第55話 修学旅行 初日

朝は、遅い。

12:00に東京駅集合。


昼食は、各自持参、新幹線の中で食べる。


修学旅行中は、私服なのに行き帰りは制服なのはやっぱ学校だなぁって感じざるを得ない。


制服に着替えてさやと一緒に家を出る


雫さんは、まださやのベットで寝てるらしい。

今日は予定ないって昨日言ってたからそっとしておくことにした。


念のため朝食と置き書きを残しておく。


「さて、いこっか」


「ん。レッツゴー」



東京駅の集合場所にはすでに大勢の人たちが集まっていた。

しばらく待って全員きたことを確認すると新幹線に乗っていく。


どっかのバカは、キャリーバックの上に乗って滑ってたらキャリーバック壊れたらしい。やりたい気持ちは、わからなくもないけど、さすがに壊れるだろ。


新幹線に乗る、さやと隣の席。さやが窓側に


優と花音は前の席で椅子の向きを変えて対面になるようにした。


さて、京都に着くまで2時間ちょい。なにするかな


「花音、新幹線久しぶりだなー」


最近遠出もしてないし、俺も全然乗ってないや


「なにすっかなー。トランプ、キャリーケースに入れちゃったわ、俺」


「はぁー?優なにやってんのー!」


案の定、一番簡単な暇つぶし方法がなくなった。


「うーん。じゃあ、さやちゃんのスマホのチェックをしよう」


…いやいやいや唐突すぎない?


「なんで?」


「暇だから〜」


狂気の沙汰だな。暇だからやることではない。


「ん。いよー」


ええええええ。ダメでしょ。いいの?


さやの耳元で昨日の写真のことと、プリクラのことを伝える。


「あ、やっぱダメ」


「おそーい。まずは写真からーおーっとこれは!」


「見せろ見せろ」


おい、優。止めろ


「周の寝顔みーっけ」


あー最悪


「成瀬と寝顔でツーショットか」


あぁ…


「おープリクラじゃーん。しかもチューしてるこれ」


「お前ら完全にバカップルだな。ハッハハ」


笑い方きっしょ。あと、お前らに言われたくない。


「うるせぇ」


「ちゃんと周も、チューしてあげないとー」


はぁ、さっきからなんでお隣のさやは静かなんだ?


「さや?」


「な、なに?」


どーしたんだこいつ?


「大丈夫?」


「う、うん」


恥ずかしがってるだけか?そのわりには、顔赤いと言うより青いけど。


「ん?なんか動画あった。昨日?」


「だ、ダメ」


さっきまでおどおどしてたさやは止めにでた。


「そー言われると見たくなるぅー、はいポチッと」


[あん…]


…え?


「アハハ、音消してなかったー…なにこれ?」


ん?さっきの声どっかで…昨日?あれか!

花音からスマホを奪い取る。


「…さや?」


俺の予想は当たっていた。


「ちょっと眠いから寝る」


「だーめ」


さやのスマホに入ってた動画は、昨日雫さんが撮ったであろう耳のやつ。


「どーやったの?」


「AirDropで」


「消すよ?」


「…ん」


なんで取っといたんだよ。


「あー花音みたーい!めっちゃ見たい!」


「絶対やだ」


見せるわけねーだろが。


「じゃあ、今度は、花音のスマホで」


「やーだ」


「じゃあ、優」


「無理」


…見られ損じゃん!


「そろそろご飯食べよっかー」


「だな」


「ん。ペコペコ」


今日の昼食は、サンドウィッチを持ってきた。

容器ごと捨てなきゃいけないらしいし。


「ご飯食べたら眠くなってきた」


「寝る?」


「ん」


「花音もーゆぅー膝枕ー」


「周も」


「はいはい」


さやに太ももを貸し出す。


「おやすみ」


「はい。おやすみ」


さやの頭を撫でる。サラサラじゃー


「他のやつに見られてるよ」


優に言われて周りを見ると、優の前の席の女子、俺の後ろの席の人もコソーっと見てる。


「はぁ…見せもんじゃないんだけどね」


「見せつけてんだろ」


「うっせ」


「俺も寝る」


「はいよ」


俺も寝ちゃおーかな。

寝てる人見てると眠くて仕方ない。


「あと30分くらいで着くから身の回り片付けたりしといてねー」


先生のの声が聞こえて目が覚めた。


あと、30分か、速いな。


花音と、優はすでに起きてイチャイチャしながらポッキー食べてる。


「あ、周起きたんだ。おはよー」


「おはよ」



スマホを確認すると、花音からAirDropが飛んできた。


なんだ?


