第61話 修学旅行 最終日
さやを部屋に送ってから自室に戻ると、みんな着替えて部屋の片付けをしていた。
「やっと来たか、手伝え」
「はいよ」
さっさと部屋を片付けてしまう。
朝食を食べれば、もう帰るだけ。
宿舎の人に感謝を忘れずに伝える。
バスに乗り込んで駅へと向かう。
「もー終わり」
「だな、楽しかった?」
隣に座る、さやに聞く。
「ん。楽しかった」
「ならよかった」
俺も大分楽しめた。
名残惜しくも新幹線に乗り込む。
行きと同じように花音と優と対面に座る。
「おわっちゃったなー」
「だね」
ポッキーを食べてると左から物欲しそうにこっちを見てくる。
「ほい」
さやの口元にポッキーを持ってく。
ハム ポキポキポキ
餌付け楽しい。
残るポッキーもすべてあげてしまった。
「さやちゃん。かわいいなぁ〜!」
「ん?」
「花音のポッキーも食べる?」
さっきの俺の餌付けを見てやりたくなったのか花音もポッキーを食べさせてあげてる。
ポキポキポキポキ
やっぱかわいいなー!このやろう!
写真を撮っておく。
修学旅行のラストにいいものが手に入った。
京都で買ったお菓子を食べてトランプをしながら時間を潰す。
「ねね、今度4人でどっか遊び行かない?」
「俺もいつでもいーぜ?」
「ん。行く」
「いいね、どこ行く?」
「それを今から考えるー」
あ、なんも考えてないのね
「周の家いこーぜ?」
「それいつもと変わらないじゃん」
俺の家をなんだと思ってやがる
「んーわかんない」
「だねーどーしよっか」
あんまお金もかけたくないしなー
「周の家でタコパ」
お前、俺の家好きすぎだろ
「あ!それいい!」
「んー周の家は私の家」
違うよ?
「まあ、いいけど」
「じゃあそーしよー!」
結局俺の家か
タコパの話で盛り上がっているともうすぐ東京駅につくアナウンスが流れた。
「はーい。みんなー降りる準備しといてね」
「「「はーい」」」
ごみ片付けたり荷物整理したり。
新幹線を降りたら解散を行う。
「家に着くまでが修学旅行ですよ!まっすぐ帰ってくださいね」
家に着くまでがね。久しぶりにその言葉聞いた。
花音と優と別れて。
キャリーケースを引いて最寄り駅をでた。
「帰ろっか」
「ん」
冷蔵庫が空っぽなのを思い出し食材を買ってから帰る。
家に着くとさやと別れる。
「じゃ、あとで行く」
「はいよ」
さやが鍵を開ける
「ん?鍵あいてる?」
修学旅行中ずっと空いてたのか?
いや、それはない。出る前に俺も確認した。
「泥棒?」
念のため俺も一緒に入ってみることにした。
ガチャ。
靴は…ない?
やっぱ泥棒か?
リビングに入るも人はいない。
「浴室にもトイレにも誰もいなかった」
ってことは寝室か?
