第64話 お買い物
修学旅行から数日がたった。
「おはよ」
「おはよー」
今日は雫さんが来てる。
「うーさむい」
最近は朝とか夜が寒すぎる。
「そろそろ雪とか降りそうだよね」
「スノーボードやってみたい」
そういえばそんなこと言ってたっけか。
「さやってウェアとか持ってる?」
「んーん、持ってない」
借りるか?
「じゃあ、買いに行こーよ。私の買い物付き合ってくれるならウェア買ってあげるし、車も出すよ」
それはありがたい。
「そーすっか」
「ん。そーする」
服を着替えて外に出る。
雫さんの車は地下の駐車場にあるらしい。
雫さんの車かーなんだろ。
ランドローバー。わー高そ…
「はいのってー」
後ろの席にさやと俺は座ってシートベルトを閉める。
向かうはアウトドアショップ
「よーし出発!」
「「おー」」
車に乗ってて思ったことそれは、ギア変えるのうますぎません?
スムーズすぎてやばい。オートマかと思った。
あと、なんかナビの下に色々とボタンついてる。
どー考えても正規品ではない。
細かいボタンに、真ん中には赤いボタンがカバーついてるし押したらやばそう。
気にしないでおこう
「ついたよー」
危険な車を降りる。
「さて、いこっか」
冬になり始めてアウトドアショップは冬物ばっかりウェアも結構な数がある。
「今年の流行のウェアってどこですか?」
店員さんに聞くのが結局一番早い。
「ここが今年のモデルで、流行のものです」
「ありがとうございます」
結構いっぱいあるね。
「これかわいい」
試着してみるためのを何個か選んでいく。
一つ目は白と藍色の上着にピンクのズボン。
二つ目は黒のパーカーに白のズボン。
三つ目はカラフルな上着にパステルの緑のズボン。
「着てみる」
「行ってら」
ウェアっていいよね。
何がいいってさ、夏は露出が多くてエロさがあっていいと思うけど。ウェアってのはエロさはないけど、その代わり可愛さはめちゃくちゃ出ると思うんだよね。
よく雪やまは女子が3倍可愛く見えるとか言うし。
実際雪とウェア効果は強い。
まあ、さやの場合は元々かわいいから。
そんな効果なくてもいいんですけどね。
「着替えた」
試着室から出てきた。
最初に来てるのは一つ目の白と藍色の上着にピンクのズボン。
普通にかわいい。
ちょっとダボっとしてるのがまた可愛さを引き立ててる。
「どお?」
「普通にかわいい。だけど厳しく言うとさやの髪が銀髪だから白と被っちゃってるかな」
「確かに…髪ない人みたい」
そこまでではないけどね。
「他の着てみる」
次に着たのは、二つ目の黒のパーカーに白のズボン。
シンプルだが、これはなかなか、と言うかこの子パーカー似合うな。
さやの綺麗な銀髪が映えてて綺麗。
こいつは可愛すぎるかもしれん。
「どお?」
「うん。よき」
「それだけ?」
「ああ」
これはだめだ。可愛すぎて周りから視線を集めてしまう。
ただでさえいつも目立つんだから変な人に絡まれたら困る。
さやがまた着替えに試着室へと戻った。
「ラスト」
次は、三つ目のカラフルな上着にパステル緑のズボン
「どお?」
いい。いいけどカラフルすぎて、しっとりとしたさやには向いてない気がする。
似合ってはいるけど。これだったら最初の方がいいかな。
「似合ってるよ。けどさやのキャラとあってない気がする」
「ん。どしよ」
考えながら試着室へと戻って行った。
「ん、決めた」
元の服に着替えて戻ってきた。
「どれにしたんだ?」
「これ」
さやが見せてきたのは二つ目のパーカーのやつ
「…なんで?俺は1個目の方がいいと思うぞ?」
「嘘。二つ目の方がいいって顔に書いてある」
「そ、そんなことないんだけどなー」
「どーせ、可愛すぎてどーしよーとか思っる」
あらら、完全に見破られてるんだけど。
「ばれた?」
「バレバレ」
これはもう、さやに隠し事をするのは無理かもしれない。
「実際それが一番似合ってたけどさ。可愛すぎるんだって、変な人に絡まれそう」
「周と一緒にいれば大丈夫」
まあ、どうなんだけどさー
「これに決めたから」
「離れんなよ」
「ん。当たり前」
その後、スノーゴーグルなども決めて雫さんのところにいく。
思ってたより高いな。大丈夫かな。
「ふーん」
興味深そうに値札をみる。
やっぱ予算オーバーか…
「意外と安いんだね」
ん?安くはないぞ?
