第54話 耳はダメ

修学旅行の前日になった。


「さて、準備するか」


キャリーケースを出して荷物を詰めていく。


基本的には、服と寝間着だけ。

後は、タオルとか歯ブラシくとかを入れていく


「ふぅ、こんなもんか」


キャリーケースを閉めて玄関に置いとく


「ただいま」


「おかえり」


さやも荷造りが終わったのかな


「荷造り終わった?」


「ん。終わった」


そう言うとさやは、俺のベットにダイブした。


「なにしてんの?」


「シュウニウムの補充」


「なんで?」


最近ずっと一緒にいたと思うんだけど


「明日から修学旅行で一緒に寝れないから」


…あ!そーじゃん。まじか忘れてた。


「ん?びっくりした」


さやをベットに押し倒し俺も横になる


「俺もサヤニウム吸収する必要がある」


さやを抱きしめる


「周がグイグイくる」


「嫌だった?」


「んーん全然いい」


少し顔を赤くするさやは可愛い


「かわいい」


「ん!?いきなり」


赤くなった


「思ったこと言っただけ」


「周もかっこいい…もん」


っ!あーあカウンターもらったわ


それだけ言うとさやは、恥ずかしくなったのか寝返りうって俺に背を向けた。


「さや?」


「ん?」


声の感じから怒ってるわけではないらしい


「なんでもない」


さやの髪を手櫛で解いていると、さやの綺麗な耳が見えた。


「そーいや、さやって耳弱かったっけ?」


「弱くない」


ほう


「じゃあ、さわっていい?」


「ダメ」


なんでー


さやの耳をさわると、さやは飛び起きた。


「むー」


「はい、ガッチャン」



さやの後ろから足を回して手でお腹を捕まえる

すると諦めたのか、体をこっちに倒してきた


「周?」


「ん?」


「好き」


「ありがと」


お返しにさやの耳を甘噛みする


「ひゃう。やめっん」


うわ、えっろい声だこと


「舌、使うの、あん。だっめ」


そーゆー反応されるといじめたくなる性分でして


「も、ダメぇんっ。周、ばか」


悶えるさやの手を取り指を絡ませる。


「ん、あっん。いいかげんに、っん。して」


さやが思いっきり後ろに倒れ込んできた。


「ごめん。最後ので噛んじゃった」


「むーいたい」


ベットに倒れ込み、さやは俺の上に跨っている


「この景色も悪くない」


「さっきから調子乗りすぎ」


さやが口元に噛み付いてくる


「美味しい?」


「ん。おいひい」


ゴクゴクゴクゴク


…結構飲むな


……


「あの、そろそろやば「まーだ」


あの頭ボーッとしてきた。力入らん


ぷはぁ


「ん。美味しかった」


「飲み過ぎ」


「じゃあ、ちょっとあげる」


ん?



さやが口移しで血を口に流し込んでくる


「…めっちゃ血の味だわ」


「ふふ、もっといる?」


「血なしで頼む」


「ん。わかった」


やっぱ、まだ血の味しかしないなー


「ん。補給完了」


「だね。俺は少し寝るよ」


体力入んないし、誰かさんのせいで(自業自得)


「ん。一緒に寝る」


そう言うと俺の横に寝転がる。


「おやすみ」


「ん。おやすみ」


目が覚めた。なんかベット狭くない?

気のせい?


確か右にはさやがいる。

左にも誰かいるっぽいんだよな


腕になっか当たった…やらかい

フムフム。やらかいな。腕を動かして柔らかさを堪能する。


何かを感じ左を向くと…そこには雫さんの姿が


「おはよ周くん」


なんか目が怖い


「さっき腕で胸触ってきたよね」


「えっとーそれは、なんと言うかーところで雫さんはなんでいるんですか?」


話をそらす


「たまたま周くんの家きたら鍵空いてたから入った」


不法侵入?


