第32話 花火大会

うーだる…

俺とさやは、後回しにしていた夏休みの宿題の消化をしていた。


「ツーカーレーター」


「ん。やりたくない」


疲れた俺らは、買ってきたアイスを食べながら休憩する。


はぁ…宿題ってなんであるんだろ。学生なら一度は思ったことがあるはず。


プルルルル


電話がかかってきた。


優からだった。


[おはよー周。今日は暇かね?]


「さやと宿題消化してる」


[今日花火大会あるから一緒に行こーぜ?成瀬も一緒にどう?]


そういや、さやと夏祭りで4人で行きたいって言ってたな。


「さや、今日花火大会あるんだけど優たちと行かない?」


「ん。行く!」


うん。即決。


「大丈夫そう。いけるよ」


[おk、お前んち行くわー]


あ、俺の家集合なんだ。


しばらくすると花音と優がやってきた。

花音は浴衣。優は普通の服だった。


「いらっしゃい」


「やほーあれ?さやちゃん浴衣着ないの?」


「着る。まだ着てないだけ。周も着る」


ん?


「いや、俺はいいかなーなんて」


「周もきる」


あ、はい。


花音とさやは一度さやの家に戻り。俺はこっちで着替える。


「はーめんどくさい」


「いいじゃん。似合ってるし」


ささっと着ると2人が来るまで待つ。


「それで、あれから花音とはどうなの?」


「あーもう毎日ラブラブだよ」


わーきっしょ。


「お前はどうなの?」


「どうって?」


「成瀬とだよ」


んーなんかあったっけ?ないな。


「特になにもー」


「へーつまんな」


面白いことを期待しないで欲しい。


「お待たせー」


2人がうちに戻ってきた。

さやは夏祭りの時来てたのを持ってきてい他のでそれを着ている。

髪には夏祭りにあげた簪を指している。


「さやちゃんのその簪綺麗だねー」


「ん。周からもらった」


「おー周いい目してるじゃん」


花音に褒められた。別に嬉しくない。さやが使ってくれてるのがうれしいだけ。


「おーいはやく行こーぜ」


花火大会へは電車で30分くらいの場所で行われる。


すでに会場には大量の人がいる。


あ、そういえばこれ学校の人いるんじゃないの?


コンタクトはつけてる。髪もちゃんとしてる。

でもこのメンツは確実に気づかれる…

はは、考えすぎかな。


「あれ?花音ー!こないだぶり!浴衣にあってるねー!」


「おー!明日香!ありがとー」


フラグ回収はっや…佐田明日香クラス委員。

ほらあの前4人で出掛けたの見られた人。


「ヤッホー佐田」


優も声をかける。


「おー小西くんか!そっかーデートだったかー羨ましいなー」


佐田さんが花音を肘で突いている。


「あれ?さやちゃん?」


花音と少し離れていたさやが見つかったー(逃走中風)


「ん」


「おーさやちゃんだー!やば浴衣尊い…やば鼻血。写真撮らせて貰います!」


ティッシュで鼻を押さえながらスマホで必死に写真をとっている。


「あれ?花音と来たの?」


「えーっと、そうそう。そーなのよ」


花音と優は俺のことをすっかり忘れてたらしい。

花音は話し方がおかしくなってる。


「あれ?もしかして前一緒にいたイケメン彼氏いる?」


周りをキョロキョロ見る。

すっと後ろを向き他人のふりを。


「あれ?君だよね」


なんでばれたー


「あはは…」


「あれ、その声…いや気のせいかな」


あれ、もしかして気づかれてない?


「ふーんイケメンだね。浴衣めっちゃ似合ってるね。写真とっていいですか!?」


「だめ。あげないから」


さやのものでもないけどね。


さっきからじーっと顔を見られてる。やっぱばれた?


