15 マミ カオスドラゴンと戦う (1)

 

 

 

***

 

 

 「…そっか、わたし一応VIP扱いなんだ…。」些かぼやき気味に、

マリンが、「…だからってただ護られてるつもりなんて

無いけど…!!!!」と、ポロシャツとホットパンツを

肉体から迸る闘いの気、オーラで千切りながら吹き飛ばすと、

その下には漆黒のハイレグビキニレザーアーマーを

着用している。

 

 慌ててマリンの傍らに飛翔能力全開で飛んできた

ミーユが、「マリンさんは護衛対象なんだから暴れないで

下さいっ!!!!、ただでさえマリンさんの装備はただの合成皮革で

防御力なんて無いんですから!!!!」と。

 

 「わたしだって格闘家のはしくれよ!!?、自分の身は自分の闘気で

護るわよっ!!」と、威勢の良いマリンに、

「格闘家のプライドが通用する事態じゃないんですっ!!!!」と、

生真面目にミーユが応え、

「だけど、勇者様にカオスの竜を倒してもらわなきゃいけないんだったら、

グリフォンの方はわたし達で相手しなきゃ駄目でしょ!!!?、大体、

護衛対象って言うんなら、ミーユちゃんだって自分を大切にしなきゃ

いけない立場でしょ!!!?」と、マリンが懲りずに返す。

 

 そのマリンとミーユの背後を襲う3体のカオスグリフォンの首元を、

蒼黒の暗黒波動を伝わせた細身の片手剣で攻撃しつつ、「…この情況で

よくそこまで隙だらけになれるよね、マリン…?、それに、

ミーユさんも。」と、クレイアが、あきれている様な辛辣な口調で。

「まあまあクレイアちゃん、ちゃんとガッディスジュエルで護られてる

情況だから、そこまで目くじら立てなくても大丈夫じゃない?」と、

フレナが、のんきそうに微笑み、

「…フレナ、あんた、勇者の足引っ張る気…?」と、

クレイアがさらに辛辣な口調で続けて、

「みなさんっ!!!!、勇者様の為にものんきにしないで

下さいっ!!!!」と、飛翔魔術で駆け付けてきたフィリスが、

いささかおろおろしながら。

 

 そこへ、一気に13体のカオスグリフォンが飛び掛かってきて、

「!!!!っ」咄嗟にフィリスが、妖精魔術で20個の微小ブラックホールを

発生させて、その重力でカオスグリフォンの動きを止める。

 「ブラックホール!!?、でもそれじゃ、グリフォンは

倒せないんじゃ…!!?」と、怪訝そうになるマリンに、

「…わたしの魔術自体で倒すのは最初から無理ですっ!!!、でも、

相手の防御結界を重力で歪めて弱体化させれば、カオスを浄化するなり、

闘気でカオスを吹き飛ばすなり、倒し方は見出せる

はずなんですっ!!!」と、フィリスが、懸命に。

 

 「ならっ!!!!!」と、マリンが、闘気を凝集して陽光の輝きを放つ

左の拳を、曲線軌道で、一瞬で13撃1体のグリフォンの胸板の

同一箇所に撃ち込むが、グリフォンに傷一つ与えられない。

 

 「何なのこの防御力!!!!?」愕然とするマリンの傍らで、

「ハァッ!!!」と、ミーユが、渾身の力で聖銀大剣を

マリンが攻撃したのと全く同一ポイントに捻じ込むと同時に、

「今ですマリンさん!!!」と、叫び、

瞬時に呼応してマリンが、「タアーッ!!!!!」と、渾身の闘気を

込めた右の正拳をストレートで撃ち込み、

神聖波動と闘気波動の共鳴でカオスグリフォンが爆散する。

 

 「…一人の力じゃ無理…!!!っ、…異なる波動と波動の共鳴が、

一番有効…!!!」マリンが、真摯な瞳で、カオスグリフォンの

爆散の余韻を、見詰める。

 

 「…だったら、三重の波動なら、もっと効果的かも…!!!」と、

フィリスが叫びつつ、オーロラ状の水色の光を放って、マリンに、

ミーユに、フレナに、クレイアに、投げ掛けて、その4人の肢体に、柔肌に、

水色の妖精波動を帯びさせて、「…わたしが妖精波動を

供給し続けますっ!!!、皆さんが共同攻撃して下されば、

三重波動で効率的にグリフォンを倒せると思うんですっ!!!!」と。

 

 マリンとミーユは素直にうなずき、フレナは、「…クレイアちゃん

わたしと組む…!?」と、問い掛け、

クレイアは、「…わたし本気出すから、フレナもその気で…!!」と、

応えるのと同時に、

ガッディスジュエル以外の全装備を暗黒波動で吹き飛ばして外し、

思い切り裸身をさらけ出す。

 

 カオスドラゴンが凄まじい勢いで口から連射する7万度の火炎と

凄まじい勢いで両手から連射する7億ボルトの雷光を、手刀と蹴りの連撃で

全て弾き続けつつ、攻撃の糸口を掴みかねていたマミが、クレイアの

ほぼ一糸纏わぬ白い裸体に、「!!!!?っ、ちょ、ちょっとっ!!!!?、

クレイアちゃん何やってんのっ!!!!?」と、

頬を染め思い切りうろたえて、

「暗殺者の最強形態に切り替えただけ…!」と、クレイアにしれっと返され、

「こっちの流儀に任せて、マミちゃんはドラゴンに専念して…!!」と、

フレナに諭される。

 

 「…流儀、ねえ…」少しぼやきつつ、マミが、改めてカオスドラゴンを

見据える。(…パワーで吹き飛ばすだけだと…、さて、どうする…!!!?)

 

 考え込んでいる余裕など有るはずも無く、

全高100メートルを越えるカオスドラゴンの巨大な右の拳が、

下からアッパーカットでマミ目掛けて撃ち込まれて、

咄嗟に、「ハァア…ッ!!!!!」宙で横たわりつつ

左肘に無尽蔵に虹色の光を凝集したマミがエルボードロップで迎え撃ち、

迸る虹色の爆光でカオスドラゴンの右腕全体を粉砕する。

 

 黒紫の光が凝集して、

粉砕されたカオスドラゴンの右腕が、3秒後には完全に再生される。

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