第40話 指輪
「おーい起きろー」
俺の横でいい顔をして寝ているさやを起こす。
「んーまだ眠たい」
「学校遅れんだよ」
まあ、実際はもう少しなら大丈夫なんだが
「ご飯作ってるからな」
体を起こしてベットから出ようとすると、さやに止められる。
「ダメ」
「ダメってなんだよ。まじで遅刻だぞ?」
「大丈夫。遅れても死なない」
そう言うことじゃないねん
「ダメです」
さやの布団を取り上げる。
「むー」
「はい、起きて」
「…わかった」
さやの手を取って持ち上げる。
さやを自分の家に帰らせて着替えてきてもらう。
その間に俺も身支度を整えて朝食を作る。
戻ってきた、さやの寝癖を直して朝食を食べる。
「まだ、眠い…」
「これが普通なんだよ」
まだ、完全に目の開き切ってないさやの手を引いて学校へと向かう。
周りからめっちゃ見られてる。そりゃ手繋いでたらそーなるか。
「そろそろ手離すぞ。起きろ」
「むーわかった」
目を擦りながら答えた。
「おはよーさやちゃん。今日は高坂くんときたんだね」
「おっはーさかもとくんはフラれたって聞いたよ?」
「そーなのかー!」
そのまま、クラスへと向かう。
「やっぱ噂のバイクの彼にしたの?」
どこからともなく、佐田さんが出てきた。
バイクの彼ってなんだよ
「ん。そう告白された」
「「「キャー!」」」
クラスがわいた。さやの顔も赤く染まる。
それを見た周りの人はもっとわいた。
俺は自分の席にそそくさと向かう。
「おめでと」
「ありがと」
俺の元に来た。優に感謝を伝える。
「座ってくださーい」
櫻井先生が教室に入ってきた。
「どーしたんですか?今日はやけにみんなテンション高いですね」
いつも通り、先生とは思えないマイペースさで聞いてくる。
「さやちゃんが彼氏できたんだってー」
花音が答えた。
「えー!そうなんですか!おめでとうございます!いいですねー。先生も彼氏欲しいですー」
なんかへこんじゃった。
「んーん。先生かわいいから大丈夫」
さやは先生を励ました。
先生がいいロリコンに出会えることを祈って…
「うーできますかねー…あ、カネ鳴っちゃった。え、えっと今日はLHRで文化祭のことやりまーす」
それだけ言い残して速攻出て行った。
忙しそう。
昼休みLHRが始まるまで、俺は昨日のことを優に話した。
「なるほどね。もう1発かました?」
「やってねーよ」
「一緒に寝たんだろ?どーせ期待してたんだろ?」
ギクッ
「図星じゃん」
「そりゃ健全な男の子ですから」
「顔赤いぜ?」
ウゼェ
キーンコーンカーンコーン
「じゃあ、また聞かせてくれ」
「やだね」
お互い自分の席に戻る。
「今日は文化祭のことやるよー」
1年の頃は劇やらされた。
今年からは、出店とか何やっても自由らしい。
「えっと。念のため文化祭のことを説明しますね
まず文化祭は二日間土日にやります!
出店は自由ですがセンシティブなのとかはダメですよ!
1日目のお昼からは、ミスコン、ミスターコンが行われますよ
参加は自由!みんなもどんどん出ましょー!
使用するお金は学校から借りれます。売り上げで返済します。
余ったお金はクラスで自由に大丈夫です。売り上げいっぱい出しましょー!
借金返しきれなかったら大変なことになるのでよく考えて借りてくださいね」
うちの学校の特徴で借りれるお金に上限はあるものの、しっかりとした理由があれば借りれる。ただ、返せないと…どうなるかは、想像したくない。
ちなみに、ミスコンミスターコンの優勝者のクラスには賞金が入る。
「さて、何やりますか?」
ザワザワとみんな話し合い始める。
「メイド喫茶」
まあ、小説とかだと横道な感じのやつだよね
「えーやだよ」「無理無理無理」
女子には大大不評っぽいね
「じゃあ、執事喫茶は?」
カウンターを女子が返してきた。
「やだ」「無理」「なく」「執事ぐへへ」
俺もやだよ
その後も色々言い争った結果
普通の喫茶店をやることに…
「お店の服どーする?」
「学校の制服?」
「それじゃあ、味気なくない?」
制服でやっても確かに面白くないな
けど用意するってなるとお金も手間もかかる。
「うち、喫茶店やってるからその制服であれば用意できるよ」
近所でこじんまりとした喫茶店を営んでいるらしい
結局、そのお店の宣伝を条件にお店の味も貸してもらえることになった。
シフトや細かい教室の使い方などは、後で決めるとして。
裏方とウェイトレスをやる人を決めた。
ちなみに、俺もさやもウェイトレスをやることになった。
裏方がよかったなぁ
「うちのクラスでミスコンミスターコン出たい人いますかー?」
さやは、少し嫌がったもののみんなに押されてミスコンに出ることに。
男子は、誰も出ないらしい。
俺?いや…やめとこ…
「いちよう、今日まで受け付けてるから出たい人は先生に言ってくださいね!」
こうして学校は終わった。
「周出ないのか?」
「出ない」
優の後ろからは、花音が走ってきた。
「言っといたよ」
ん?何が?
「何言ったんだ?」
俺の代わりに優が聞いた。
「え?何って周がミスターコン出るってことを櫻ちゃんに伝えておいた」
「は?」
この女は何を言ってるんだ?
「ナイス!」
優は花音とハイタッチしてる。
「いやいやいや、何やってんだよ。ちょっと行ってくる」
「まあまあ。いーじゃんいーじゃん。でよ?」
「い。や。だ」
「出ろ」
なんで命令形?
「無理」
「出ないと周の好きな人叫ぶよ?」
「いや…え?やめろやめろ」
急いで花音の口を塞ぐ
「ウーウー」
「いいじゃん。出てみなって」
「…はぁ。わかったよ」
「よろしい」
花音はふんぞりかえってうなずく。
「がんばろ」
さやが近くにきた
「ああ。そうだな」
不安しかねーよ
家に帰りさやと一緒にTVを見てると
ピンポーン
チャイムがなった。
「だれ?」
「多分宅配便」
あれが届いたんだろう。届くのめっちゃ早いな。
段ボールを受け取りリビングに持っていく。
「何買ったの?」
「さやにも関係あるもの」
「ん?」
段ボールの中に厳重に梱包されたものを取り出す。
「えっと、さや付き合ってた記念みたいなやつ」
「指輪?」
箱の中に入ってたのは指輪
「シルバーリング。まあ、そこまで高いものでもないんだけど」
やっぱ、重いかな
「んーん。嬉しいありがと」
大事そうに抱きしめてる
「これ、指輪をネックレスにするやつ」
「ん。つけて?」
指輪とネックレスを受け取り。
指輪にネックレスを通してさやの首につける。
「ありがと、もう一つは周の?」
「そだな」
俺のもさやと同じような指輪。
「おそろ」
「だな」
嬉しそうに指輪を見てる。
喜んでもらえてよかった。
俺もネックレスをつけてソファに座ってダラダラする。
「しゅうー」
「んーどした?」
「なんでもない」
なにそれ、かわいいかよ
俺の膝を枕にしてソファに寝っ転がってスマホをいじってる。
さやの頭を撫でると嬉しそうに頭を擦り付けてくる。
やばい。まじでこの子可愛すぎんだけど。
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