「これだけでいいの?」
「えっと、必要なものはそれだけです」
「じゃあ、会計しちゃおっか。なんだーてっきりもっと高いのかと思ってたよー」
何を考えてたんだこの人。
絶対金銭感覚おかしい。
「一括でー」
「は、はい」
雫さんが財布から取り出したのはブラックカード。
な、何ぃ!?戦車も買えるとか言うあのブラックカードだと!?
恐ろしや、雫さん。
「これで、一緒に行ける」
「だね」
「よーし次は私の買い物だー」
雫さんの買い物か何買うんだろ。想像もできない。
車に乗って移動した先はワインのお店。
ある意味、これは予想できたかもしれない。
なんかおしゃれなお店だなー。もう100年以上やってるのかー
「成瀬様いらっしゃいませ」
様?常連客なのかな?
「あ、中野くんかー買いにきたよー」
「いえいえ、成瀬様でしたらお金はいりません」
いや、どーゆーことよ。いっぱい搾り取るんじゃないの?
「いーのいーの、ちゃんと払うよ。それより例のものは入荷できた?」
「はい。もちろんでございます。おい君、例のブツを」
なんかいけないことしてるみたいだな。
「こちらです。社長」
「ありがとう」
中野さんって人社長なんだー…社長なんだ!?
社長にタメ口ってえ?いや、雫さんってそう言う人だし…
「やった!いくらで仕入れたの?」
「仕入れは120万ですが、持って帰っていただいて構いません」
いや、だめだろ。120万だよ!?
さやは、興味ないのかいろんなワインを見て回ってる。
「120万一括でいいよ。それでも十分だから」
ほんとだよ。ここから利益出すためにさらに高くなるはずなんだから
もう、なんか雫さんかっこよく見えてきた。
「創業者である。成瀬様からそんなに請求できません」
創業者かー…は?創業者!?
なんか頭こんがらがりそう。
「今はなんもしてないからいーの」
結局中野さんが妥協してくれて100万で買うことになった。
十分安くなってる。
いや、俺の感覚が麻痺してる。十分高い。
雫さんは大切そうにボトルを持って車に乗り込んだ。
帰りの道も雫さんは上機嫌だった。
プルルルル
雫さんのスマホがなった。
車を路肩に止めて電話に出る。
「はーい、成瀬です。あ、どしたの?あ、そっかーでも今お出かけ中なんだよねー。あーわかったーいくいく」
なんだろ?
「ちょっと、仕事入っちゃったから寄ってもいい?すぐ終わるから」
「俺はいいですよ」
「ん。大丈夫」
「ごめんねー」
仕事で、と言ってきたのは大手通信会社の本社。
よく聞く名前なんだよなー
「2人ともそこのフードコートでなんか食べてて。はいこれ、見せれば無料だから」
何その不思議なカード
雫さんってここで働いてたのか…
「お腹すいた」
それもそーだ
「食べるか」
フツーのフードコートと同じ感じ。
俺はカツカレーさやは、たぬきうどん。
「「いただきます」」
ご飯を食べ終わってすぐ。
雫さんが帰ってきた。
後ろにはなんか偉そうな人がついてきてる。
「終わったから帰ろー」
うん。すごく気になる。なんでこの会社の社長さんいるの?
「成瀬さん。今回は本当にありがとうございます」
「いーのいーの、人間ならそーゆーこともあるって」
しかも雫さんため口なの?上司じゃないの?
「これからも頑張ってね!」
どーゆー関係よ!?
車に乗って家へと向かう。
「雫さんってあそこで働いてたんですか?」
「ん?違う違う。今回は相談に乗ったりしただけ」
あ、違うんだ。
雫さんって裏で世界操ってそうだな…
…想像出来ちゃうんだが。怖い怖い
家に着くといつもの雫さんに戻った。
「うへー仕事めんどー」
んーやっぱ操ってるなんてことはないな。
プルルルル
「はーい、えーやだよーえー…約束だよ?じゃあ仕方ないなー。はーい」
今度はなんだろ
「ちょっとお姉さん。フランスに行ってくる」
コンビニ行くノリなんだが。
「行ってきまーす」
速攻で準備すると速攻で家を出て行った。
「「いってらっしゃーい」」
…
「結局雫さんの仕事ってなんなんだ?」
「わかんない」
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