第47話 文化祭④

「どしたの?」


「いや、雫さんが想像以上にやばかっただけ」


「ん。雫さんはやばい」


さやもそう認識してんのか…


「おーい、2人ともー!一緒に写真とろー」


雫さんに呼ばれる。


「んー誰かにとってもらわなきゃだねー」


「私撮るよー」


花音がきた。


「あー花音ちゃーん。お願いねー」


花音にスマホを渡して写真を撮ってもらう。


「うん。撮れたよ」


雫さんが確認する。


「オッケーオッケーありがとね」


写真を見せてもらう。うん。まぁ悪くないんじゃない?


送ってもらうよう雫さんに頼むとニヤニヤされてなんかイライラした。


雫さんが帰ってからちょうどお昼ラッシュが始まり大忙し。


飲食店の店員さんってほんとすごいよね。


「づがれだ」


「あぁ…やべーな」


「まあ、これで忙しいのはもう終わりでしょ」


昨日より大変だった。何が大変って話しかけてくる人とか一緒に写真撮ろうとしてくる人がいたせいで昨日の二倍は疲れた。


そして今もこうして視線を集めてる。


「ダリィ」


「笑顔しないとだめ」


「はーい」


そうして、お客さんたちに営業スマイルを振りまく。

我ながらやってることがこすい。


午後は何事もなく終わりこうして俺らの文化祭は終わりを迎えた。


「終わったー!」


「お疲れー」


余った、料理とか飲み物を飲み交わし余韻に浸る。


「さてと皆さんお待ちかね。決算報告ですよー」


「おー待ってましたー」「結構利益出たんじゃねーの?」


めっちゃがんばったからな。利益出てないと困る。


「まあ、まだ正確な数字は出てないんですけど。ざっと20万は超えましたね」


ん?


「まじ?」


「まじです」


みんなぽけーっとしてる。

そんなにもう買ってたのか。てかよく料理尽きなかったな。


聞いたところによると俺とさやがミスコンミスターコン優勝したから料理とかの準備量を誰かが根回ししてたらしい。


どーせ、花音なんだが。


「すごくね?1人5000円ってことでしょ?」


「うん。そーだね」


「おっしゃお前ら打ち上げいくぞぉー!」


「うおっしゃー!」


結構いいとこ行けるんじゃね?


打ち上げには一旦家に帰ってからお店の最寄り駅に再集合することになった。


「さてと、帰りますか?」


「ん。帰ろ」


さやと共に家へと向かう。


「にしてもめっちゃ儲かったな」


「ん。がんばった」


俺もがんばったからな。うん。


「さてと、集合時間までどーする?」


お店の最寄りへは電車を使って、30分くらい。


集合時間まで2時間ちょい。


「んー周の家でゴロゴロする」


「はいよ」


まあ、そんなことだと思った。


家に帰り汗を流しにシャワーに入りとりあえず部屋着に着替える。


髪を拭きながらリビングに出るとすでにさやの姿が


「もう来てたのか?シャワーとか浴びてこればよかったのに」


「今から入る」


ん?


「また、壊れた?」


「んーん」


「じゃあ、なんで?」


「んーなんとなく?」


ちょっとなにいってるかわかんない。


まあ、いっか。


さやがお風呂に入ってる間スマホをいじりながらベットでゴロゴロする。

あーもう動きたくねー


「んー髪ぃー」


わ!ウトウトしてた…


「はいはい」


部屋着を着て頭にはタオルを乗せている。


さやをベットに腰掛けさせて、髪を乾かしていく。


「うーこのまま寝たい」


「わからなくもないけど、このまま寝ると打ち上げ行けねーぞ?」


「それはやだ」


「だろ?」


お風呂に入った後の疲れた体は睡眠を求めてくる。


あー眠い…


「しゅーう」


んあ?


あれ?俺寝てた?


