第42話 ファミレス

「…えっと。さやさん?」


「…なに?」


見るからに機嫌悪そうなんだよなぁ。


「えっと、すまん」


「別に怒ってない」


いや、怒ってるでしょ。顔怖いもん


「いや、顔に書いてあるよ」


「むー」


肩に頭をぶつけてくる。


「周は私の…雫のじゃない」


さん付け忘れてるよ


「血」


「ん?」


「血飲む」


なるほど


「はいよ」


さやが首元を噛んでくる。


「んー」


ちゅぅー


ぷはぁ


「美味しい」


血を吸ったとこをしたで舐めてくる。


えっろぃ。


「満足できた?」


「ん」


落ち着いたのか、俺に体を預けてくる。


「おはよ」


目を覚ますと目の前にいたさやが声をかけてきた。


「おはお」


寝起きなせいか口がうまく回らない。


体を起こし、さやと共に居間にいく


「おはよ」「おはよう」


「おー周おはよ、イテテ」「おはよ」


父さんと母さんは昨日ので二日酔いっぽい。


「おはよ」


おばあちゃんはいつも通り。


「おはよー」


雫さんも普通。


「昨日はお楽しみだったね」


なにを知っているといるんだ。


「なんか、ちゅぱちゅぱ聞こえたよ」


耳栓!耳栓は!?


ニヤニヤ笑う雫さんを苦笑いで流す。


「ねーねーさやちゃんなにされてたのー?」


今度はさやに絡みにいった。

昨日のことを思い出したのかさやの顔が赤くなる。


「ねーねーなにしてたのー?」


いじめっこ感


「吸われてた」


「??へー」


ん。違うぞ?耳だぞ?


「周くん大胆だね」


耳だよ?耳だからね?


「三人とも朝ごはん食べなさーい」


母さんに呼ばれて朝ごはんを食べる。


明日は普通に学校もあるので朝ごはんを食べてから帰ることにする。


「2日目文化祭行くからね」


「はいよ」


「私も2日目行くよー」


「ん」


「春と雪も連れてくからね」


軽く文化祭でやることとかを説明する。


「へー2人ともミスコンミスターコン出るんだー!」


「周が出るなんて意外ね」


「ほとんど無理やりだけどな」


もともと出るつもりなんてなかったからな。

花音が言わなければ


「さやちゃんは可愛いし勝ち確定ね」


「んーん周も確定」


どうたかな…


「周はちょっときついわね。顔怖いし」


うっさい


「決勝で女子をイチコロできるキザなセリフでも吐けばいけんじゃない?」


「えぇ…」


なんじゃそりゃ


「せっかくさやと一緒に出るんだから勝ちなさいよ」


「言われて勝てるわけでもないんだよなぁ」


「勝ちなさい」


命令形!?


