第52話 夢の国

答案返却の日がきた。

さてさて、どーだったかな?


いつもどーりだな。

全ての教科の返却が終わった。


「さやどーだった?」


「ん」


俺に解答用紙を見せてくる。

何個かは40点代があるものの基本は全て50点代。

一番高いのは数学で60点を超えていた。


「いーじゃん」


「ん。頑張った」


褒めて欲しそうにこっちを見てくる。


「えらいえらい」


頭を撫でる


「ん」


「見せつけてくれるねぇ」


うわっと優か


「ねーねー明日遊園地行かない?」


また、唐突だな


「テスト終わって明日休みだしさー夢の国に行こう!」


「夢の国?」


「そそ、行ったことない?」


「ん。ない」


あそこは、ぼったくりの聖地だろ?


「じゃあ、行こう!今すぐいこう!」


アホか


「行くなら明日な」


「行くのはいいけど花音チケットどーすんだ?」


確かに


「ふふーん。確保してまーす!」


なんでも、明日行く予定だった子が行けなくなったらしく

その子から買い取ったらしい。


夢の国行くはいいんだけど、なにが嫌って…


「明日は駅に5時集合ね!」


これだよ


「はやくね?」


言ったれ優


「これでも遅い方だってー」


早起きつらい


「ん。頑張る」


まあ、俺もがんばろーかね


「遅刻厳禁!明日は、楽しもー!」


テンション上がってんなー


「おー!」


こいつも


家へと帰り。

軽く明日の準備をしておく。


朝は時間ないからね


「周楽しみ?」


「まあ、楽しみだな」


「ん!楽しみ!」


さっきから幸せオーラがガンガン出てんだよな。


「落ち着け」


夕飯を食べお風呂の準備をする。


「ん?今日こっち?」


「ん。明日起きれるように泊まる」


隣だから変わんないんだけどな


嫌がる理由もないし、というか嬉しいくらいだから。

全然ウェルカム。




「寝るぞー」


「ん?もう?」


「明日4時起きだからな。早めに寝ないと死ぬ」


「ん。分かった」


ベットに入っても流石にすぐには寝れない。

なにせ、まだ10時にもなってない。いつもより全然早い。


「寝れない」


「目瞑ってればいつか寝るよ」


「ん」


俺の体に近づいて縮こまる。


「おやすみ」


「ん。おやすみ」



アラームの音?


「はっと。4時10分、まあいいだろ」


いっぽうのさやは、気持ちよさそうに寝ている。


「起きろー時間だぞー」


さやのほっぺたを突くと目が少しだけ開いた。


「おはよ」


「まだ眠い」


「これが、夢の国に行くための関門その1だ。起きろ」


「ん」


大変だよな


「着替えてこい、朝ごはん作っとくから」


さやは、一旦自分の家へと帰り、着替えてきてもらう

その間に軽ーく朝ごはんを作る。

昨日のうちに買ったクロワッサンと飲み物にブラックコーヒーを用意して

俺も着替える。


「ただいま」


「おかえり、できてるから食べて」


「ん」


今日のさやは、ミニスカートに上はダボっとしたトップス。

上と下のコントラストがしっかりとしてて綺麗

女子高生の冬でもスカート折る精神は尊敬できる。


「寒くない?その格好」


「上に着るのあるから多分大丈夫」


心配してるのは下の方なんだけどね


まあ、最悪俺の貸せばいっか。


駅に行くと、すでに花音と優はいた。


「お!遅れてこなかったな」


「おはー!」


「おはよ」


「ん。おはよー」


…なんというか花音の服装が童貞殺しに来てるな。

黒のTシャツにタイトデニムロングスカート。

体のライン出すぎ

防寒用に上から薄いフリースっぽいの着てるけど余計大きさが強調されてる気がする。


一言で言えばエロい


「人の彼女、ジロジロ見てんじゃねーよ」


「あれれー?花音のナイスバデーに見惚れちゃったかなー?」


「アホか、さっさと行くぞ」


電車に乗って夢の国へと向かう。


空いてるなぁ。平日の時間が時間だからな。


夢の国に近づけば近づくほど人が増していく。


平日なのに結構人いるんだな。

中にはうちの学校の制服の人もちらほらいる。


最寄りにつけばもういっぱいの人。


そして第2の関門。行列。


こんなにはやく来てんのにもうすでにこんだけの人…ひでぇ


「人いっぱい」


「だな」


「ならぼー」


一番人数の少なそうな列に並び開門を待つ。


「ふぁあ。んー眠い」


「花音も眠くなってきちゃったよー」


いや、はえーな!まだ始まってすらねーよ!


「昨日何時に寝たんだ?」


「楽しみすぎて12時くらいまで寝れなかった」


「花音もそんな感じー」


そりゃ眠くもなるな。

開門まであと1時間くらいか?