「それで2人が一緒のベットで寝てたから写真カシャーっと撮って私も入ったってわけ」


うん。理解が追いつかない。ところで


「写真って?」


「ん?これこれ」


俺とさやが一緒に寝てる写真がロック画面に


「なんで壁紙?」


「いいじゃーん」


「消してください」


「やだー」


攻防を繰り返してるうちにまだ寝ていたさやが起きた。


「んー雫さん?」


「おはよーさやちゃん」


「なにしてんの?」


「これこれ」


雫さんがさっきの写真をさやに見せる


「…ちょーだい」


「いいよー」


えぇー


「ちなみに周くんの寝顔も、これこれ」


「いる」


なにやってんだよ


「周くんもいる?これ」


さやの寝顔が映る写真を見せてくる


「…もらいます」


「まいどありー!」


「あと、2人のも」


「はーい」


結局俺も写真をもらうことに


「あ、でも壁紙はやめてくださいね」


「んーまあ、それは特別に勘弁してあげよう!」


あげよう!じゃないよ


「そのかわり美鈴ちゃんに送りまーす」


「え!それはやばい!」


「もーおそーい」


あーあ。絶対今度なんか言われる。


ピロン


早速俺のスマホに通知がきた。

母さんから


[good!]


それだけかよ。余計に怖いわ!


「届いた」


「ん」


さやがスマホを見せてくる。

なんで君も壁紙にしちゃってんの?


「壁紙にするのはやめよ?」


「大丈夫」


「俺は、全然大丈夫じゃないから」


必死に説得の末言うことなんでも1回聞くのを条件に変えてもらった。

代償でかいな…


「さてと、夕飯なに食べたい?」


「周くんが作るものならなんでもー」


「ん。同意」


世の主婦が一番困る言葉を…


さて、なににしよーかな


明日からは多分和食だろうから、洋食かなー。


「タコライス。うん、材料もあるしね」


肉に味をつけながら焼き。

レタスきって、トマトもきる

アボカドは、潰す。


お皿にご飯を盛り付けて

レタス、肉、トマト、アボカド。チーズを乗せる。


ヤッベチーズ凍ってんじゃん。


バーナーでいけるかな?


バーナーでチーズを炙って溶かす。

他の食材を温めないように気をつけながら溶かす。


「こんなもんか」


てか、溶かしすぎたかな?

まあ、いっか


「できたよー」


「「はーい」」


案の定、冷蔵庫の中にはワインが…


「雫さんあけますか?」


「うん。おねがーい」


グラスとボトルをテーブルに持っていく


「「「いただきまーす」」」


味が濃いめの肉とレタスにトマトアボカドにチーズの全てが

混じると最高の味になる。


一つでも欠けると別物になってしまう。

レタスがないとシャキシャキ感がなく、肉のコッテリにゴリ押される。

肉は言わずもがな。トマトはすっきりとした後味に肉とのコンビネーションで美味しさを引き立てる。アボカド、チーズはコッテリとしたタコスにとろみと濃厚さを追加してくれる。


うめぇ


「美味しい」


「んー美味しいねー」


パクパクと2人ともおいしそうに食べてくれる。


作ってるこっちとしては、そう言ってくれると嬉しい限りだ。


「2人とも明日から修学旅行よね」


「ん。そう」


「私もついていきたなー」


この人ならまじでついてきかねないからな


「ダメ」


「私も高校生に戻りたーい」


酒が回ってるのか夜テンションなのか騒がしい


「ちゃんとお土産買ってきてね」


「ん。なにがいい?」


「八ツ橋!」


まあ、王道だよね


「今日は周くんの家泊まるの?」


「ん」


「じゃ、ベット借りるねー。あー耳栓あったかなー」


「いやいや、耳栓しなくても大丈夫ですよ」


「ん?そう?私、人がヤってるの聞く趣味ないよ?」


なんでそーなんだ?


「いや、ヤらないです」


「はい、これ」


いつものですね。まじでいらないんだけど。


「でも、明日から修学旅行だからやっちゃったりー?」


「本当にないですよ」


まじでやらないから


「だって、さっき耳噛んだり舐めたりエッチな感じなことしてたじゃーん」


いや、もうやらな…い


なんでこの人そのこと知ってんだ?


「雫さん?」


「んーなに?」


「なんで耳のこと知ってるんですか?」


酔ってる今ならなんでも言ってくれそう


「…んーなんのことかなー」


「とぼけないでください?」


これは、完全に知ってるやつですね


「…ドアの隙間から見てました。テヘ?」


テヘ?じゃねーよ!


「ギルティ」


「アハハごめんごめん」


めっちゃ恥ずかしいんだが


「ちなみに、写真撮ったりは?」


「…シテナイヨー」


目を合わせろ


「さや」


「ん。消す」


雫さんのスマホをとりだす。

face IDってこーゆーとき便利。


「あった。動画の」


動画って。まったく…


「あーやめてー」


絶対消す


「完全に消した」


「ナイス」


「あーわたしのー」


やっていいことと悪いことがあるからね


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