第50話 雷

雨…か

五日間の授業を乗り切りやっとの休みの日にもかかわらず雨


「仕事でもするかなー」


やることもなく、外にも出れない。

仕事もたまる一方なので消化を始める。


「おはよ、仕事?」


しばらくすると、さやがこの前買った着る毛布を着てやってきた。


「おはよ、仕事です」


「ん。がんば」


それだけ言うとソファに寝転んでスマホで動画を見始めた。


ふー集中集中


仕事へと戻る。


雨はどんどん増していく。

夕方になり、遠くから雷の音が聞こえてきた。


ゴロゴロゴロ〜


「こっちにいる」


さやがさっきまでソファでTVを見ていたのにこっちがきた。


「どした?」


「なんとなく」


なんとなくねぇー


俺の上に座ってくる。


「そこにいられると仕事がしづらいんだけど」


「気にしなくて大丈夫」


俺は気になるんだけどなぁ


まあ、いっか


雷の音が鳴るたびにさやがビクリと動き結果。俺のタイピングがずれる。


はぁ…


「もしかして雷怖いのか?」


「こ、怖くない」


目が潤ってるよ


「怖いなら、いったん仕事辞めるんだけど」


休憩がてらね


「ちょっと怖いかもしれない」


素直じゃないなぁ


「じゃあ、ちょっと休憩しよっかな」


「ん」


ソファへと行きさやを抱きしめる


ドォーン


近いな


「うぅー」


やっぱ雷だめなのな


「大丈夫だよ」


震えるさやを抱きしめ頭を撫でる。


「怖くない…怖くない…」


大分重症だな。おい


俺的には、雷だとテンション上がるんだけどなぁー

そんなことない?


それにしても着る毛布いいな

こっちも気持ちい。うん最高ですね


本当に買ってよかった。


あと、雷さんありがとうございます。

抱きついてくるのでもふもふを堪能できます。


「むーなんか楽しんでる」


「そんなことねーよ」


「むー嘘。絶対楽しんでる」


あはは…バレてる


「いやーさやがもふもふで気持ち良くてな」


「むー」


ドゴォーン


「んー」


首に抱きついてくる。


わーモコモコやー


雷に感謝感謝



がぶ



「っいって!」


「おかえひ」


おかえし…かな?


その牙の立て方は痛いんですけど


チュー


ぷはぁ


「おいしい」


「血飲む時は言って?あと牙痛いんですけど」


「わざと痛くしたからいいの」


これは、「オコ状態」ですね


「悪かったって」


「ん。雷は危ない」


ドゴォーン


「ひゃう」


ああ、やばい


「くっくくくく…」


やっぱ笑っちゃうわ


「むー」


「まじでごめん。ついついな」


びっくりしてる時の顔と反応がな…可愛いんだよ。まじで


「さてと、夕飯作ろうかなー」


「だめ。一緒にいて」


えぇ…


「ご飯遅くなるよ?」


「やだ」


えぇ…


「じゃあ、作るか」


「だめ」


えぇ…わがまま暴走してるな


「俺にどーしろと?」





結果、俺が料理する横で俺の服の裾を掴んでる。


どーゆー状況だよ。これ。


俺が動けばそれに合わせてついてくる。


まあ、そこまで邪魔でもないからいいんだけどさ


今日の献立は、キムチ鍋

寒い夜に食べたいアレ。


それにしても珍しいよな、こんな寒いのに雷なんて

時期外れな雷。さや、かわいかったからナイス。


話戻るけど。鍋って作るの楽だからいいよね。

切ってぶち込む。それだけ、なんなら切らなくていいくらいだからね。


味付けしてグツグツ


「はい。終わり」


「ん。ソファいこ」


「はいよ」


ドゴォーン


「キャ」


驚きつまづいたさやを抱き抱える


「大丈夫か?」


「ん。ありがと」


ソファに座りTVをつけると。ホラー映画。


「変えて」


「いいじゃん。みよーよ」


「か・え・て」


す、すごく圧がすごい…


「お、おう」


少しいじりすぎたかな


「周、ばか」


頭でグリグリしてくる。


「ごめんごめん」


頭を撫でる


「もっと」


手を離そうとすると阻止された。


「はいはい」


「ん」


ピピピ


しばらく頭を撫でているとタイマーがなった。


お、できたか


「いい?」


「ん。お腹減った。


完成したお鍋を器に入れて机に並べる。


「「いただきます」」


熱々のお鍋はやっぱいいね。

寒い時は特に。


「か、辛いけどおいひい」


「だろ?この辛さがいいんだよ」


ご飯入れておじやにしても美味しいんだよな。


「「ごちそうさまでした」」


お皿を洗い終えソファでグテぇっとする。


「ふーお腹いっぱい」


「んー美味しかった。汗かいた」


「お風呂入ってくる?」


確かに、汗かいたな。


「周の家のお風呂入る」


「へ?なんで?」


「ん?なんとなく」


「お、おう」


ん?なんかOKしちゃったけどなんでうちのお風呂入ろうとしてんだこの子。


ドゴォーン


「ん!」


あーこれのせいか


「はいよ。先入ってきていいよ。もう入ってるから」


「ん。ありがと」


さやが戻ってくるまでソファでダラダラとテレビを見る。


ドゴォォーーン


「ん?あ!」


停電した。


「きゃー!」


まずいな。


スマホのカメラで光をつける。


「大丈夫かー?」


洗面所に入ると中からびしょ濡れのままのさやが飛び込んできた。


「あ、ちょ」


スマホ落とした。


「周。周」


「はいはい大丈夫大丈夫」


「ん」


あ、よく見るとこいつ今裸じゃん


「なんか、着ろ」


「あ…あ…周のえっち」


いや、俺悪くないだろ


「はぁ…」


スマホを拾い上げる。


さやは、とりあえず寝巻きに着替えた。


いつの間に俺の家に寝巻き一式置いたんだよ…

恐ろしき成瀬さや。


「さてと、ブレーカー戻しても効果なしっと」


スマホで見たところここら辺一帯は停電してるらしい。

まあ、なんとかなるかな。


「暗い…」


「怖い?」


「ん」


あら、素直


「明日には治るっぽいね」


「ん。よかった」


「俺もお風呂入っちゃおうかな」


「ん。いってらっしゃい」


お風呂に入る。


あれ…待って。俺PCのデータ保存した記憶ない。


自動保存も入れてない…


あれ…これやばい?


急いでお風呂から出てPCの用の予備電源を入れる。


「あ、消えてる…」


雷対策しよ。

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