「寝てていいよ?」


「ん。ありがと」


俺の体を背もたれにして座る、さやの頭をそっと撫でてやると嬉しそうに目を閉じた。


「花音も寝たーい」


「はいよ、こっちこい」


優が花音の手を引っ張る


「わ!強引だなーでも嫌いじゃないよ」


「うっせ。さっさと寝ろ」


「ぎゅーってしててね。おやすみー」


「要望が多いやつだ」


さやと同じように花音も優の体にもたれかかって座っている。


「はぁあ、こいつら見てたらこっちまで眠くなってきたな」


「あーわかるわかる」


まぶたが重い

こいつら起こさなきゃだし眠るわけには…



「あのーそろそろ起きた方がいいのでは?」


ん?


「え?お!?」


目を開けるとすでに開門して着々とみんな入り始めていた。


「おい!起きろ優!花音も!」


「えっと。うわっと。寝ちった」


ったく、なんでお前が寝てんだよ


「あの、ありがとうございます」


「いーのいーのみんな進んで進んでー」


いまだ寝続ける2人を起こして前に進む。


「おはよ」


「はいおはよ。もう開門だってよ」


「ふぁぁあ、おはよ〜」


花音も起きた。


受け付けを超えたら…どこ行くんだ?


「まずは、ショップ行くよ!」


最初から?お土産は最後じゃねーのか?


「はい!ここ!夢の国にきたらこれを買わねば!特にまだ持ってないであろう君達!」


なんだ?なんだ?


花音がいう買うものとは…ああ、カチューシャとかなんか頭につける系のやつね。


「さやちゃんこれ似合うじゃん!」


「ん。かわいい」


さやが選んだのはオズワルドの兎耳っぽいやつ。片耳折れてるカチューシャ。


「さて男子諸君!選びたまえ!」


「えーいいよ俺らは」


「んだんだ」


どこの人ですか?


「だめ!これは夢の国のマナー見たいなものだから!」(違います)


「どーする?」


「俺はこれでいいかなー」


優が選んだのはミッキーの耳と魔法の帽子っぽいやつがついてるカチューシャ。


ああ、よく見るわそれ


「俺はどーするかねー?」


「ん。これ」


さやが持ってきたのは、101匹わんこのヘアバンド


「んーどお?」


実際につけてみる。


「ん。いい」


「お、いいじゃん」


お会計を済まして実際につけて回る


「そういや、花音は買わねーのか?」


「ん?ふふーん花音は持ってきてるのだー」


バックから取り出したのはさやと同じオズワルドのやつ。


「いえーい。さやちゃんとおっそろー!」


とりあえず、出遅れたのでファストパスをとって他のアトラクションに乗ることに


「まずはジェットコースターだー!」


ここにきて第3の関門どこのアトラクションもくっそ並ぶ。


さっきから順番が近づくにつれてソワソワしてるやつが1人


「そーいや、優って絶叫系無理なんだっけ?」


「っば!そんなわけねーだろ。バカじゃねーの?」


焦りすぎだろ


ついに次が俺らの番


「やったね優!一番前だよ!」


「お、俺ちょっとお腹が痛く…」


「一緒にのろーねー」


逃げようとするゆうは花音に腕を組まれ、逃げれそうにない。


「キタァー!」


「やっぱ、俺は…「いこー!」


もはや、テンションの高い花音に何を言っても無駄


「楽しみ」


隣には優と違ってワクワクしている様子のさや


「そーだな」


乗ったらレバーで体をしっかりと固定する


「南無阿弥陀仏!南無阿弥陀仏!」


ぶつぶつ怖いっての


「周、手」


ん?


「はいよ」


さやの出した手を握る。


「ちょっと怖い」


「それがいいんだよ」


「あはははは、イエーい!」


一部そうでもないやつもいるようだが


動き出した


「おー登ってる登ってる。優楽しい?」


花音が鬼畜


「ああ、楽しすぎて死ぬ」


優は、限界っぽい


頂上に上りが終わり、さやからギュッと手を握られる


「いーヤッホー!」


「ギャァァアアア!」


「んー!」


優の叫び声気持ち悪い


「はー楽しかった」


「だな」


「ん。爽快」


「もう一回行かない?」


「絶対無理!」


優の決死の抗議で泣く泣く辞めることに


「あ、ていうかファストパスもうそろそろじゃん!急げー!」


夢の国第4の関門。やたら移動が忙しい。


おつぎはシューティングゲームのアトラクション。

乗り物に乗って打ちまくるやつ


「優のれる?大丈夫?」


「うるせえ!乗れるわ!」


大丈夫そうで何より


「低かったやつ一番高かったやつにジュース奢るのやろーぜ?」


「お、いいね」


「やろやろー!」


「ん。やる」


「おっしゃ!お前ら覚悟しとけよ!」


自信満々そんなに自信あんのかね?



結果


「ん。優勝」


これまた予想外。結構いい得点出せたんだけどな。


「俺が負けた?」


最下位は優、さやと2倍差つけられてる。

あの自信はなんだったんだ?


