14 マミ マリンと出会う
***
「竜族の皇帝と人間族の財界トップクラスの和平会談を
直接襲うってのか…!!!!、敵は本気だ…!!!!」と、マミが、
フィリスから伝えられた情報に流石に血相を変える。
「一刻の猶予も有りません!!、勇者様、この場の事は御構い無く!!!、
直ちに現場に向かって下さい!!!」と、総大主教が。
「あの!!、わたしも御一緒させて頂けないでしょうか!!!?、
魔術の心得も有りますし、何かのお役には立てるかと!!!」と、
フィリスが弱気を面差しに過ぎらせつつ、それでも懸命に。
「OK!!!」と、マミが、瞬時に、ガッディスジュエルを発生させて
フィリスの首元に装着する。
「何だかガッディスジュエルのバーゲンセールね。」と、フレナが
ほのかに苦笑気味になり、「でも、敵は絶対勇者様の妨害も準備してる
はずだから、妨害させない為の応援はいてもらった方がいいと
思う…!!」と、ミーユが、真っ直ぐな瞳で。
「ありがとうございます!!!、勇者様!!!、ミーユ様!!!」思わず、
フィリスが思い切り深く頭を下げる。
「…ミーユ様…?」敬称で呼ばれて何だか戸惑ってミーユが少し頬を染め、
「…マミでいいんだけどなあ…」誰も彼もに勇者様と呼ばれてマミが
少しばかり困り顔っぽくなり、「…って、それどころじゃない!!!」と、
次の瞬間にはクレイアもフィリスも巻き込み4人を伴って、
転移魔術を発動させる。
転移しつつ、マミは、
総大主教が人間族軍三個旅団に対し臨戦態勢解除待機命令を
テレパシーで発信した事を、感知する。
竜族の城塞都市グラスディナウ中央庁舎は激震に襲われている。
黒紫の暗雲に覆われた夜空から、黒紫の光を放つ波動が
凄まじい勢いで降り注ぎ、庁舎の天井を透過して地下の秘密会議室に
降り注ぎ、竜族の皇帝と竜族の執政官の肉体を侵食している。
竜族の皇帝は23歳相当の人間の愛らしい絶世の美女の姿に変化し、
白銀の豊かなストレートの髪を太股の半ばまで延ばし、
ヴァルテ神殿総大主教に匹敵する見事過ぎるプロポーションの肢体に、
白銀のハイレグビキニ、首元に白銀のチョーカー、両の太股の半ばから
両足の爪先までの白銀のブーツ、白銀のマントを、身に付けている。
竜族の執政官は初老の人間男性の姿に変化している。
その2名の肉体が、凄まじい勢いで黒紫の波動に侵されていく。
「陛下!!!!?、閣下!!!!?」懸命に駆け寄ろうとしているのは、
人間族の財界のトップであるマクガイヤー・コンツェルンの総帥、
ヴィクトル・マクガイヤーの一人娘の、マリン・マクガイヤーである。
年齢は12歳相当。フレナに匹敵する要所要所が豊満な
見事なプロポーションの、活力に満ち溢れた印象の美少女で、
明るいオレンジ色の髪を頭の右側でサイドポニーテールに纏めていて、
純白のポロシャツにデニムのホットパンツと、両膝より少し上から
両足の爪先まで、両肘より少し上から両手首までの計4か所には、
漆黒のレザーパーツアーマー、
両手には漆黒で半指のドライビンググローブを着用している。
格闘家ではあるが、全身の細胞を闘気で鍛えているマリンの肉体に、
筋肉質な印象は無い。
「お逃げなさい、マリン殿…!!!!」皇帝が、必死に叫ぶ。「…まさか、
私とアリテアの体内に、竜族を忌まわしい戦争へと導く洗脳波動の発生源が
潜んでいようとは…!!!!」
執政官が、「何たる事…!!!!、竜族執政官アリテア・グラスター、
一生の不覚…!!!!」と。
「そんなっ!!!!」悲鳴の様に叫びながらも、何とか皇帝と執政官に
歩み寄ろうとするマリンが、黒紫の混沌波動圧力に吹き飛ばされそうになる。
そこへ、上空から、滝の様に、虹の輝きが降り注ぐ。
一瞬で、皇帝も、執政官も、マリンも、虹色の異次元空間に飲み込まれ、
そこへ、フレナが、ミーユが、クレイアが、フィリスが、そしてマミが、
虹色の光粒子を舞い散らせながら、舞い降りてくる。
「え…っ、ミーユちゃん…!!!!?っ、え、えっ!!!!?、
何で…!!!!?」思い切りマリンが戸惑い、
「勇者様と一緒です…!!!」と、ミーユが少しだけ微笑む。
「…神界の、勇者様…!!!?」皇帝が、思わず茫然として、
「マミと呼んで下さい…!!」と、マミが、思わず苦笑しつつ、
わずかに開き気味の右手の指先から虹色の光の奔流を放ち、
皇帝と執政官に浴びせて、その2名の肉体から黒紫の波動が
浄化されながら抜け出ていき、
皇帝も執政官も元の人間体へと戻っていく。
虹色の異次元空間の上空部分に開口部が生じて、そこから、
膨大な黒紫の波動が滝の様に流入してくる。
「勇者様!!!?、敢えてこの空間に混沌波動を呼び込む
おつもりですか…!!!!?」愕然としている執政官に、
マミが、「外の竜族の街を危険に晒す訳にはいきません!!!、
ここで、全部ケリを付けます…!!!!!」と、決然と。
「…我等竜族を、護って下さろうと…!!!?」思わずマミを見つめる
皇帝に、マミが、微笑む。
際限無く凝集していく黒紫の波動が、巨体のモンスターへと変化していく。
全高100メートルを超える、
直立二足歩行型有翼の巨竜、カオスドラゴンに。
さらに、体長3メートルクラスの鷲の両翼を備えた黒紫の有翼獅子、
カオスグリフォンが、無数に発生して、異次元空間内に飛び交う。
「…何て言うかさ、敵がでか過ぎないかこれ?、怪獣映画じゃないぞって
感じだぞこれ…。」何だかマミがあきれ始めた口調でぼやきつつ、
マリンの首元に虹色のオーロラを無造作に指で投げ掛けて
ガッディスジュエルを装着させ、さらにガッディスクリスタルを生み出して、
皇帝と執政官の方に投げ掛け、空中で浮遊させ防御結界を展開させて、
2名を護る。
「…え、これって、伝説のガッディスジュエル…!!!?、
何でわたしに…!!!?」驚くマリンに、
「マリンさんの身に何かあったら、
和平どころじゃなくなっちゃいます…!!!!、
勇者様のご配慮です…!!!!」と、ミーユが。
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