18 マミ カオスドラゴンと戦う (4)
***
カオスドラゴンが、マミに撃ち抜かれた腹部の大穴を、再生する、と、
思わせて、
大穴の周囲を甲殻化し、甲殻状の5分割開閉式の蓋の様なものを形成し、
大穴に黒紫の光粒子を苛烈に凝集させて、
大穴から、黒紫の雷状の光を、無数に放ち、
その全てをマミの肢体に、撃ち込み続ける。
「あれは…!!!!っ、『神殺しの混沌』…!!!!?」と、
状況を見詰め続けている竜族の執政官が、愕然と。
「…『五千年の修羅地獄』の時代、幾多の国家を滅亡させたという、
あの…!!!!?、…幾ら神界の勇者でも、あの直撃に
耐えられるはずなど…!!!!」竜族の皇帝の絶世の美貌が、蒼白に。
「勇者様あっ!!!!?」ミーユの悲鳴が響く。
「…!!!っ」身動きもせず、空中で立ち尽くしている体勢で、
マミは、神殺しの混沌を全て胸の谷間で受け止めている。
神殺しの混沌の黒紫雷状光が、マミの豊満な胸元で、
全て虹色の光粒子に変換され、マミの優美な柔肌に吸収されて、
ついに、カオスドラゴンが、神殺しの混沌を撃ち尽くしてしまい、
マミは、揺らぎもせずに、全てを虹に代えて吸収し尽くしてしまって、
全くダメージを受けていない状況で、宙に悠然と立っている。
「…凄い…!!!!!」ミーユが、感嘆の溜め息を漏らし、
「…こんなはずは…!!!!?」と、皇帝が、鋭い眼差しで、
情況を見据える。
「…どういう事ですか…?」と、皇帝の傍らに来たフレナが、敢えて訊ね、
「…神殺しの混沌はその名の通り神すらも死に追い遣ると伝説では
語られています。神界の勇者とてその肉体は人間族のはず。
これ程の防御能力を発揮するなど有り得ぬはずです…!!!!」と、
皇帝が、厳しい口調で。
「…フレナ、あの方は、何者なのですか…?」との、皇帝の問いに、
「…わたしに解るのは、マミちゃんは救世主だって事、それだけです。」と、
フレナが、迷いの無い口調で。
ふと、苦笑気味に、穏やかに、皇帝が微笑み、「…フレナにとっては
勇者様もマミちゃんなのですね…、…不敬だとは思わないのですか…?」と。
「だって勇者様がマミでいいって何度もおっしゃってるんですもの。御意志は
尊重しないといけないと思いますよ?」と、フレナが屈託無く微笑む。
「…フレナは誰に対しても親しくし過ぎるんだもの…、いくら何でももう少しは
遠慮した方がいいと思うんだけど…」と、傍らに来ていたミーユが、
少し頭が痛そうに。
神殺しの混沌を全て神界波動エネルギーに変換吸収し終わったマミが、
あらためてカオスドラゴンを見据える。
(…さて、どうやってあいつを倒す……?)
ふと、マミの幼く可愛らしい瞳が、輝きを放つ。
「…ま、やってみよっか……!」
マミが、背面から虹色の神界波動の苛烈な奔流を放ちつつ、
カオスドラゴンの前後上下左右の空間を高速飛翔し、
舞い始める。
マミの両手のレインボーブレードの虹色の光の刃が、
マミのこの上なく優美に舞う仕草に沿って、虹色のオーロラを放ち続け、
その虹色のオーロラが、幾重にも、全高100メートルを超える
カオスドラゴンの巨体に、絡み付いていく。
カオスドラゴンの放ち続ける絶対温度マイナス300度相当の
渦状波動刃を、7万度の火炎を、7億ボルトの雷光を、物質消滅閃光を、
全てマミ自身のたおやかな柔肌で受け止めつつ、全くの無傷のまま、
マミが、両手のレインボーブレードで、カオスドラゴンの周囲の空間を
斬り裂き続け、虹色に輝く超次元断層を形成し続ける。
フレナも、ミーユも、クレイアも、フィリスも、マリンも、竜族執政官も、
竜族皇帝も、
眼前の空間を彩り続ける虹色の光の剣舞を、
ただ、見詰め続けている。
カオスグリフォン群が、虹の剣舞の余光に撃たれて、
攻撃も忘れて、マミを見詰め続けてしまっている。
レインボーブレードが、鋭く、なまめかしく、
超次元空間を斬り裂き続け、生まれ続ける虹の超次元断層が、
カオスドラゴンを次々に覆っていく。
幾重にも重なり合って、虹の七色の光の舞を描き続ける
無数の超次元断層の合間から、カオスドラゴンが必死に放ち続ける
渦状波動光と火炎と雷光と物質消滅閃光が、漏れ続けるが、
それも、超次元波動の虹の余光に撃たれて、消えていく。
身を翻し、空中転回し、水平の優美なスピンを放ち、
交錯し合う虹の残像を描き続けるマミの舞それ自体が超次元断層となって、
カオスドラゴンに被さり合い、
カオスドラゴンを超次元圧力で少しずつ潰していく。
「グォアアアアアアッ!!!!」カオスドラゴンの凄まじい咆哮と共に、
7万度の苛烈な火炎が、天頂目掛けて、迸る。
マミが、舞い続ける。
レインボーブレードが、舞い続けて、超次元空間を、薙ぎ払い、
裂き、輝く断層の美しい曲線を描き続ける。
超次元断層の虹に、少しずつ、少しずつ、押し潰され続けて、
カオスドラゴンの咆哮が少しずつ小さくなっていき、
不意に、激しく虹が迸って、
カオスドラゴンの巨体が、消滅する。
激しく迸る虹に撃たれてカオスグリフォン群も殆どが消滅し、
残存のカオスグリフォン群が自暴自棄的に竜族皇帝と竜族執政官を襲い、
5人の少女達に無造作に迎撃されて、全て浄化消滅させられる。
マミが自ら展開していた虹色の異次元空間が解除され、
皆が、元の空間に、城塞都市グラスディナウ中央庁舎の中庭に
転移されて、穏やかに着地し、
ふと、マミが、皇帝達の眼前に、何気無く舞い下りる。
「…カオスドラゴンを超次元に封じたのですか…!!!?」と、
茫然としつつ訊ねる竜族執政官に、
「いえ、それだとまた再生しちゃうんで…、超次元断層と神界波動で
完全に潰して消滅させました。…ケリ付けとかないと、
安心出来ないんで…。」と、マミが、微笑む。
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