さやの方に頭を乗せて寄り掛かったまま寝てたっぽい。


「ごめん。どんくらい寝てた?」


「わかんない私もウトウトしてたから」


スマホを確認するとすでに1時間が経っていた。


結局寝ちゃってたな。


「そろそろ準備しないとだな」


「ん。着替えてくる」


さやは体を伸ばしてから家に帰った。


よし、俺も着替えよ。


黒のズボンに白のパーカー上に薄いジャケットを羽織る。


さやは、ショートパンツに白のパーカー。


パーカーかぶったな。俺の無地でさやは文字入ってるけど。


「一緒」


「だなー」


「行こ」


さやと共に駅に向かい電車に乗り数分で目的の駅へとついた。

何気にギリギリだな。


電車から降りるとちょうど花音から電話がかかってきた。


なんだろ?


「もしも[今どこにいんの!ばか!早く来て!]


えぇ…めっちゃ怒ってんじゃん。


「い、今駅着いたんだけど。まだ集合時間じゃないだろ?」


[駅の集合は10分前!お店に入るのが今!わかる!?]


「あ、はい。すいません」


俺の勘違いだったのか?


[早くお店来てね。もうみんなきてるから]


「お、おう」


「どしたの?」


なにも知らないさやが聞いてくる。


「どうやら、俺らが最後らしい」


「じゃあ、急ぐ」


早歩きでお店へと向かう。


「おーやっときたよー」


「ったく!おっせよー!」


「いやーごめんごめん」


みんな。テンションが上がっててうるさい。


「はいはい、早く乾杯しよ!」


みんなで飲み物を持つ。


「文化祭お疲れ様ー!今日は食いまくるぞー!かんぱーい!」


「「「かんぱーい!!」」」


「まじ遅れてごめんな」


いちおう、みんなに謝る。


「あー大丈夫大丈夫。たまたま2人が最後なだけで別に遅れてないから」


ん?


「花音?」


「あはは、だって2人遅いしぃ〜」


とりあえず頭グリグリの刑でいこーか


「痛い痛いーゆぅーヘルプミー」


「俺の彼女を虐めるなよ」


優が助けにきた。


「あ?」


「まあ、気が済むまでやってやれ」


「ゆぅ〜ぅ」


花音どんまい。


「うーいたかったぁー」


「よしよし痛いの痛いの飛んで行けー」


みんなの前でお前らはなにをやってるんだ。


「ぶーさやちゃん大好きやろーめー覚えてろよー?」


なに言ってんだこいつ


ーsideさやー


打ち上げが始まり、すぐ。

男子は男子で固まり。女子は女子で話だした。


「それで、実際高坂くんとどこまで行ったの?」


「気になる!教えてよー!」


教える?んーなにいおっかな。


「いっつもどんな感じなの?学校以外で」


具体的な質問がきた。


「んー膝枕したりぎゅーってしたり?特になんもしてない」


「いや!してるじゃん!」「やば!」「う、羨ましい」


んー別になにもしてないんだけどな…


「他には!?もっと聞かせて!」


んー他?


「ベットでゴロゴロしたり?」


「「きゃー!」」


なんか盛り上がってる


「なんかもらったりしたの?」


「ん。これ」


指輪のついたネックレスを出す。


「これもらったの?」


「ん」


「ペアリング?」


「ん」


「「高坂くんと付き合いたい!」」


むー


「だめ」


絶対にあげない。



ーside周ー


「それで、俺たちの成瀬さんを奪っておいて、どうなんだい?高坂くんや」


こうして尋問が始まった。正直覚悟はしてた。絶対こういう展開になるとは思ってたし。


「えっと、おかげさまで」


「クッソ羨ましいいいいい」「くそぉぉぉ」


あはは


「どこまでいったんだ?」


「…キスはしたなぁ」


思い出しただけでも少し恥ずかしい。


「クッソォ。顔赤くしやがって気持ち悪い」


言葉遣い荒くない?


