第31話 side優

side優


花音の親とうちの親が旅行に出かけることになった。

なのに俺らは置いてかれた。


なんで?


1人で暮らしたことない俺らは、親の提案で2人で暮らすことになった。


最初は嬉しかった。彼女だし、同棲って憧れるじゃん?


でも、同棲の大変さを実感した気がする。


最近喧嘩が多い。ほんの些細なことで喧嘩をしている。


そして今朝も…


「ねえ優。私のプリン知らない?」


「プリン?あー冷蔵庫にあったやつなら食べたかも」


「はぁ?なんで私が買ってきたプリン勝手に食べんの?信じられないんだけど」


「いや、知らねーよ。聞いてねーし」


ここで、素直に謝れば少しはマシになるんだろう。

だけど、ついつい反抗してしまう。


「はあ!?聞いてないと勝手に食べるの?最悪」


「うっせぇな。新しいの買ってこればいいんだろ?」


「あれ、限定品だから買えないし…」


「味かわんねーよ。どーせ」


こうして、今日も朝から険悪な雰囲気で始まった。


近くのコンビニへとプリンを買いに行く。


「ったく、めんどくせ」


プリンを買って帰る。


「ほれ買ってきたぞ、これでいんだろ?」


「優が食べたんじゃん。なんで上から目線なの?」


「買ってあげたんだからいいだろ」


「もお、無理」


花音は、スマホを持って家を出ていく。


「おい、どこいくんだよ」


「あんたには、関係ないでしょ」


そのまま、家を出て行った。


「まあ、静かになって助かるわ」


そう、たかを括っていた。



すでに3時間以上経ってる。


「俺が悪かったな」


思い返すとどう考えても俺が悪かった。

花音がいないせいで家が静か。いつものような明るい雰囲気がない。


「ああ、このままだと俺死ぬな」


思い切り花音に電話をかけるとつながらない。


「くそ。どこいんだよ」


家を出て花音を探し始める。


いなくなって初めて大切さに気づく。体験しないとわからないもんだ。


「あーくっそ。最悪の気分」


公園のベンチで頭を抱えていると。周から電話がかかってきた。


「こんな時になんだよ」


電話に出ると。花音が来てるとのことだった。


会いにいくために少し準備をする。

俺が食べてしまった限定品のプリンを買い。

帰って身支度を整えて花音の元へと向かう。


ピンポーン周の家のチャイムを鳴らして待っていると。

周が出てきた。


「いらっしゃい。お持ち帰りで?」


「…ああ」


「中で話します?ここで話します?」


「ここで頼む」


着々と返事をしていく。


「ご飯食べてく?」


「大丈夫」


それだけ聞くと周は、家に戻った。


しばらく待っていると。花音が玄関にきた。


「何しに来たの?」


花音が見るからに機嫌が悪い。


「ごめん。俺が悪かった」


「なに今更謝られても困るんだけど」


花音から冷たい言葉が飛んでくる。


「まじでごめん。花音。うちに帰ってきてくれ」


自分の思ってることを素直に伝える。


「なんで」


「花音がいないと俺が困る」


花音の顔が赤くなる。


「なに、唐突に恥ずかしいこと言わないで」


「ほんとに、花音が今日一日いないだけで、俺は耐えられない」


「は、花音に依存しすぎ。バカじゃん」


「だから、頼む帰ってきてくれ」


「…はぁ。わかった、帰ればいいんでしょ」


ああ、よかった。


「ありがと」


「はい、仲直りしよ」


花音が手を広げる。


花音をそっと抱きしめる。


「花音もごめん。ちょっと怒りすぎたよ」


「俺こそごめん」


すっかり仲直りできた。俺らは帰る。



「すまん。邪魔したな」


夕飯を作ってるであろう周とそれを眺めている成瀬に声をかける。


「大丈夫だよ。仲直りできてよかったな」


「ああ、ありがと」「ありがと」


「ん。よかった」


「それじゃ、俺ら帰るから。花音が世話になった」


「また今度泊まりに来るね」


「ん。待ってる」


成瀬と周に別れを告げてマンションを出る。


「夕飯なに食べたい?」


「優はー?」


「俺はいいって。今回悪いのは俺だし」


「いいんだよー悪いのはお互い様だって」


やばい、うちの彼女最高すぎる。


「おれは、んーやっぱ花音に任せるよ。おごるから」


「じゃあさーカップラーメン食べよー」


「はー?そんなんでいいのかよ」


ここにきてカップラーメンって。


「やっといつもの優らしくなってきたね」


ニコッと笑って言ってくる。


「カップラーメン食べながら映画でも一緒に見よ?」


それはいいかもしれない。

カップラーメンである必要は全くないけど。


「ま、いっか。よし、今日はデブ活するか」


「おー!」


コンビニによって、カップラーメンとおつまみとお菓子を大量に 買い込む。


値段は考えないようにしよう、悲しくなるから。


「あ、ちょっと待ってあれ買い忘れた」


花音が何か買い忘れたらしい。結構量買ってるんだけど…


「なに買い忘れたんだよ」


「あ、気にしないで先行ってて1人で買ってくるから」


「おれも行くよ」


「いいって。先行ってて」


見られたくないもの?なんだろ。


「りょーかい」


帰り途中花音が追いついた。

帰ったらお菓子を開けてカップラーメンを用意する。


「なに見る?」


「んー恋愛映画がいいー!」


「りょーかい」


ランキング上位にあった恋愛映画を選ぶ。


カップラーメンを食べながら映画を食べる。

もちろんエアコンはガンガン。もはや寒いまである。


カップラーメンを食べてから、お菓子をむさぼる。



「面白かったね」「だな」


さっきまで喧嘩していた仲とは思えないね。


「このチョコ美味しい」「チョコ?」


なんか悪い思い出が頭を過ぎる。

はは、まさかな。花音が食べてたからのチョコの袋を見る。

よかった。普通のか。


「食べる?」


「あるなら欲しい」


その瞬間。花音に口に溶けたチョコを口移しで流し込まれる。


ウグッ!?


チュパ


「どう?美味しいでしょ?」


あ、おれの理性が完全に崩れた。


花音をソファに押し倒す。


「えへへ優大好き」


「ああ、おーれも」


「む。ちゃんと言って」


「…大好きだよ」


「ムフフ」


あれ、でもゴムあったっけ?


「はーいこれ」


花音が買ってきたコンビニ袋の中には箱が。


その後のことは、恥ずかしくて話したくない。

ただ一つ言えるのは、花音は最高。


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