そーっとドアを開ける。
「むにゃむにゃ」
ベッドで雫さんが寝ていた。
「なんだ雫さんか」
一気に緊張がとけた
「むー驚かされた」
「だね」
随分と幸せそうに寝てるな
「じゃ、俺は戻るから」
「ん。あとでね」
「はいよ」
家に戻り着替える。
「さてと、夕食の用意を始める」
京都では、日本食ばっかだったから久しぶりに洋食。
「メニューはメインがハンバーグで目玉焼きでも乗せるか、あとはサラダとコンソメスープとかかな」
早速作り始める。
ハンバーグって美味しいんだけど下準備がめんどい。
そして何より、この肉こねるのが冷たすぎて死ぬ。
うーづべだいー
気合で耐えてさっさとこねるこの時にお肉に熱が入らないように手を冷やしてやるからもう死ぬ。
今冬だからー!まじでやばい。指凍る。
「はー生き返る」
こねおわったので温水で手を温める。
「ただいま」
「おかえり」
さやがきた。
「雫さんは?」
「まだ寝るって。時差ぼけらしい」
また海外行ってたんだ。忙しいなあの人も
「了解」
肉を焼いていく。
今のうちにコンソメスープも作らないとな。
料理で大切な効率といつ作り始めるか。
あったかい状態が一番美味しいからね
コンソメスープなんて野菜ぶった切ってウィンナーぶった切って素入れて煮込むだけ。
これでしっかり美味しいんだから、ありがたい。
サラダは一回冷水で冷やしてシャキシャキ感をあげておく。
しっかりと水を切るのが大切。
ハンバーグを作り上げお皿にうちして保温
さっさとデミグラスソースを作る。
さっき焼いたときの残った肉汁を使う。これするとうまい。
ささっと仕上げて目玉焼きも作る。
「ふーできた」
お皿に盛り付ける。
「雫さん呼んできて」
「ん」
「きたよー!」
ちょうど玄関から雫さんが出てきた。
机に料理を並べる。
「おー!ハンバーグこれは赤が合いそうだ!」
ご飯がなんでも赤ワイン飲むでしょう?
グラスも出しておく。
「ありがとー」
「「「いただきます」」」
んー肉汁たっぷり!うまい!ご飯とよくあう。
「んー!おいひいね。これ」
口に入ってる時に喋らないでください。
「ん。おいひい」
さやも
「結構うまくできたからね」
結構自信作。
「2人とも京都どうだった?」
「楽しかった」
「2回目にしては大分楽しめました」
「そっかー!いいなー!行きたかったなー!お・み・や・げ!」
「ん。これ」
さやが八ツ橋とか、いろいろと詰まった袋を渡す。
「やったー!八ツ橋だー!」
そんなに好きなのか
「そんなに好きなの?」
「これ、私の友達が作ったやつだからー」
えぇ
「雫さんって100歳くらいじゃないんですか?」
「ん?あー友達って吸血鬼のね。もう死んじゃったけど会う度によくくれたんだよー」
なるほど。
ええ!?八ツ橋って吸血鬼が作ったの!?ってかそんな昔から日本に吸血鬼いたの!?
あ、気にしないでおこう。絶対やばそう。
雫さんは嬉しそうに八ツ橋を食べてる。
「まあ、喜んでもらって何よりです」
「ん。よかった」
結局自分の好奇心には勝てなかった。
「その吸血鬼ってなんで死んじゃったんですか?あ、言えないならいいんですけど」
「んー?最愛の人と心中。相手は寿命だったんだけどね。普通に人間だったから。寿命で死んだ吸血鬼は知らないなー大体は自殺だねーたまに事故で死んじゃう人もいるけど」
そう考えると吸血鬼って悲しい生き物だよな。
長寿ゆえの弊害か。
ふとさやの方を見る。
「私も周死んだら死ぬ」
「うん。やめて?」
どーやら簡単には死ねないらしい。
「これこれ人前でいちゃつくなー!」
「あ、すいません」
「別にいちゃついてはない」
どーだか
そのあとは、修学旅行での思い出を雫さんにいっぱい話した。
「うにゅー」
「あらら寝ちゃった」
さやダウンのお知らせ
「はぁ…運ぶか」
「あ、今日は私がベット使うから周くんの家で頼みまーす」
彼氏の家に泊まらせる親とは…
「いいんですか?」
「いいよー」
さやをベット運んでからリビングに戻る。
「さて、洗うか」
お皿を洗う。
「ねーねー周くん」
「はい?」
「死んじゃダメだよ?」
ああ、その話
「寿命が許すまでは死にませんよ」
「そっかー頑張って長生きしてね」
「頑張ります」
長生きする方法かあとで調べよ
雫さんはさやの家に帰っていった。
寝よ。
すでに寝ているさやの隣に寝転ぶ。
長生きねぇ。
それでも俺には限界があるんだよな。
さやは俺の存在に気づいたのか俺の腕を掴んでくる。
吸血鬼にでもなるか?
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