「んーなんか見たことあるんだよなーこの顔気のせいかなー?」


高坂です。お久しぶりです。


「ま、いっか。そういえば学校ならこのイケメン君じゃなくて高坂くんなのに…ちょっと高坂くんかわいそうだね」


俺らは苦笑いしかできない。


「ま、いいと思うけどね。高坂くんは暗いし仕方ないかー」


「あははー」


「じゃ、友達いるからーじゃーねー」


そう言って佐田さんは、離れて行った。


助かった…


「いやー危なかったねー」


「危なかったね、じゃねーよ」


本当にバレないからよかったものの。


「それにしてもよくバレなかったのよな」


「本当それ」


確かにそうだ。バレててもおかしくないのに。


「まあ、確かに花音も初めてみた時、目を疑ったからね」


「ああ、それは確かに」


そんなに違うもんかね。


「ん。今の周はいつもよりかっこ良すぎる」


かっこ良すぎるとは…


「気を取り直してなんか食べいこー」


まあ、バレなかったしいいってことにしておくか。


「なに食べんだー?」


「かき氷!」


いいね。そういえば夏祭りでも食べてないな。


さやが手を繋いでくる。


「いいのか?」


「ん。さっきバレなかったから大丈夫」


まーいっか。


さやの握り花音たちを追いかける。


ちなみに花音は優の腕に抱きつついている。


前あんな喧嘩してたのにな。


かき氷を買って、花火を見る場所とりしていた場所へ向かう。


場所は優がとっておいてくれたらしい。


ブルーシートを敷いてある場所に腰を下ろす。


「なかなかいい場所取ってんじゃん」


「感謝してくれ。先に場所取りしといてあげたんだから」


「「はいはい、ありがと」」


「うわ、お前らひど」


「優、ありがと」


さやがちゃんと感謝を伝える。


「うーもう俺には成瀬しかいないなー」


さやの方へとすり寄る優の頭を押さえる。


「なーにやってんだ?」


「ご、ごめんて」


「うわ、浮気された…」


「ご、ごめん。俺は花音一筋だから」


公共の場でなにを言ってるんだよ。


周りの人にめっちゃみられてる。


「恥ずかしいからやめて」


赤くなる花音に優が叩かれる。


「ごめんごめん」


ヒュー


花火が打ち上がり始まった。


「おーキレイだねー」


「ああ」


「そーだな」


「ん。キレイ」


その後も大量の花火が打ち上げられた。


田舎の夏祭りとは比べ物にならない。量と質に圧倒された。

花火を写真に収める。花火を撮るときは、光度を下げるとキレイに撮れる。


「ふー凄かったね」


「んな。めっちゃキレイだった」


約30分間絶え間なく花火は打たれた。


「だね」


「ん」


余韻に浸ったら今度は会場からの地獄の帰り道。大量の人の中、満員電車ごとく押される。


「えっと、もしはぐれたらココ集合な」


地図を指差す。


「「「了解」」」


固まって移動する。


「うわー人多いなー」


「だな。花音手離すなよ」


「うん」


花音と優の話を聞いているとさやが人の渦に飲まれた。


「しゅぅー」


まずった。目を離した瞬間に一瞬で飲まれた。


「くそ」


「さやちゃん…」


「おい周くんなにやってんのー」


「はやくいくぞ。集合場所行かないと」


「ほいよー」「おー」


人ごみをぬけながて集合場所へと向かう。


集合場所についたもののさやはまだきていなかった。


しばらく待って子もこない。


「探し行ったほうがいいかな」


「大丈夫だって、まだ5分しか経ってないから」


まじか、20分以上経ってると思ったわ。


「ほらきたよ」


人混みの中からさやが出てきた。


さやを見つけるとさやを抱きしめる。


「ん?周?」


「よかった」


「私は、大丈夫だよ」


さやに背中をポンポンと叩かれる。


「全く周くん。見せつけてくれるねー」


「本当、過保護だよな」


「うっさい」


我にかえりさやをはなす。


「なんか、お腹すいたなー」


「花音もー」


花火も終わってしばらくすると大方出店も閉じてしまった。


「どっか食べに行くか?」


「んーめんどいなー誰かの家で食べたいなーなー」


「誰かの家かー誰かの家ねーねー」


なんか、めっちゃ視線を感じる。


「…俺の家くる?」


「「yes!」」


知ってた。


「花音は着替えてから行くよー」


「俺は、花音と一緒に行くよ」


みんなで食べるほどの食材もないので帰りに買い出しに行くか。


「俺は、買い出しもあるからゆっくりでいーぞー」


「はーい」


俺の家でご飯を食べることに決まった。


てかさ、一回家に帰るならそのままでいいじゃん。


「さや、どーする?俺はスーパーに買い出し行くけど先帰っててもいいぞ」


「んーん。一緒に行く」


「はいよ」


さやを連れてスーパーへと向かう。


んー夕飯なににしよ。


タコパ


いいね。我ながらいい案。


たこ焼きの材料を買って家に戻る。


下準備をしている間にさやは、家で私服に着替えてくる。


たこ焼き機を出したりなんだり準備をしていると2人がきた。


「「ただいまー」」


「おかえり、ここ俺の家な」


ただいまーってなんだよ。


「晩ご飯はなにー?」


本当の家庭みたいな会話だな。


「たこ焼きだよ」


「おーいいねー」


「お菓子持ってきたよー」


なんでも前に大量に買ったのが消費し切れてないらしい。

まあ、ありがたいことだ。

早速、たこ焼きを焼いていく。


焼き上がった、たこ焼きにソースとマヨネーズ鰹節を振りかける。


「んー美味しい!」


「うめー」


「ん。美味しい」


ちゃんと焼けててよかった。


「美味しい」


とにかくどんどん焼いていく。


「ふーうまかったなー」


「花音、お腹一杯だよー」


「ん。お腹いっぱい」


みんな存分に食べれたっぽい。


しばらくワイワイ話してから優と花音は帰った。


「私も帰る」


「ん。おやすみー」


「ん。おやすみ」


さて、お風呂入ろっか。

服を脱いでいると。チャイムがなった。全裸なう。

とりあえずバスタオルを巻く。


さやか。このままでいいや。


「あれ?さやどしたの」


ドアを開ける。


「家の体重計が壊れたから使わせて」


「お、おう」


洗面所にある体重計を取り出す。


・・・


「周の体重計も壊れてる。なんで」


乗ってみる。


58kgうん壊れてない。


「多分、壊れてないよ」


さやの顔がさっきから青い。


「明日からご飯の量減らす」


「お、おう」


それだけ言い残して帰っていった。

明日からカロリーとかも考えようかな。


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