってきた。


「むにゅー」


ベットに寝転がった。


あ、自分で髪乾かしたのか。

別に残念とか思ってないし


俺のお腹に頭を預けて抱きついてくる。


ふー。俺も寝るか

スマホを置いてさやを俺の横に倒して布団をかける。


「おやすみ」


「んー」






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