第41話 味付き
文化祭まであと一週間。来週は本番。
[土日こっちきなー]
母さんに土日に実家のほうに来るよう言われ
俺もさやも特に用事はなかったので帰ることにした。
「雫さんが土日くるって」
家に帰る準備をしていたらさやにメッセージが来たらしい
「実家でよければ来てもらうか俺が住所とか送っとくよ」
「ん」
バイクに乗って家に向かう。渋滞になる前に家を出れたので下道は空いていたので
すぐについた。
「「ただいまー」」
最初に迎えに来てくれたのはレオだった。
尻尾を振って喜ぶレオを撫でる。
「おかえり」
母さんも出てきた。
「「ただいま」」
「みんな居間にいるわ」
そう言われて荷物を置いてから居間へと向かう。
「お、周おかえり」「おかえりなさい」
「「ただいま」」
父さんとおばあちゃんとも挨拶を交わす。
「2人ともやっと恋人になったらしいな。おめでとう」
父さんが俺の手を取って祝ってくる。
なぜ手を握る?だからゴムを渡してくるな!
今日は箱か!用意いいな!
「ん。ありがと」
さやが少し照れくさそうに顔を赤くして言った。
「ちょっと周こっちきなさい」
おばあちゃんに呼ばれついていく
「さやちゃんはこっちでお話ししましょうねー」
母さんの笑顔がなんか怖い。
「周、さやちゃんのこと本気でしょうね」
なにを当たり前なことを。
「ああ、もちろん」
「そ、ならいいわ。でも責任取れるまでは子供作ってはダメよ」
あんたもその話をするか。
「わ、わかってるよ」
「結城にもらってるんでしょ」
おっしゃる通りで
「ま、まあ…」
少し沈黙が流れる。
「幸せにしてあげなさいよ」
「当たり前だよ」
「そ、ならいいわ」
それだけ言うと立ち上がって居間の方へと歩いていった。
居間ではさやが肩まで赤くしながら母さんの話を聞いていた。
父さんは俺を見て苦笑い。
「おい、なにやってんだよ」
2人の間に入り込んで止める。
「なにって周のこと教えてただけよ?母親に対してそんなに睨まないのっ!」
デコピンを喰らう。
教えてた?
「なにを教えてたんだ?」
「周のスマホの履歴からどーゆーのが好きだとか。夜の話?」
ふっざけんな
「はぁ。母さんに言われたことは忘れていいからな」
「んーん。覚えとく、周喜ばせたい」
うん、やめて?嬉しいけどさぁ。襲うよ?まじで
てか、なんで母さんは俺のスマホの履歴を知ってんだ?怖いな
ピンポーン
「周。雫さん」
「ぽいな」
一旦この話は置いておいて雫さんを迎えにいく。
迎えにいくと少し緊張しているのか顔が強張った雫さんがいた。
「お、周くん。きたよー」
「どーも。こっちです」
雫さんを居間のほうに連れていく。
「こちら、さやの保護者の雫さん」
みんなに紹介する。
「お邪魔してます。さやの保護者、成瀬雫です」
珍しく、真面目な雫さんが自己紹介をして綺麗なお辞儀をする。
その姿についつい見入ってしまう。
雫さんって真面目にしてるとこんなに綺麗なのか。
「ようこそ、高坂家へ。家長の高坂椿よ。ゆっくりしていってください」
初対面のおばあちゃんも挨拶をする。
「これ、どーぞ」
雫さんが袋から取り出したのは、あの盾模様の瓶はドンペリかな?
「おーありがと!」「少し冷やしておこうか」
母さんがウキウキ顔でワインセラーの方へ持っていった。
ちなみにうちの家族はみんなお酒好きだから結構な量のお酒がある。
余談だが母さんはワイン、シャンパン。父さんはウィスキー系。
おばあちゃんは日本酒系が特に好き。結構みんな分かれてる。
雫さんの家は赤ワインしかないからね。
雫さんがこっちを向いた。
「まだ言ってなかったね?2人ともおめでと」
「ん。ありがと」「ありがとございます」
例の漏れず俺の手をとり例のブツを箱で渡してくる。
「これ使ってね。生はダメだよ?」
耳元で囁かれた。
言い方がえっろぃ。
鳥肌立った。
チョコ味…味つき!?味がある必要性はあるのか!?
雫さんはウィンクして親指を立ててくる。
グーじゃないんだよ。今日だけで二箱だよ?合計これで何個だよ…
「そろそろご飯にしましょうか」
今日のご飯はステーキだそう。
どーも料理係の高坂周です。
肉を焼くときに意識してるのは、しっかりと熱してから焼くことと
できるだけひっくり返す回数を減らすこと。
ひっくり返すのをやりすぎると肉汁が逃げちゃう気がする。
あくまで自論だけど。
ぱぱっと全員分の肉を焼いていく。どうやらだいぶ奮発したらしい。
高そうな肉だこと。
「さっきの赤出しといてー」
母さんに言われて、雫さんが持ってきたのを持っていく。
ちょうど肉も焼けたのでこれも。
「じゃあ、食べよっか」
「「「いただきます」」」
うん。やっぱうめえや。
肉汁たっぷりでご飯に合う。
いい感じのレアに焼けたね。
「おいひい」
「さすが周くんだねー。ワインに合うよー」
それはよかった。
「高いお肉と高いワインいいねぇ」
父さんは金持ち気分を堪能してるらしい。
ご飯を食べ終えて大人たちはお酒が回ったせいかおしゃべりしている。
俺らの入る隙はないらしい。
「周」
「どした?」
「お散歩いこ」
レオを横に連れて言ってくる。
「そだね。いこっか」
聞こえてるのかわからないけど、母さんに伝えてから散歩に行く。
家の近くを流れる川沿いを歩く。
「コスモス綺麗」
川沿いに大量にコスモスの花達が咲いている。
「すごいなこれは」
昼間にきたらもっと綺麗なんだろうな。
すでに月が昇り、月光と街灯に照らされている。
そのほかにもいろんな咲いた花を見てから家に帰る。
「ただいま」
家に帰るとベロンベロンによった雫さんが迎えにきた。
「えへへぇーおかえいー」
うわー随分と酔ってんなぁ。
レオをさやに任せ、雫さんを連れて居間にいく。
母さんと父さんはテーブルにうつ伏せて寝ていた。
おばあちゃんはすでに寝たらしい。
雫さんをお布団に連れていく。
「はい、ここで寝てくださいね」
「うー周くぅーん」
さっきから抱きついてくる。
「血飲んでいいー?うへへ」
「むーダメ。はやく寝て」
雫さんを引き剥がす。
「あ、おっぱい今揉んだでしょぉー!エッチー!」
触れただけ故意ではない。
「むー周ぅー」
さやにジト目で見られる。
いや仕方ないじゃん。
「違うって」
「もぉーさわりたいならいいよー」
俺の手を取って自分の胸に押し当ててくる。
ちょっとそれはまずいでしょ。
「ちょ、雫さん!?」
「むぅー!少し嬉しそう」
やばい睨まれてる。
なんとか、雫さんを寝かす。
「…えっと。さやさん?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます