第56話 修学旅行 2日目 前編

はぁ…トイレいこ


尿意に起こされた。


スマホを見るとまだ24時。

いつもなら今から寝るような時間だ。


トイレは二階との階段の近くにある。


俺らの部屋は、階段の隣なのでめっちゃ近い。


トイレに行こうと部屋を出るとさや階段から降りてきた。


「なにしてんの?」


「上のトイレ空いてなかった」


話を聞くと女子はほとんどの人がまだ起きてるらしい。


とりあえずトイレに行ってから、トイレの前の椅子で

おしゃべりすることにした。


「お昼に寝過ぎて眠くない」


…そりゃそーだ。


「まあ、あんだけ寝ればな」


しばらく話しているとさやが肩にもたれかかってきた。


「さや?」


「眠い」


「寝るなら自分の部屋戻れよ?」


スピー


寝やがった。眠くないんじゃないの?


はぁ、仕方ないな。


さやをお姫様抱っこして連れてく


部屋は…どこだ?


とりあえず一番近い部屋に


トントン


「はーい。なんですかー?って高坂くん!?」


「いきなりごめんな。こいつの部屋ってどこだ?」


「さやちゃんの部屋なら向かいだよ」


1/2で外したか。


「ありがと、おやすみ」


「お、おやすみなさーい」


本当にまだ女子起きてんだな。他の部屋からも声が聞こえたり光が見える。


トントン


「え?先生かな?」「私出たくなーい」「花音もー」


「んージャンケンで決めよー」


「「「ジャーンケーンポーン」」」


…先生じゃないから早くしろ


「うわー花音負けたー。めんどくさー」


ちょうどいいわ



「はいはい。今開けるねー」


中から出てきたのは浴衣のはだけた花音


「あれ周?夜這い?」


「ちげーよ。あと肩出てる」


「あはは、ごめんごめん。あ、もしかしてさやちゃん連れてきてくれたの?」


「そーだよ」


「こっち運んでー」


花音にさやを持たせるのは無理があるので俺が布団まで運ぶ


「汚くてごめんねー」


うん。めっちゃ汚い。

服とか散らかってるし。


「ええ!?高坂くん!?」「どゆこと!?」


太もも肩も見えてますよ

俺に気づいた女子たちは急いで隠してる。


さやを布団に下ろし掛け布団をかけておく


「おやすみ」


振り返ると女子たちはしっかりと浴衣を着直して正座してる。


なんか変に気を使わせちゃったかな。


「そんじゃ」


「周もこっちで寝てく?」


「寝るわけねーだろ」


「そっかーおやすみー」


「邪魔して悪かったな。おやすみ」


「「おやすみなさーい」」


一階の自分の部屋に戻り布団に横になると隣の寝てたはずのゆうが声をかけてきた。


「女子の部屋でなにしてたんだ?」


なんで知ってんだよ!こいつは!?


