第36話 角砂糖

最近なんか気分が重い。

なんでだろ。人の温もりが足りない気がする。


友達とも遊んだし、最近は充実してる。

なのに、なんだろう、なんか足りない。


朝起きるも、体が重い。


そういえば今日は、さやが来る日かな。

四日間だけなのに随分久しぶりに感じる。


「周おはよ」


ベットの中に飛び込んできた。


「どしたの?」


「シュウニウムが足りない」


なるほど。


「俺もサヤニウムが足りないかも」


さやをギューっと抱きしめる。


「はー落ち着く」


やっぱこれだなって。


「ん。落ち着く」


しばらくその状態でいる。


「周に会えなくてちょっと寂しかった」


「えーっと。俺もちょっと寂しかったかも」


どうやらさやも俺と同じだったっぽい。


「だから今日は甘える。周も甘えていいよ?」


「あ、はい」


明日にはもう学校も始まる。

学校が始まる前に十分量のサヤニウムを貯めなければ。


さやの方に頭を乗せる。


「ふふ、周が甘えてくる」


「うっせ」


仕方ないのだ。なんかこうしてると全身でさやを感じられていい。


「周がかわいい」


「うるさいってば」


自分らしくもないのは重々承知なのだがなんか変な感じがする。


「いい。私も落ち着くからこれ好き」


さやを愛でているとチャイムがなった。


誰だろ?


ドア穴から覗くと花音と優だったのでそのままソファの方へと戻る。


「いいの?」


「ああ、間違えだったらしい」


さやを膝の上に乗せて抱き寄せる。


ガチャ


どうやら強行突破してきたらしい。まあ鍵もかけてないんだけど。


「なーんーでー開けないの!」


花音がお怒りの様子で迫ってくるが、生憎俺はサヤニウムの補充で忙しい。


「なんとなく?」


「随分とイチャコラしおってー」


花音がうらめしそうに見てくる。


「あれま、イチャイチャタイムを邪魔しちゃったかな?」


優も入ってきた。


「ん。今日は、甘える日だから」


「別にイチャイチャはしてない」


否定すると。まるで汚物を見るかのように2人に見られる。なんで?


「それをイチャイチャじゃないって言うなら何がイチャイチャなんだよ」


「ねーほんとそれ」


イチャイチャはイチャイチャだろうに。

ん?どゆことだ?まいっか


「なんか今日の周、さやちゃんに溺れてるね」


「ああ、思考できてなさそう」


優までうるさ。


「ん。4日間会えてなかったから」


「言うなよ、ばか」


さやの頭をぽんと叩く


「うわーリア充爆発すればいいのに」


「わかるぅ〜」


あんたらの方がリア充でしょうが


「さやちゃん。キスマ消えた?」


ん?