花音から送られてきたのは、俺とさやが寝てる写真


「なに、撮ってんだよ」


「気に入った?」


「アホか」


保存しとこ


そろそろつくしさや起こすか


「おはよ」


「ん。おはよ。ついた?」


目を擦りながら聞いてくる。


「あとちょっとだって」


「ん」


そう答えると俺の方にもたれかかってくる。


どんだけ寝るんだよ。


「ほんと、よくさやちゃんなつけたね。周」


「言い方」


いや、まあ正直。俺も信じられないここまで信じて愛してくれるとは。


新幹線を降りてからは、バスで宿舎へと向かう。


「いやー疲れた疲れた」


「尻いてぇ。座りすぎた」


わかる。体バキバキ


「はーい1回みんな並んでー」


一度並んで宿舎の人たちに挨拶する。

今回の予定のこととか宿舎での過ごし方について話を聞く。


「じゃあ、わたしが宿舎での過ごし方についてお話しますね」


櫻井先生が前に立った。


「宿舎の中は私服で構いません。部屋にある浴衣は自由に使っていいとのことなので使いたい人はどーぞー。ただしモラルのある行動を心がけてくださいね!店員さんに迷惑かけちゃダメですよ!お風呂はいつ入っても構いませんが、今日は、食後です。空いてるのは24時までですけど早めに入ってくださいね」


いや、自由だなおい。


「混浴は今回許可されました!が!もし何かあったら処分されるので覚悟してくださいね!事件があったらそのあとは混浴禁止です!特別に今回はタオルをお湯につけるのを許可していただきました。以上です」


えぇ…許可しちゃったの!?タオルがどーのとかの問題じゃないと思うけどな。


ちなみに、就寝も自由らしい。やべえな


さやと花音と別れて部屋に向かう。


「ご飯まであと1時間か」


「どーすっかなー」


俺らの部屋は6人

特にすることもないのでトランプを始める


うちの部屋は優の友達の陽キャしかいないのでトランプするだけですごい盛り上がる。


「ダァークッソなんでこっち、ひかねーんだヨォ!」


「顔ですぎだよバーカ」


ババ抜きしてるだけでこの盛り上がりだ


「お前らーもう、ご飯だってよ」


「おーいくかー」


隣の部屋のやつが呼びにきてくれた。


夕食は、いろんな料理が並べられている。

刺身に焼き魚に結構豪華。


食べ終わったらまた自由時間。

あ、お風呂にはいけんのか。


「おい、女子はこのあとすぐお風呂行くらしいぞ」


いや、どこ情報だよ


「おし、俺らも行くぞ」


「おう、混浴だ!混浴!」


はぁ…


「っち、俺もあいつらの監視のために行くか」


優がなんかぼやいてる


「いや、お前も行きたいだけだろ。カッコつけんな」


「じゃーお前くんなよ?」



「監視。しなきゃな」


俺も、男だ。


「おう。行くぞー」


部屋に戻り、お風呂道具一式と浴衣を持って大浴場へと向かう。


人が多いこと、男子ほとんど集結してんな。やば。


大浴場は、入って最初に屋内のお風呂があり外に出ると露天風呂がそこからさらに二重になったドアを開けると混浴風呂があるとか。


「混浴風呂は、美肌効果があるらしいぞ」


「また、女子が入りたそうな」


うわひっろ


服を脱ぎ大浴場へと入るとそこには、めちゃくちゃでかい風呂が。


「すげぇな」


「あぁ。ここまでとは思わなかった」


いくらしたんだろ。絶対やばいじゃん。


体と頭を洗って早速お風呂につかる


「あーきーもーちー」


「極楽ぅー極楽ぅー」


こんなに人いて大丈夫かと思ったけど案外大丈夫そう。

まだ露天風呂もあるし。


お風呂で疲れを癒しているとうちの部屋の1人が声をあげた。


「よしお前ラァ!混浴に行きたいやつはつてこーーい!!」


バカか…裸でなに言ってんだ


「お、俺も行くぞ!」「お、俺も!」「俺もだ!」


ばかしかいねぇ


監視のため俺と優もついていくことにした。


あくまで目的は監視。


外に出る


うわさっむ


露天風呂に出てさらに奥の扉を越えれば混浴


「よ、よしお前ら準備はいいな」


「おう!」「任せとけ」


なにを任せればいいんだ!


