第66話 ムスー

ーside周ー





朝起きて、いつものように朝ごはんとコーヒーを2人分入れる。


「おはよー」


「ん。おはよ」


さやが着替えてうちの家にきた。


「「いただきます」」


朝ごはんを食べて身支度を整えてから家を出る。


これがいつもの生活。


しかし、最近困ったことがあるのだ。


「おはよー」


「成瀬さん。おはよ」


学校についてさやと別れるとさやの周りにはいろんな人がいる。


困ったことそれは、さやの周りに最近男子が多い…

理由はわかってる。

今まで雲の上の存在だったさやがフレンドリーになったから。


別にいい。友達増えて楽しそうだし。何より縛りたくはない。



ムスー


「どったの」


「いや、別に」


「最近成瀬の周り人多いもんなー。気持ちは察するぜ」


こいつの彼女も人気者だからな。確かに優も大変そう。


「お前はどうしてんの?こーゆー時」


「ん?俺か?2人の時に愛でまくるか…花音ー」


「どしたの?」


教室の前で話してた花音がこっちにきた。


するといきなり、花音の手をとって抱きしめる。


「こんな感じ」


参考にならない。


「そんなことできるのはお前らくらいだっての」


「いきなりどしたの?」


まだ、何も事情を知らない花音が聞いてきた。


「あれあれ」


優がさやの方を指差す。


「あーさやちゃんの人気すごいもんね」


ハァ


「まあ、それは周もだけど」


「ん?なんか言った?」


「別にー」


そういうと花音はまた女子たちの方へと戻っていった。


キーンコーンカーンコーン


「おっと、じゃあな」


始業のチャイムがなって優は自席に戻って行った。



ふー終わった。最近どんどん難しくなってるな。


「ね、ねえ。高坂くんこの問題教えてくれない?」


「ん?いいよ」


さっきの授業でやってたやつか。


・・・


「…じゃあここは?」


「これ?」


「そーそーできてるじゃん」


この子のみこみが早いな。


ついつい彼女の頭を撫でてしまう。


「え?」


「あ、いや、ごめん」


このクセ治さないとなー


「え、あ、あ、ダダダ大丈夫。うん!」


大丈夫そうには見えないけど。


「うちにも教えてよー。これこれ」


「あ、抜け駆けずるい!」


「ならさ、放課後教えてよ!」


放課後はアレがあるんだよな。


「わり、放課後は無理だわ」


「えーそっかー」


流石にそれやるとさやの怒られそうだし。


このどーしようもない嫉妬心を癒すためにもさやを愛でる。


他の人にも軽く教える。



最近の昼食は、週三日はさやと食べて、他二日は他のやつらと食べてる。

と、いうよりは優と食べてる。

別に一緒に食べたいわけじゃなくて、さやが他の人と食べるためってのが大きい。


のだが…男子がいるのはよろしくない。非常によろしくない。


「おーい周くーん。顔怖いぜー」


「…わり」


「ねーねー、一緒に食べてもいいかな?」


クラスの女子が聞いてくる。


「どーする?」


「俺はいいぜ」


「いいよ」


女子にそれを伝える。


「お互い様だろ、これは」


「なんて?」


「なんでもなーいでーす」


なんなんだ?


結局その日はその女子たちと昼食を食べた。


帰りのHRが終わってさやがこっちにきた。


結局学校ではあんまり話すことない。


「帰ろ」


「おう」


さやの手をとって学校を出る。


覚悟しとけよ。今日はめっちゃ可愛がるからな。






ーsideさやー






今日もいつものように朝起きて軽く身支度を整えて周の家に向かう。

細かいところは周の家でやる。


家に着くとすでに美味しそうな朝食をあっかいコーヒーが用意されていた。


「「いただきます」」


朝食を食べたら身支度をする。

最近は1人で寝癖を治せるようになった。


寝癖を治したら周に仕上げに櫛でとかしてもらう。これが朝の至福の時間。


準備が整ったら家を出る。


いつものように周と一緒に学校へと向かう。


最近は周りに人が増えて楽しい。

学校に行けばいろんな人が話しかけてくれる。


「ねね。今日一緒に遊び行こー!」


「俺らとカラオケ行かねーか?」


けど、今日はかねてより予定があるのだ。


「ごめん。今日は無理」


それに流石に男子と遊びに行くのは抵抗がある。周が嫉妬しちゃうし。


その後も授業が始まるまでみんなと話していた。



キーンコーンカーンコーン




最近困ったことがある。

それはアレ。目線の先にあるもの。それは周がいろんな女の子に勉強を教えたりおしゃべりしてる。


ムスー


「どーしたのー?さやちゃん」


「ん。アレ」


周の方を指差す。


「ふふ。ああ、アレね」


「なんで笑ったの?」


「なんでもなーい」


あ、頭撫でてる。


ムスー


「まあまあ落ち着きなって」


「むー」


距離が近い。


「花音はいつもどーしてる?」


「んー?押し倒してみたり、酷かったら優の恥ずかしい話する」


何それ?


別に縛りたくはない。周にもいろんなん人と仲良くしてほしいし。


でも、でも嫉妬しちゃう…


「それかー。おーい優きてー」


優を呼び出す。


「どした?」


なんで呼ばれたかも理解してない。


「優好きだよ」


「お、おう。そうか」


…ん


「ちーがーうー。優は花音が?」


「大好きです」


「はい。よろしい」


これはほとんど強制


「んで?どしたの?」


「あれあれ」


「ぶふ。なるほどね」


優も笑った。


「なんで優も笑うの?」


「いや、悪い。思い出し笑いだ」


絶対違う



ムスー


今日は帰ったら周が嫌がるまで甘えてやるもん。




最近お昼は別々で食べることがたまにある。


今日も別々で食べてる。


「すげーなー成瀬の弁当って手作り?」


「ん」


「成瀬さんすごいね!」


ん。周の手作りだからおいしい。


いろんな人と一緒に話しながらお昼を食べるのは楽しい。


けど…困った。


周が女子と一緒にご飯食べてる。

楽しそうだし。


むー


「そんなに気になるなら一緒に食べる?」


花音がそんな提案をしてきた。


「んーん。いい」


嫌がっても甘えるのやめないことにした。


ムスー


帰りのHRが終わり周のもとへと行く。


「帰ろ」


「おう」


手を出すと周がその手をしっかりと握ってくれる。


今日甘える。嫌がってもやめない。覚悟。






こうして、周とさやとの間で熾烈な戦いが始まろうとしていた。










(後書き)


遅くなってごめんなさい!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る