「おい、どゆことだ?」


「前、さやちゃんがうち来たときキスマつけたんだー」


さやが首元を抑える。


「消えた」


「もう一回つけてあげてもいいんだよ?」


「いらない」


「ちぇー」


ちぇーじゃないよ。ちぇーじゃ


「せっかく周の家きたはいいけどすることないな。家主とその奥さんは2人の世界作ってるし」


「帰ろっか」


ただ、うちに冷やかしに来ただけで2人は帰っていった。

お土産に冷凍庫のアイスを渡しておいた。


なにしに来たんだよ。あいつら。


「眠い」


「寝る?」


と言うことでベットにきた。

とは言っても俺は眠くないのでさやの隣に寝転がって本を読む


「なんか、新鮮」


「ん?何が?」


「いっつも一緒に寝るときも電気消してるし、暗いけど今は明るいから」


なるほど確かにこうするのは初めてかもしれない。

いっつもこの後どっちもすぐ寝るからな。


「確かにそうかもな」


しばらくして、さやの方を確認するともう夢の世界に旅立っていた。


「この顔見てるとこっちも眠くなってくるな」


へにゃっとした寝顔を見てると眠くなってくる。

布団に本を置いて、さやの方を向いて横たわる。


「おーい。さやさんや、なんで君はそんなにかわいいんだい?」


寝ているさやのほっぺをツンツン突く。


襲ってくる睡魔に抵抗せずに身を負かすとすぐに夢の世界へと誘われる。



-sideさや-


浅い眠りについていると、ツンツンと突かれて目が覚める。

それでもまぶたは重たいままでそのまま、また眠りに落ちるのを待つ。


「おーい。さやさんや、なんで君はそんなにかわいいんだい?」


唐突に周の口からそんな言葉が発せられた。

きっと周は私が寝ていると思ってるだろうから寝てるふりをしてる。


しばらくすると隣から寝息が聞こえてくる。


恐る恐る目を開けると周も寝ていた。


「周もかっこいいよ」


周の耳元で呟く。


ほっぺたツンツンもつけてお返しする。

無防備な周の腕の中に潜り込んで周の腕を枕にする。


んー幸せ。


今まで辛いこととかたくさんあったけど周に出会えてよかった。



-side周-


なんか体の上に重たい何かがある。

目を開くとそこには双丘がある。


なんだこれ


両手でその双丘を揉んでみる。


うん。やらかい


「ひゃう」


ん?さやの声?やらかい双丘を揉み続けていると双丘が動き出した。


ん?


奥からさやの顔が見えてくる。


「周のえっち」


さっきまで低速だった脳みそが高速で回転し始める。

えっと、ってことはさっきまで揉んでたのって。おしり?


「えっと。その気づかなくて、ごめん」


「別にいい」


あ、いいんだ。


それにしても良い柔らかさだった。

手をグーパーグーパーしてさっきの感触を思い出しているとさやに止められる。


「思い出さないで」


「お、おう」


さやの顔が赤くなってるからやっぱ恥ずかしかったらしい。

理性がゴリゴリ削られてく。


このまま、さやをベットに押し倒したい欲求に必死に抗う。


「しゅー」


「ん?どったの?」


「血のむー」


さっきからさやの顔が上気してていつもより色っぽい。


「どーぞー」


上体を起こす。


カプッ


首元を吸われてる。


もう、吸血されるときの痛みにも慣れてきた。


ぷはぁ


「おいしー」


「そいつはよかった」


さやの口元からたれる血を親指で拭き取り。

血を舐めてみる。


うん。血の味だなー


美味しくはない。


「もうちょっと運動した方がいい、ちょっとコッテリしてる」


「お、おう。コッテリなのか」


確かに最近は家で怠けてるからな。


「さっぱりがいい」


筋トレとかはちょくちょくやってるけどずっと椅子座ってるし血行が悪くなってるのかもね。


明日から動こ。うん明日からやるから!


「ん?明日から学校じゃん」


ベットに座り体を壁に預けてる。

さやは俺の上にうわり俺に体を預けて来てる。


「ん。二学期」


二学期は文化祭、修学旅行とかがあるから一年を通してイベントが多い。


「修学旅行ってどこ行くの?」


「確か、京都奈良だったかな」


中学でも行ってんだよなー。


「初めて」


「え?中学でいってないの?」


「ん。いってない」


まじか。


「それなら楽しみだな」


「ん。楽しみ」


まあ、中学の時はグダってあんま楽しめてなかったしさやと一緒に行けるなら楽しめるかな。


「一緒に行ける?」


あ、そういえば一緒に回れるとは限らないのか忘れてた。


「一緒に行けるといいね」


俺の前に座るさやが上を向いてこっちを見てくる。


「ん」


この態勢に飽きたのかさやが体ごとこっちに向く。

足を腰に回してホールドして抱きついてくる。


あ、暑い


冷房を少し強めに設定する。


「いい匂いする」


「そーか?」


汗かいたからちょっと臭い可能性あるんだけど。


「さやの方がいい匂いするよ」


俺の前に流れてくる。髪と首元から女の子特有のいい匂いがする。


「そー?」


「まじ」


このままじゃ特にすることもないのでさやの方に顔を乗せて、さやの脇の下からでてる手でスマホを取っていじる。


「肩重い」


「あ、ごめん」


流石に長時間俺の頭の重さ耐えるのはきついわ。


「反対にして」


「お、おう」


いやではないのか。

スマホをそこらへんに放ってさやを抱きしめる。

明日から学校始まるし、サヤニウムを補給しないと。

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