ばん!


勢いよく扉を開けて混浴風呂へと出る。


「い、いないだと…」


当たり前だろ。


「さ、さみぃ」


あ、俺もとりあえずお風呂入ろ


「おー結構いい湯だね」


確かに初めて乳白色のお風呂に入るが、これはなかなかいいものだ。


しばらくみんなでおしゃべりしながらお風呂に入ってるも一向に女子がきそうな気配は、ない。


まあ、こんだけ男子いたら入りたくても入れないわな。


「俺は、もどろーかな。普通の露天風呂にも入りたいし」


「そんじゃ俺も」


俺と優は、先に抜けて普通の露天風呂に移動することにした。


「お前らも、程々にしとけよ」


「俺は来るまで諦めん!」


ばかだなー


露天風呂でのんびりしてると、1人、2人と混浴から帰ってくる。


「まあ、あそこの湯めっちゃ熱かったからな。無理もない」


「だな」


リタイアしていく戦士たちを眺めながら湯につかる。


「さてと、俺も上がろうかな」


「そんじゃ俺も」


俺に続いて優も上がる


シャワーを浴びてタオルで拭いて出る。


「いい湯だったね」


「コーヒー牛乳が飲みてぇ」


「売店に売ってたと思うよ」


「買いいくぞ」


さっさと着替えて脱衣所を出ると、ちょうど女子たちをも出てきていた。


「うーさやちゃんの浴衣姿可愛すぎるよぉ〜」


どーやらさやもいるらしい


「あ、優ヤッホー」


花音が俺たちを見つけて声をかけてきた。


「俺はコーヒー牛乳を買いにいく」


おいこら俺の浴衣を引っ張るな


「花音も一緒にいこーっと」


「周?」


さやに呼ばれて振り返る。


「ん?」


さやが手を握ってきた。


「どした?」


「一緒に行く」


なんだそゆことか


後ろの女子がざわついた。


「あれって、高坂くんと小西くんだよね!」


「うんうん。髪湿ってて浴衣。やばい!色気がやばい!死ぬ!」


なに言ってるんだい?君たちは


「エロすぎない?やばいよね」


こそこそ喋ってるつもりかもしれないけど丸聞こえ。

あと、えろい言ーな。


「おい、早くしろコーヒー牛乳が俺を待ってる」


あーそろそろ優が限界だな


「はいはい行きますよ。2人のこと借りてくよ」


「「「は、はいぃ」」」


売店でコーヒー牛乳を買って一気に飲み干す


「っかー!やっぱこれだよな!」


お前はじじいか


「んー熱い体に染みるねー」


「ん。美味しい」


実際風呂の後の牛乳系の飲み物はバカうまい。


瓶を返して近くのベンチに座る。


「はー満足満足」


「なんか一気に疲れきたなー」


確かに、花音が言うようにお風呂入ると疲れがどっとくる。


「俺も帰ってゴロゴロしよーかな。眠いし」


「じゃ、花音たちも部屋帰ろっかー」


「ん。ばいばい」


「おやすみ」


さやに手招かれて顔を近づける


「チュ。おやすみなさい」


ほっぺたにキスされて耳元で囁かれた。


あ、俺もしかして死ぬ?


「じゃあ、花音もー」


そー言って優にキスをする。


「優おやすみー」


「おやすみ」


部屋に戻るとすでにほとんどみんな帰ってきていた。1人を除いて


布団用意してくれたのか


「布団ありがと」


「いーのいーの。俺らも暇だったからな」


お前らいいやつだな


「明日はよろしくな」


まあ、そうですよねー


ちなみにまだ帰ってきてないのは、先陣きって混浴に突撃した彼。

まだ、お風呂入ってるのかもな。

…それはないか


その後、先生の知らせであいつは混浴風呂でのぼせて気を失ってるらしい。


今は、先生に囲まれて看病されてるらしい。


「さて、俺はー寝る!」


「俺もーなんか変に疲れたー」「俺もだなー」


何気にみんな疲れてるらしい。慣れない場所なのもあるしね。


まだ、時間は早いけど寝ることにした。


「「「おやすみー」」」

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