第8話 デート?
「すごい人の数だな」
現在俺らはショッピングモールに来ている。
まあ、日曜だしそれもそうか。
「ん。すごい」
さて、ここでじっとしてても仕方がない。
「さやはどこ行きたい?」
「夏服買い行こ」
「りょーかい」
早く行きたいのかウズウズしてるさやの後ろをついていく。
それにしても人が多い
さやがそっと手を俺の手を掴んで来た。
びっくりしてさやの方を見る。
「しゅ、周が迷子になると困る」
なるほど、確かに。
でも
「迷子になるのはどちらかというと、さやの方だと思うけどな?」
そっと手を握り返しておいた。
お互いに何着か夏服を買った。
「お金本当にいいの?」
「もともと母さんの金だしな」
「ん、ありがと」
しばらくウィンドウショッピングをしてから
フードコートで休憩することにした。
プルルル
俺のスマホが鳴った。
「もしもし花音か?どした?」
画面に表示された電話主の名前を確認して出る。
『大変だよ!大大大ニュースだよ!』
妙にテンションが高い。
「落ち着けって、どしたんだよ」
『今ショッピングモールにいるんだけど』
やべぇ。見られたかな?
『さやちゃんがイケメン君と手を繋いで歩いてたんだよ!!』
…バレないのか、悲しいような嬉しいような。
「くくく」
『笑ってる場合じゃないよ!このままじゃ、あのイケメンお兄さんにさやちゃん取られちゃうよ!?あれは恋する乙女の顔だったよ!』
いやどんな顔だよ。
「だってさ、さやどー思う?」
状況を理解していない、さやはストローでジュースを飲みながらぽけーとしている。
「ほれ」
さやにスマホを渡す。
「もしもしお電話かわりました。成瀬です」
電話を代わったさやが丁寧な挨拶をする。
『え?さやちゃん!?』
「ん?花音?」
『そーだよぉ!さっきイケメンお兄さんと歩いてたけどあれ誰なの?』
「今日はずっと周と一緒」
『え、じゃあさっき一緒に歩いてたのって周なの?』
「ん。そう」
『またまた〜そんな嘘には騙されないよ〜』
心が傷つく。
「ほんと」
『まじ?2人って付き合ってたの?』
「違う」
さやがスマホを渡してくる。
「俺だけど、今回のことは内密に。な?」
『まあ、さやちゃんのライバル作りたくないしね』
まわりがうるさくてよく聞き取れなかった。
「え、なんて?」
『なんでもなーい、2人とも下の名前で呼ぶようになったんだね〜!』
ッツ。やっべ
「い、色々あったんだよ」
全部母さんのせい。
『ふーん、じゃあそろそろ切るね』
「ああ、また明日」
ふぅーなんか疲れたな。
「さて、そろそろ帰るか?」
「ん」
夕飯をうちで食べると珍しくさやはすぐに自分の家に帰った。
なんでも友達と電話するとかなんとか。
「さやがいないだけで家が広く感じる」
はぁ、お仕事するか。なんか部屋が寂しい。
仕事を始めるもなかなか集中できない。
最近は仕事する時もさやが近くにいるのに今はいないせいか。
「これは重症だな」
気合を入れ直して仕事を再開する。
「さやー……っていないんだった」
仕事が終わり、振り返って呼ぶもいない。
もう、さやがうちにいるのが当たり前になってる気がする。
はぁ、寝よ。
〜次の日〜
学校は朝から騒がしかった。
「成瀬さん、昨日一緒に歩いてたの誰?」
「彼氏?」
「成瀬さんに彼氏がいるだと……」
「お前知ってたか?」「いや、全然」
男女共にキャッキャ騒いでいる。
「それで、あれは誰なの?」
「えっと…好きな人」
「キャー!」
クラスでまるで爆発が起こったかのような様子だった。
いやいや、その回答はまずいだろ。
「周君や、好きな人だってよ」
ニヨニヨ顔で煽ってくる優。
「なんだよ。とっさに出ちゃったんじゃね?」
「ふーん。とっさにねー」
優がめっちゃニヤニヤしてるが気にしない気にしない。
もう一度さやの方へと聞き耳を立てる。
「付き合ってないの?」
「ん」
ワイワイとすごーく盛り上がってる。
優の隣にいる花音を睨む。
「なあ、花音お前か?」
というか、絶対こいつだと思うんだけど。
「ア、アハハー。ナンノコトカナー?」
はい確信。
花音は目をそらす。
「なあ昨日、言うなって俺言ったよなー?」
花音が、優に助けを求めると優はそそくさと逃げていった。
「あははー、私ちょっとトイレー」
花音は顔を引きつらせる。
「いかせねえよ?」
花音の肩をガッチリと掴む。
「お前だな?」
顔を青くして呟く
「ふぁい。すいません…」
許さないよ?
頭グリグリの刑
「痛い痛い痛い痛い」
「周君や、そんなに人の彼女あんま虐めないであげて…」
いつの間にか帰ってきた優が花音の減刑を申し立てる。
「い・や・だ」
グリグリの刑続行です。
「むー花音といちゃつ…虐めちゃだめ」
女子達から解放されたさやが今度は申し立ててくる。
まぁ、そろそろいっか
花音の後ろで優が「俺が言った時はやめなかったのに…」と呟いて泣き寝入りしてる。
家に帰ると俺の家の前にさやが立っていた。
「なんかあった?」
「待ってただけ」
えぇ…アホなのこの子。
「熱中症になるから俺が帰ってくるまでは家にいろ」
「いつ帰ってくるかわからない」
たまにこいつ馬鹿だなーって思う。
ドアを開けて中に入る。
俺の家のはずなのに先に入っていくのはさや
おかしいな?
「周これ欲しい」
「ん?」
何かと思ったらうちの合鍵だった
どこから出した?俺も存在忘れてたんだけど
まあ、悪いことはしなさそうだしいっか。
「いいよ、けど変なことしたら即取り上げるからなー」
「ん。ありがと!」
珍しく素直に喜ぶさやを見て俺も口角が上がる。
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