19 マミ 竜族の皇帝と話す
***
「…あなたの力は、神界の勇者の限界すらも、
凌駕しています…、」竜族の皇帝の、絶世の美女の面差しに、ふと、
陰が過ぎり、皇帝の瞳が、マミの瞳を、見据えて、「…あなたの事を、
恐ろしい、と、感じてしまいました…。」
「…!!」マミの肢体が、少し震えて、苦く、微笑む。(…ああ、
そうか…。…そりゃそうだよな。…おれ自身把握出来ない様な、
でたらめな力だもんな…。…怖がられても仕方ないよな…。
…アニメとかで、異常な力の主人公が助けた相手に怖がられるって、
ありがちだけど、今はおれがその立場か…。)と、ふと、
「…おれは、危険人物、ってわけですか…。」マミが。
「!!!!」周囲に集まって来ていた少女達が、
それぞれの表情で、震える。
ほのかに苦く、皇帝が微笑み、「…竜族の皇帝としては、
間違ってもあなたを敵に回したくない、と、思うのですけど…。」と、
不意に、皇帝が片膝を突き、深くマミに頭を下げる。「…この場の我等
のみならず、他の竜族の皆までも助けて頂きながら、お心を
傷付ける様な事を口にしてしまいました…。…申し訳、ございません…。」
「!!っ、御顔を上げて下さい…!」と、
マミが少しうろたえる。「…あなたが怖いと感じるのも無理ないと思います。
立場が逆だったら、おれだって怖いと思ったと思います。だから…」と、
少しだけ苦く、穏やかに、微笑みつつ。
ふと、立ち上がり、何だか少ししんみりと、少しだけ苦く微笑みつつ、
「…お優しいのですね、マミ様は…。」と、皇帝が。
「いえ、そんな…。」マミが、照れた様に微笑み、
竜族執政官が、「…陛下、何も勇者様に対して恐怖を感じたなどと
敢えておっしゃる事は…」と、苦言を呈する。
皇帝が唇を噛み締める。「…私が勇者様に対して
一度は恐怖を抱いてしまった事は事実。その事を隠したまま勇者様と
向き合う訳にはいかない、私自身の本心を晒した上で勇者様と
向き合ってわたし自身を観て頂くしかない。そう、思ったのです…。」
マミが、あらためて微笑む。「…あなたは、誠実な方なんですね、
…皇帝陛下…。」
フレナが、微笑み、クレイアが、ほんの少し微笑み、
フィリスが、ほっとした様に微笑み、マリンが、ほんの少し苦く、
何となくしみじみと、微笑み、
「…わたしはっ、誰が何と言おうと
勇者様のお味方ですからっ…!!!!!」と、ミーユは、
何だか頬を染めてしまいつつ、どうしようもなく、
マミの瞳をまっすぐに見つめて叫んでしまっている。
「!!、ミーユ…!!!」と、マミが何だかうろたえ気味に、
「…ありがとう…。」と、何だかしみじみと微笑み、
「!!!」ミーユが、恥ずかしそうに、ますます頬を染める。
「…!!」ふと、フレナが、密かな竜気波動を感じて、
ほのかに、身を震わせる。
「…陛下、今の波動は…」思わず皇帝の瞳を見詰めるマミに、
「…竜族戦闘軍団に臨戦態勢解除命令をテレパシーで伝えました。
これでもう決して、戦争は起きません。」と、皇帝が明言する。
少女達が、安堵する。
「…ありがとうございます。」思わず、マミが皇帝に頭を下げる。
「御礼を申し上げなくてはならないのは私の方です…!」と、思わず、
皇帝が。「…勇者様のおかげで戦闘軍団の可愛い娘達を
無益有害な戦争で傷付けずに済みました…。
…勇者様にはどれ程感謝しても感謝し足りません…。」
「そんな…!」思わず頬を染めて、マミが頭をかく。「…おれは、
可愛い女の子が好きなもので、フレナとミーユが殺し合う所は
死んでも見たくなかったって、それだけで…」思わず、
マミがはにかむ。
「…!!!」思わず、しみじみと微笑んで、皇帝がマミを抱きしめ、
豊満過ぎるぐらい豊満な胸の谷間にマミの頬を埋め、
マミの肢体の感触を堪能しつつ、
マミの波動の感触も堪能しつつ、マミの頭をなでなでする。
「へ、陛下…!!?」思わず一層頬を染めて焦るマミに、
「…マミ様ってば何だかとても可愛い…!!!、
…あぁんこの感触…!!!、すっごく気持ちいい…!!!」と、
皇帝が、思い切り幸せそうに。
クレイアの瞳が一層冷やかになり、
フィリスが何だかおろおろ気味になり、
マリンは随分頭が痛そうに頭を抱え、
フレナは何だか妙にうらやましそうな面差しに、
ミーユは動揺しつつ、何だか切なそうな、胸が苦しそうな面差しに。
「陛下…。」竜族執政官は思い切り頭を抱えている。
「…おっと、こうしてばかりはいられません!」と、不意に皇帝が、
「正気に戻った」様に。「早速人間族の世界連合大統領の方と
正式な和平会談に入らなくては。大筋は先程マリン殿と話した通りで
宜しいですね…?」と、皇帝の眼差しがマリンの方に投げ掛けられ、
「無論です…!」と、マリンが即答し、
皇帝が、「…この際勇者様にも同席して頂いて…、うん、もう、この場にいる
皆さん全員に列席して頂いても構わないと思いますね。」と。
「…暗殺者のわたしまで列席させるつもりですか、皇帝陛下…?」と、
クレイアが「お前何考えてるんだ」的表情になり、
皇帝が、「…あなたが今まで抹殺してきたのは全て
私利私欲の為に世界平和を乱す陰謀家であり
かつ悪質殺人の首謀者である事はフレナの調査で明白ですからね。
ある意味あなたも世界の陰のVIPと見做しても差し支えありません。」と、
悠然と微笑む。
「…わたしが陰のVIP、ねえ……」クレイアが、微妙にぼやき気味に。
「…本当は、マリン殿の御父上、噂のマクガイヤー・コンツェルン総帥
ヴィクトル・マクガイヤー殿にも列席して頂きたい所なのですが…」と、
皇帝が何だか残念そうに。
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