「さや送ってただけ」


「ふーん」


優はそれ以上なにも言わなかった。


たまに思うんだけどこいつの底知れないというか。いい奴なんだけどたまに怖い。




二日目


今日は、京都の観光にいく。

目的地は、貴船神社、八坂神社、圓徳院そしてお稲荷さん。


「おはよ」


「ん。おはよ」


朝食を食べて着替えてさや達と合流する。


「まずは貴船神社か」


貴船神社は、おみくじが有名らしい。よく当たるとか。


「こっから結構遠いんだよね?」


「まあそーだなー」


山奥にあるし。


「さ、いこーか」


宿舎を出る時間は自由なので、俺らは余裕があるので遅めに出る。


まず行くのは、お昼ご飯。


「どこで食べる?」


「どっか良さげなとこないかな?」


「ここどう?」


優が見せてきたのはここら辺で有名らしい。ラーメン屋。


「ラーメンかーもっとあっさりしたのがいい」


「ここ」


今度はさやが


「カレーうどん。ね」


「いいじゃん」


「そこいこーぜ」


結構近くにあるのもわかったので早速向かうことに。


「何名様ですか?」


「4人です」


お店の人に伝え。席につく。


もともと注文は決まっていたのですぐに注文する。


「カレーうどん4つで二つが大盛りですね」


俺と優は大盛りにした。


ここのお店のカレーうどんは、つゆがカレーでざるうどんのようになっていて、カレーにつけて食べる。


「おーきたきたー」


「「「いただきます」」」


味の濃いめのカレーにうどんをつけて食べる。

う、うめぇ。ちょっと濃すぎるかと思ったけどこの濃さがいい。


喋る暇もなく一心に食べた。


「うまかったな」


「ん。美味しかった」


「ふー食った食った」


この濃いカレーうどん。家でも作りたいな。


「さて、行きますか」


「だな」


「おーいこー」


「ん。行く」



電車に乗って神社へと向かう。


「お、ここだね」


「うわーすごいね。いっぱいのこれ」


これって。確かに名前わかんないけどさ。

階段に大量の光る奴。なんていうの?がある。


「いこ」


「おー!おみくじ引くぞー!」


「落ち着け」


「階段、多くね?」


まあまあ


「紅葉キレイ」


確かに、階段の脇に紅葉樹が生えており、トンネルみたいになってる。


「そだね」


階段を上り切り、お参りしたらおみくじを買いに行く


「大吉コーイ」


ここのおみくじはに浮かべると浮き上がってくるらしい。


早速、水に浮かべる。


「おーほんとに出てきた」


お、大吉だ。


「わー中吉かー」


「大吉」


「す、末吉だと…?」


優さんどんまいっす。


「花音のみてみて恋愛のとこ、思い直せって書いてあるんだけどー」


優がビクッとした。


「優心配してるだろ」


「してねーっての」


「ちなみに優はなんて書いてあった?恋愛枠」


そういうとおみくじを見せてきた。


「出会いあり…?」


「…えっと、花音?」


「な、なに?」


「お、俺は花音のこと「わかってるよ。花音もだから」


なんかしんみりしちゃったじゃん。


「周は?」


「俺も多くて困ることありってさ」


「むーよくない」


いや、そう言われましても


「さやは?」


「案ずるなかれ」


じゃあ、いいじゃない。


階段で疲れたからだを紅葉の景色を見ながら休憩させる。


「いやー京都ってキレイだな」


「ん。思ってたよりすごい」


「だな」


「よーし!次は八坂神社だー!」


花音は今日も元気いっぱいだな。


「行くか」


「おう」


電車で来た道を戻る。


続いてきたのは美で有名な八坂神社。


お参りをして、境内を歩いてまわる。


「これこれ。これを肌につけるとキレイになれるんだって!」


女の人ってこーゆーの好きだよね。


竹から流れ落ちる。水を撮って肌に塗る。


「これで花音もツルツル肌だー」


「ん。ツルツル肌ー」


そんなすぐに効果はないと思うぞ?


「なんか歩いてたら甘いもの食べたくない?」


お前が食べたいだけだろ


「ここら辺に抹茶のパフェとか売ってるとかあるから行かない?」


さっきから聞いてくるけど。

行きたいだけでしょ


「行きたい!」


さやは乗り気らしい。目が輝いてるもん。


「花音が行きたいなら俺は行く」


「じゃあ、いこっか」


優は、さっきのおみくじが聞いてるのか花音にやけにやさしい。


席に座りメニューを見る。


「結構いっぱいあるんだな」


「うーん。迷う」


「どれとどれで迷ってるの?」


「このパフェとあんみつ」


「じゃあ、俺片方頼むから分け合わね?」


「ん。そーする」


店員さんに頼む。


「優と花音は、どーすんの?」


「俺は、抹茶のティラミス」


「花音は、パフェ!」


しばらく待ってるとなかなかのボリュームのあるパフェが、そして俺と優が頼んだスイーツもきた。


「すごいな」


「おーインスタ映えだね」


「ん。美味しい」


「食べる?」


「ん」


あんみつをスプーンですくってさやの口元に持っていく。


「ありがほ」


「ん。あげる」


「ありがと」


さやからもパフェをもらう。めっちゃ甘い。

うん。やっぱあんみつにしといてよかった。

まあ、あんみつも甘いんだけどさ。


あと、目の前の2人がいつも以上にイチャコラしてるから。


「さてと、食べ終わったし行きますか。円徳寺」


「キレイな紅葉見るぞー」


ここから結構近いからな。


歩いて行く。


「おー見えてきたな」


「キレイ」


円徳寺は結構有名らしい。


「いいね」


とは。言っても紅葉見たら終わり。


「さて、次いこー!」


切り替え早いなー


次は、伏見稲荷。狐のとこです。


「こっからちょっと距離あるからな」


電車に乗ってしばらく揺られる。


「降りるよ」


「ん」


「やっとついたかー」


電車を降りて神社へと向かって歩く。

とは言っても、最寄駅からはめちゃくちゃ近いからな。


「おーこれが稲荷かー」


早速、千本鳥居をくぐって行く


「すごい。キレイ」


赤い鳥居と、赤い紅葉


すごく、キレイだ…


「あれがおもかる石か」


「だね」


「花音やりたーい」


おもかる石はお願い事をしながら持ち上げて重かったら叶わない。

軽かったら叶うというもの。


「これからも優と一緒にいられますよーにーっと軽い!」


めっちゃ嬉しそうだな。


「じゃあ、俺も花音と一緒に入れますように…」


顔がまじだな。恐ろしき貴船神社のおみくじ。


「か、軽い」


あのな。そんなまじの顔で言うな。キャラ崩れてるぞ


「次俺やろーかな」


願い事は…


「さやといつまでも一緒に入れまうように…」


自分でもバカバカしい願いだとは思ってるけど…これが今の俺の願い…


「かっる」


浮くかと思うほど軽かった。

いや、ほんとだから


「周の子供産む」


ぶふっ!?


「あ、浮いた」


浮くわけねーだろが


「ほんとだー浮いてるー」


まあ、浮いてなかったわけだけど軽々持ち上げてましたとさ。


上まで登って周りを見渡す。

夕暮れと紅葉。キレイにマッチしててやばい。


写真を撮るもやっぱ写真じゃこのキレイさは撮れなかった。


「ふー帰ろっか」


「ん。楽しかった」


「まだ、明日もあるしねー」


「明日は、嵐山の方だろ?」


「待ってろ縁結びの地主神社!花音と優の愛は永遠だぁー!」


人が周りにいないからまだいいものの、何を叫んでるんだこいつは。


やっぱ、伏見稲荷すきだなー


宿舎へと戻る。


「お風呂もう入っていいらしいぞ」


すでに帰ってきてた部屋のメンツが教えてくれた。

どうやらご飯後なのは初日だけで、いつでもいいらしい。


「じゃあ、いこーぜ。疲れた体を癒しにー」


「だなー」


「俺らも行くぜ」


お前らまだ入ってなかったのか


「高坂から成瀬さんの話を聞くべく待ってたのさ!」


「えぇ…」


率直に嫌なんだけど


「もちろん。優から河井さんのことも」


貴船神社のこともあり、そのことに関して今結構敏感な優。


「絶対あげねーからな?」


「日常的にいちゃつかれて、こっちは奪る気にもならないっての」


言えてるな。


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