「善処する…と思う」


いや、だってねぇ


「さてと、帰ろっか」


こんな話、長々と話してたら俺のSan値がどんどん削られる。


「ま、いいわ。頑張りなさいよ」


「はいよ」


まあ、やれるだけのことはやるよ…多分


荷物をまとめてマンションのほうに帰る。





「昼ごはん、食べていこっか」


「ん。そうする」


インカム越しにさやに承認をとる。


目的地は駅近くのファミレス、まあまあよく言ってるところ。


「お疲れ様」


「ん」


駐車場にバイクを止めてさやのヘルメットをもらう。


「さて、いこっか」


「いく」


ドアを開けて中に入る。


「何名さまですか?」


店員に聞かれて2人だと伝えた。


「少々お待ちくださーい」


そう言われふとドリンクバーの方を見ると、優を含むクラスの男子3人と目があう。


やっば


「あっれれー?周くんじゃないかー!」


3人からは椅子に座ってるさやが多分見えてない。


「どしたの?」


ちょうどさやが立ち上がった。


終わった…


「あれ?成瀬さん?」


「え?」


なんと、3人だけでなくクラスの男子勢揃いでここにきてたらしい。

迷惑だな。


優は知ってるからか「やっちまった」みたいな顔をしてるが絶対許さない。


「高坂ときたの?」


やばいやばい。


「いやいや、あのね。ちょうどそこであって、さ…成瀬もここに来るっていうから一緒に〜みたいな?」


我ながらなかなかのこじつけだな


「ふーん。じゃあ、俺らと一緒に食べようぜ?成瀬さんも一緒にさ」


流れに押し切られ手結局一緒に食べることに


「てか、なんで俺以外の男子全員集合してんだよ。俺呼ばれてねーんだけど」


「はーそんなことねぇよ。ちゃんとグルで送ったぞ」


そう言われ携帯を確認するとちゃんと通知がきてた。

どうやらただの俺の見忘れだったらしい。


「あ、ほんとだ。悪りぃ」


「いいって」


「それより、お前ずりーぞー?成瀬さんを独り占めしようとしてたんだろ?」


んーあながち間違ってない。


「ほんとだよなー登下校も一緒にしやがってよー」


軽い感じで行ってくるが言葉に重みがこもっている。


「あはは。家近いからさー」


「どんくらいなの?」


「歩いて数分くらい?」


ごめん。歩いて3秒。


ブファァ


「おい、優何やってんだよ汚えなぁ」


「いや、ごめんごめん。思い出し笑いしちゃった」


こいつうぜえ

チラチラこっち見てくるのがすごくうざい。


「成瀬さん。大丈夫?高坂に変なことされてない?」


「やってねえよ!」


少し大きな声になってしまった。


「大丈夫」


「そっかー」


そのままさやの頭を触れようとした男子の手をはたく。


「え?」


「…あ、あれ。今コバエが飛んでたかなーって」


無意識に手が出ちゃったてた。


「ごめんごめん。悪気はないんだ」


「お、おう。ならいいんだけど、こっちこそなんかごめん・」


少し殺気が乗ってたせいか少し場の空気を悪くしてしまたった。


「周。コバエと小林間違えたらダメ」


俺の頭をポンと叩く


「あ、ああ悪い」


その一言でさっきまでの冷たい雰囲気が崩された。


さやすごいな。


「おい、見たかよ。さっきの天使舞い降りてきてたぜ」


「ああ、俺もう死ぬのかも」


何人かは天使のお迎えがきたと錯覚してるらしい。

安心してくれ。お前らは生きている。


「にしても成瀬さんって彼氏できたんだろ?」


「そーじゃん。俺らとご飯食べてて大丈夫なの?」


まあ、本人ここにいるんで大丈夫なんじゃないかな


「ん。さっきから連絡したからok」


親指をぐっと立ててる。


かわいい


「グハァ。やっぱ死ぬのかな俺」


「俺もダメみたいだ」


また、複数人死亡者もどきが出てしまった。


「そ、そっか。なら大丈夫かな?」


「俺やだぜ?彼氏出てきて修羅場とか」


ブファァ!


「おい!優いい加減にしろ!汚えんだよ!」


「わ、悪い。昨日のテレビのこと考えてて」


どゆことやねん。


「俺も彼女欲しいなぁ」


「お前あいつといい感じゃん」


・・・


こうしてアクシデントもありながらなんとかご飯を食べた。


「ふー食った食ったー」


「お腹いっぱい」


お腹をさすりながらお店を出る。


「俺らこれからカラオケ行くんだけど成瀬さんと高坂もこない?」


どうやらまだ遊ぶらしい。


「俺は遠慮しとくよ。やることあるから」


ない


「ん。私も」


「そっか残念。俺ら駅のほうだからじゃーな」


「じゃーね」


「おう。また今度いくよ」


「ん。機会があれば」


男子たちと離れてからバイクの方へと歩いていく。

別れる途中後ろの方から「成瀬と一緒にいたいだけだろー!」とか言われたけど

全くその通りである。


「帰るか」


「ん。周ちょっと嫉妬してる?」


んーあー


「そうかも」


ご飯中はさやが大人気で他のやつらとばっか話してたし。


「家帰ったら甘える」


サヤニウムの補給と行きますかね



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