第24話 春と雪。それとレオ

ドアを開けると謎の物体2つが俺に飛び込んでくる。


「周おかえりなの!」


「おーかり〜」


2人をそっと受け止める。


俺の親戚。母さんの妹の子供の春と雪。

語尾に(なの)がつくのが春。

喋り方が溶けてるのが雪。

双子の5歳。


さやに紹介する。


「あれ?周周!このお姉さんだれなの?」


「彼女〜?」


ぴょこぴょこと足元で飛び跳ねながら聞いてくる春。


「違う違う友達。成瀬さや」


「ん。よろしく」


さやが挨拶する。


「さやお姉ちゃんなの!」


「お姉ちゃーん」


「よろしく、春ちゃん雪ちゃん」


「ねね!こっちで遊ぶの!お姉ちゃんと周も一緒に遊ぶの!」


「遊ぶ〜」


さやが2人に両腕をとられ引っ張られている。


あわあわと驚いてるさや。


「お、周きたのね。お帰りなさい。春と雪と遊んであげなさいよー。さやちゃんもよくきたわねー。気楽に過ごしてってねー」


やっと母親が玄関まできた。


「ん。お邪魔します」


「はやく行くのー」


「はやく〜」


2人も我慢の限界らしい。


「あと、こいつがレオン。みんなレオって呼んでる」


まるで雪と春を見守るかのようにいるハどしりと構えたハスキー犬を指差す。


「レオよろしくね」


さやがレオの頭を撫でる。


わん!


まるで返事をしたかのようだった。


せかすように見てくる春と雪。


「あとちょっと待って。みんなに挨拶しなきゃいけないから」


「春も行くの!」「雪も〜」


俺の手をつかんでくる。


「それじゃ、一緒にいこっか」


俺の左手に春、右手に雪


さやとレオは、後ろからついてくる。


やっと玄関から先に進めた。


居間に入るとみんな勢揃いしてた。


「ただいま」


「ただいまなのー」


「ただいま〜?」


俺につづいて春と雪も。そういうのがしたいお年頃。


「おかえりー」


「ほう、その子が成瀬さんかい?」


おばあちゃんが、さやの方を見る。


「そ。成瀬さや」


「成瀬さやです。お世話になりましゅ」


噛んだ。さやが噛んだ。


顔が赤くなってる。


「ふふ、可愛い子ね。周大切にしなさいよ?」


うちのおばあちゃんはいつもニコニコしてる。


「はーいよ」


「遊ぶのー!」「遊び〜」


待ちに待ったといわんばかりに服を引っ張ってくる。


「まだ、おじいちゃんに挨拶してないから、待って」


「チーンやるの!」「ち〜ん」


お仏壇のほうへと二人はとてとて走っていく。


チーンチーン


春と雪が一回ずつ鳴らす。


手を合わせる。


「さて終わりと」


「おねーちゃんと遊ぶのー」「おねーちゃんー」


さやは、2人に引っ張りだこ。


「はいはい、遊ぶから離してやれ」


「わかったの」「は〜い」


「あ、ありがと」


春と雪に引かれて他の部屋に行く


「で?何して遊ぶんだ?」


「家族ごっこするの!」「家族ぅ〜」


家族ごっことは、いわゆるおままごとってやつ。


「春はイヌなのー」「雪はネコ〜」


と、いうことなので2人を愛でることにした。


さやは春を俺は雪。


雪は俺の膝の上で丸くなっている。頭を撫でるとまるで猫かのように喉を鳴らす。


手を離そうとすると頭を押し付けてくる。


レオをは俺の隣で寝転がっている。

レオのことも撫でてやる。嬉しそうに目を細めてかわいい。


さやの方もだいぶ懐いてるようで、俺と同じようにさやの膝に座りさやの鎖骨らへんに春が頭を預けている。その頭をさやが撫でていて春が気持ち良さそうな顔してる。

どうやら、俺が手を止めたのに気づいたのか雪がお腹に頭を擦り付けてくる。

本当に猫だろこいつ。


「あらあら、和むわね」


母さんが写真を撮って出て行った。


なんなん?


しばらくしてからワンコとニャンコを交換する。これ遊んでるのかね?

子供の考えてる事はよく分からん。


「春、ずいぶん眠そうだな」


「おねーちゃんのナデナデ気持ちよかったの〜」


「それは、よかったな」


「そーなのー」


ウトウトしながら頭を預けてくる。いつもこんな感じでさやを乗せてるせいか

春の小ささがすごい感じられる。なんか、ぬいぐるみみたい。


でもフィット感が足りない。もう少し大きさが欲しいと思ってしまう。


「撫でてほしの」


上を向いて言ってくる。


「はいよ」


しばらく撫でていると、2人とも眠ってしまった。


「あーらら、テンション上がって疲れたのかな」


「ん。そーだと思う」


ずっとこの状態も辛いので座布団を布団がわりにして寝かす。


「2人ともかわいい」


「そーだな」


眠る2人を見ていると。さやが膝の上に乗ってくる。


「わ、私も」


少し照れ臭くも、やっぱりこの大きさがフィットするなー。


「はいはい」


頭をそっと撫でてやると頭を俺に預けてくる。


「ん。撫でるより撫でられる方がいい」


「…そっすか」


なんか照れる。


レオが急に立ち上がり障子の方を見る。


障子がほんの少し開きそこからカメラのフラッシュが見える。


「母さん?」


「あれ?ばれた?」


レオが優秀なのだ。


障子を開けると母さんだけでなく、父さんもおばあちゃんも覗いてたらしい。


さやは、急いで俺から離れた。


「あらあら、別に私たちのことは気にしなくていいのよ?」


「気にするだろ」


「2人はいつ付き合ったんだい?」


父さんが聞いてきた。


「え?付き合ってないけど?」


「ん。付き合ってない」


何を当たり前のことを。


「え?…あ、そーなの。てっきり父さん付き合ってるかと思ったよ」


え?だからなんでこの人、肩組みながらそっとゴム渡して来るの?


それ、どこから出てきたの?


「3人で買い物行ってくるんだけど、なんかいるものある?あと昼ごはんはテキトーに食べちゃって」


「特にない、さやは?」


「大丈夫」


「だそうだ」


「りょーかい」


さやもお腹が空いてそうなので昼食を用意する。


レオは寝ている春と雪を見守っている。


君優秀


「素麺でいっか」


簡単で夏にはいいよね。


お湯を沸かす。その間にネギ切ったりワカメ戻したり薬味を用意する。


素麺をさっと茹でる。大切なのは洗い。


茹で終わった麺をざるにあげ、冷水で一気に冷やす。


お皿に盛り付ける。


あと、かんずりとおろしニンニクを冷蔵庫から出す。


「「いただきます」」


うん。美味し。


食べ終わって、片付けていると、どうやら春と雪が起きたらしい。

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