第3話 吸血鬼は夢の中





ーside成瀬ー


高坂は買い物にいくと言い出した。

お留守番するといったら許してくれた。

高坂は少し不用心だと思う。


…眠い


高坂の部屋のベットにダイブした。


「んー高坂のにおいがするー」


血おいしかったなぁー


今まで飲んだどんな血よりもおいしかった。

顔が少し熱い。

頭がウトウトしてきた。

布団を抱きながら意識を手放した。


「おーい、成瀬おきろー」


高坂だー高坂いるー


「こーさかー」


高坂の方に手を振る。


「ん?」


こーさかーこーさかー

血飲みたいなー


「こーさかー血ぃーのみたい」


赤子のように手をばーと広げる。


「おーい、成瀬おきろー」


こーさかに頬っぺたを引っ張られた。


「むーいふぁいー、いふぁーい、いふぁーい?」


 ん?痛い?夢じゃ…ない?


「言っとくけど、夢じゃないぞ。夕飯たべるなら起きて来いよー」


顔が真っ赤になるのを感じて布団の中に潜る。


もっと早く言ってよ…


高坂はリビングに戻っていった。



ーside周ー


ドアを閉めた周は大きく深呼吸をしてから頭を抱えた。


うおおおおおお やべえええええ

なんだあれ、可愛すぎんだろ

危なく狼になるとこだったわ

やっばい やっばい

血を吸いたいだぁ?


すぅぅぅうぅぅはぁぁぁぁぁ


大きく深呼吸をして理性を保つ。よしもう大丈夫。


ちょうど成瀬も部屋から出てきた。


「夕飯食べてくか?レバニラだけど」


「吸血鬼はごはんいらない」


吸血鬼はごはん食べないらしい。

もったいないおいしいのに…


「じゃあ、帰るか?」


「帰らない、高坂心配だから看病する」


首を横にブンブン振って否定する。


えーさっきお留守番とか言ってたじゃん。


「もう大丈夫なんだけどなあ」


「気にしないでいい」


じーっと見られるとさすがに食べずらい

今夜の夕飯は疲れたからてきとーにレバニラ

ごはん、味噌汁、以上。


うちの味噌は合わせ味噌白強めだ。どーでもいいとか言わないでほしい。

大事なことだから。


「吸血鬼って一切食事とらなくて大丈夫なのか?」


成瀬に問いかける。


「血の方が効率がいいから食事はとらなくていい」


「え、じゃあ普通に食事とれば血なしでもいけんの?」


衝撃の事実である。


成瀬は不思議そうな顔で答えた。


「血のほうが効率良いよ?」


そういう問題なのかね?


他愛のない話をしていながら

夕飯を食べていたが口にごはんを運ぶ時ジーーッと成瀬が見てくる。


「やっぱ食べたいんじゃ」


「い、いらない」


そんなに食べたそうな顔で言われても困る。


「ホレホレ食べろ」


成瀬の口元にお箸でとったレバニラを持っていく。


「うまいぞー」


今回のレバニラは結構くさみが抜けてドロドロしてなくて食べやすい。


「い、いただきましゅ」


ふふ、こいつ噛みやがった。


顔を真っ赤に染めながらレバーをパクッと食べる。


あまりに美味しそうに食べるものだから自然と俺の顔もニヤけてしまう。


上目で成瀬が睨んでくるが、ただ可愛いだけだった。


「おいしい?」


「ん」


大きく頷いた。


「そいつぁ、よかった」


「高坂、料理うまい」


なんか褒められた照れるぜ。


「ありがとな」


感謝を告げると成瀬はあーんと口を開けてくる。

よほど気に入ってくれたようだ。


成瀬に餌付けしながら夕飯を食べた。


結局二人で2.5人分くらい食べて明日のお弁当の分がなくなりましたとさ。


「満足したか?」


「こんなにおいしいごはんを食べるのは初めて」


いっぱい作ってよかったよ。


ふと時計を見るとすでに20時過ぎだった。


「そろそろ帰れ、20時すぎだぞ」


「ん、帰える。ごはんごちそうさま」


「おそまつさまでしたー」


玄関まで成瀬を送っていく家も隣だし玄関までで良いかな。


「こーさかー」


「ん?」


「明日も食べたい」


すこし、顔を赤く染めながら聞いてくる。


「え?」


「ダ、ダメ?お金はちゃんと払う」


焦った様子でお願いしてくる。


上目使いやめーや。


「お、おう。わかった」


成瀬はパァッとうれしそうな顔になった。


もう、お金いらない。


「ん、じゃあまた明日」


「またな、おやすみ成瀬」


「おやすみ」


そういって成瀬は帰っていった。


~次の日~


「よお!周ぅ、昨日はお楽しみだったなぁ?」


優がいきなり肩を組んできた。


ギクッ 


「は、はぁ?なんのことだよ」


こここ、こいつはななな何を言ってるんだ。


「昨日、さやちゃんと一緒に帰ってるの花音見ちゃったんだー」


そのせいかそのニヤニヤは…


「いや、それはたまたま「ふーんじゃあ花音、さやちゃんに聞いちゃおー」


人の言葉を切るな。まあ大丈夫だろ、大丈夫だよな?


「さーやちゃん!」


「ん?何?」


驚いた様子もなくこちらを振り向いた。


「昨日、周と一緒に帰ってたけど、どういう関係なの?」


すんごく、悪い笑顔をしながら成瀬に花音は聞いた。


「体調が悪そうだったので送ってました」


特に動揺した様子もなく。テキパキと答える。


「花音、さやちゃんが周の家入るとこも見ちゃったんだよねー」


ここにきて水素爆弾投下である。


さやがこちらに助けを求めてくるので

俺が答えることにした。


「家が隣で、俺が貧血だったのを看病してくれただけ」


・・・嘘は言ってないよ?


優と花音はあんまり納得してないらしい。


「ん?てか隣なの!?」


あ、やっべ。余計なこと言った。


「声でかい花音」


頭にチョップを入れて静める。


クラスのみんなが花音の方を見てる


「あはは、ごめんごめん」


その後も、いろいろ聞かれまくった。


あー最悪…


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