なんか、今日のゆうは散々だな


「これでいいのか?」


「ん。ありがと」


ちゃんと奢ってくれるのはさすがイケメン


「花音トイレ行ってくるからここのファストパスとってからここ並んでおいてー」


「いく」


「あ、さやちゃんも一緒にいこー」


花音に言われた通り4人分のファストパスをとってから並ぶ。


「ただのパシリじゃん」


「だな」


そして待てどもなかなかこない。


「連絡する?」


「女子のトイレ混んでんじゃね?大丈夫だろ」


すでに結構進んで残り2割くらい。


「さすがにそろそろ連絡するか?」


「大丈夫だってどーせ花音がトイレで踏ん張ってんだろ。あいつ長いからな」


知らねーよ

自分の彼女の扱いひどいな


残り数組


「連絡しよ」


「なんでもっとはやくしないんだよ」


お前ぶち殺すぞ、こら


「つながらん」


「まじ?」


優も電話をかけるもつながらない。


「どーする」


「お客さん。こちらへー」


「あ、はーい」



船に乗って水の上を進み。小さな人形たちが歌って動く。

このアトラクションに男2人。


「なんだこの状況は?」


「俺が聞きてぇ」


非常に不思議な時間を過ごした。


出口から出てもう一度電話をかける


「あははー迷っちゃった」


何やってんだごら


優が周りの特徴とか聞いて俺らが向かうことに


「全く世話の焼ける」


「それな」


急いで2人の元へと向かうと


「ねーねー、一緒に回ろうよー」


「俺らと一緒の方が楽しいよ?」


「2人っきりなんでしょ?いいじゃん」


スーパーふぁっきんナンパきちがいナルシスト野郎に絡まれてた。


「いや、彼氏と来てるんで」


花音がさやを守るように立っている。


「えー嘘つかなくていいよーどこにもいないじゃーん」


「愛想尽かされちゃったんじゃないの?」


いつかの海を思い出すな


「ちょっと殺そう」


「ああ、イラッときちまったわ」


さやのもとに向かう。


「ごめんな。いこーか」


「ん。ありがと」


さやが抱きついてくる。


優の方も花音の前に立つ。


「おいおい、そんな目つき悪ぅい彼氏さんより俺らの方がカッコよくね?」


自分で言ってる時点でゴミなんだよな?


「邪魔、どいて」


「あーん?高校生がイキってんじゃねーぞ?」


いきってるのはお前らだろうに

せっかく俺が優しい言葉で言ってあげてるのに。


「お前らイライラするな」


「ってめぇ何つった!」


あーあ優が言っちゃったよ


もーいっか。


「はやく消えろ」


睨みマシマシ。殺意マシマシの一言


「う、ウルセェ!」


えーどっか行けよー

まだ、逃げようとしない彼らに優が近づき耳元で何か言った。


「く、くそがぁ」「覚えてろよ!」


うわー雑魚キャラのセリフだー

わー逃げる逃げる。


「周。殺気」


さやにほっぺたをぺんぺんされる


「おっと。ごめんごめん」


「はやくいくぞ。さっきのファストパスそろそろ時間だぞ」


「なぬ!行くよー!」


何せここから遠い。

小走りで目的地へと向かう。


「さっき何言ったんだ?」


走りながら優にきく。


「んー秘密!」


「なんでだよ!」


「別にお前が人殺したことあるとか言ってねーから!」



「ちょ、お前待てこら!」


別に人殺したことなんてねーよ!

目つき悪いのは生まれつきだっての!


その後昼食を食べアトラクションを乗り楽しい時間はあっという間にすぎた。

日は暮れパレードの時間になった。


数多のフロートが光り幻想的な空間を作り出している。


「キレイ」


「本当だな」


正直ここまですごいとは思わなかった。

最近来てなかったし。パレードは見ずにアトラクション回ってたことの方が多かったからな。


「それにしても、よくこんな場所知ってたな」


「ふふーん。花音とっておきの場所なのだ!」


距離はあるものの全体がしっかりと見えてすごい。

そして、人がいない。


「すごく、キレイだった」


パレードも終わりみんなお帰りムード。

俺らも、そろそろお帰りの時間。


「最後まで居たいけど電車がね」


そう、夢の国最後の関門は帰りの電車。最後までいると死ぬほど混む。


「帰ろっか」


「ん。楽しかった」


お土産を軽く買って駅へと向かう。



「最後にここで写真撮ってこ」


「いいよ」


「ん」


「はいよ」


通りかかった人にお願いして撮ってもらうことに


「ハイ、チーズ」


カシャ


「楽しかった」


「またこよーな」


「ん。周といると楽しいこといっぱい」


「それは俺もだ」


「大好き」


「こちらこそ」




PS,帰りの電車4人とも寝たせいで最寄り降り損ねた。by高坂

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