その後も色々根こそぎ聞かれ、話しても大丈夫な範囲ではなした。


「ふぅー」


ドリンクを飲んで一息つく


「お疲れだな」


優が隣に座ってきた。


「まあ、仕方ねーよなぁ?みんなの女神さま、掻っ攫ったんだから」


「わかってるよ」


そういえば


「お前の時はどうだったんだ?花音も結構人気だろ?」


「ん?ねじ伏せた」


うん。なんか優らしい


結構贅沢な食べ放題。いろんな料理がある。


「いっぱい食べちゃった。」


いつの間にか俺の元にさやが来ていた。


「だな、俺もだ」


「ん。これ食べる?」


さやは、持っていたプリンを一口分取ってこっちに向けてくる。


「ありがと」


あ…やっちった。すごく…視線を感じます。


「うわー見せつけてくるねー」


うるっせ


さやは、特に気付いた様子もなく、プリンを美味しそうに食べている。


嬉しそうに食べるその姿が可愛い。


「お前らーあと30分だから食べ足りないやつさっさと食べちゃえよー」


食べ放題だから時間制今回はお金に余裕があるので結構長かった。


みんなすでにお腹いっぱいなのかちびちびデザートを食べたりジュースを飲んだりだった。


「「「ご馳走様でした!」」」


お会計でなかなか見ることのない額のお金を払う。


「いやぁ、なかなかの額だったね」


お札の束が見えた…うん。


その後、余ったお金でカラオケへといってから帰ることとなった。


「あーヅガレダ」


「ん。歌は苦手」


カラオケに行ったもののどうやらさやは、少し…かなり音楽は苦手らしい。


俺?まあ、90点くらいだった。


「「ただいまー」」


鍵を開けて家に入ると消したはずの電気がついていた。


「おかえりー」


この声は…母さん?


案の定あってた。


「どしたの?」


「春と雪を預かって欲しくてね」


リビングで春と雪はテレビを見ていた。


もう10時すぎだぞー


「父さんと母さんは?」


「私たちは、ホテル泊まるから」


ん?まさかな…


「じゃ、よろしくねー」


それだけ言い残すと家を出て行った。


「嵐だな。まじで」


「ん」


明日1日も預かって欲しいとのこと。


俺らh振替休日で休みだけど、春と雪は幼稚園あるんじゃないのか?


まあ、いっか


「周とさやお姉ちゃんなのー!」「おかりー」


「ただいま」「ん。ただいま」


こっちへと走ってくる2人を受け止めながら聞く


「2人は、お風呂入った?」


「まだなの」「マディー」


マディーってなんだよ


「じゃ、ちゃっちゃと入っちゃおうか」


お風呂の用意は母さんがしてくれたらしい。


「周が入れるの?」


「え、まあそうだけど?」

 

「だめ。女の子だから私が入れる」


お、おう


「できんのか?」


「むーできるぅ」


ならいいんだけど


「じゃあ、頼む」


「ん。任せて」


「さやおねーちゃんと入るの!」「おふろー!」


春と雪も寝れるよう、布団をひく

流石にベットで3人は寝れないし。

落ちたら危ないからね。


3人が出てくるのをしばらく待ってるとリビングに裸のままの春が突撃してきた。


「わーなの!」


なにやってんだか


「は、春ちゃん戻ってきて」


さやが体にバスタオルを巻いただけでリビングに出てくる。


っ!?眼福でした。


さやも俺がいることに気づいたらしくすぐに戻って行った。


「春。さやのとこ戻って」


「わかったのー」


また走ってお風呂の方へと走って行った。


寝巻きに着替えた3人が出てきた。


「周髪やって」


まだ顔が少し赤い。


「その前に春と雪な」


「むー」


子供優先です。


春と雪の髪を乾かしてからさやの髪を乾かす。


俺もお風呂に入る。


リビングに戻ると3人とも目が虚ろになっていた。

もう11時超えてるしな。子供たちの方はよく耐えてるもんだ。


「寝よっか」


春と雪の手を引いてお布団の方へと連れて行き横にするとさやも寝ようとしてる。


「ん?」


「ん?」


「帰らないの?」


「ん」


「まじ?」


「まじ」


ま、いっか。俺も早く寝たい。


春と雪を真ん中に俺とさやで挟んで寝る。


まじで親子だな。これは。


「おやすみなの」「おやみー」


「はい。おやすみ」


「ん。おやすみ」

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