13 マミ クレイアと話し フィリスと出会う

 

 

 

***

 

 

 「…わたしが総大主教を暗殺しようとしてる、とは、考えないの…?」と、

白過ぎる肌の暗黒魔族の美少女が、クレイアが、感情を感じさせない

声音で、マミに。

 ふと、周囲の床に機能を停止して横たわっている5体の暗殺型

メタルアンデッドに視線を投げ掛けて、「…これは、君の仕業なんだろ?。

暗黒魔族の暗黒波動の余韻が残ってる。」と、マミが、微笑みつつ。

 

 「…わたしがメタルアンデッドを始末したからって、それだけでわたしを

信用するの…?、あなた達を油断させる罠だとか、考えない…?」と、

クレイアが。

 

 「…一体何が言いたいんですか!?」少しばかりむくれた様に、ミーユが。

「用心はした方がいいよ、って事。」そのミーユの瞳を見据えて、

クレイアが。

ミーユが、少しつらそうに、「…フレナはあなたの事本当はいい子だと

感じてるみたいだから、わたしもあなたの事疑いたくなんて

ないんだけど…。」

 

 クレイアが、ほんのわずか苦笑でもしている様な

表情になり、「…総大主教の命が狙われてる情況であんまりお人よし

してるのはどうかと思うけど。」

 

 マミが、「…まあ確かに、おれ達もこれから竜族の方へ向かう

つもりだから、暗殺者対策しないでここを離れるのは良くないよな。」と、

軽く右手を振りかざして、超次元結界でヴァルテ神殿全体を覆い、

さらに、虹色の光を放つ結晶、ガッディスクリスタルを生み出して、

総大主教に、「…このガッディスクリスタルが神殿全体を覆う防御結界の

発動体になります。おれ達がいない間あなたを含めた神殿のみんなを

護ってくれるはずです。」と、手渡す。

 

 「…わたしの事はほっておいていいの…?」と、クレイアがマミに。

「…この結界内で殺意を抱いた時点で身体が全く動かなくなって、

言葉も自由に発せなくなる。普通に話せてるって事は、

君に殺意が無いって事だよ、クレイア。」と、マミが、悠然と微笑む。

 

 ふと、少し溜め息をついて、「…神界の勇者がいるんだから、

わたしが心配しても始まらないのかな…。」ぽつりと、クレイアが。

 

 「…忠告してくれて、ありがとう。」と、マミが、微笑みつつ、

少し真面目な表情で。

 

 またほんの少し、眼差しを冷たくして、クレイアが、「…竜族側の

洗脳波動の起点は、竜族の皇帝と7大公王の中の1名である執政官、

彼ら自体は洗脳されてなくて、彼等自身気付かない内に洗脳波動の

発生源を体内に仕込まれてる。」と、マミに。

 

 「!!!!っ、陛下と、アリテア閣下が…っ!!!!?」愕然と、

フレナが。

 

 「…それと、人間族社会最大の総合企業体マクガイヤー・コンツェルンの

総帥の一人娘が今現在密かにその竜族の執政官と接触してて、その席に

密かに竜族の皇帝も同席してる。」クレイアが、厳しさを秘めた声音で。

 

 「!!!!っ、マリンさんがっ!!!!?、そんな、こんな時に

どうして…!!!!?」ミーユが愕然と。

「無論、戦争の発端となった資源争奪問題を円満に解決する道筋を

探る為に。双方とも戦争なんて望む様な心は持ってないから。」と、

クレイアが。

 

 「急がないとまずいな…!」マミが、唇を噛み締める。

 

 「…わたしも、同行させてもらえない…?」クレイアが、淡々と。

「どうして?」たずねるマミに、「…事の次第をどうしても見届けて

おきたいの。マリン・マクガイヤーはお互いに知った間柄でもあるし。

わたしの事が信用出来ないなら無理にとは言わない。後顧の憂いを

断つって事ならこの場でわたしを殺してくれても構わないし。」と、

クレイアがマミの瞳を見据えながら。

 

 「…フレナが信じたがってる子を殺す気にはなれないな。」と、マミが

穏やかに苦笑しつつ、指先から放つ虹色の光をガッディスジュエルに

変換して、クレイアの首元に装着する。「…これが、同行の条件だ。」

 

 クレイアが、ほんのわずか微笑み、「…成程、身の護りであると同時に

罪無き命を奪おうとすると女神の加護は戒めに転じて

身体が動かなくなる、か。一番いい対処法って事ね。」と。

「…クレイア、貴重な情報ありがとう。」微笑むマミに、

「…本当に人がいいのね。」と、クレイアがほんのわずか溜め息をつく。

 

 「大変です…っ!!!!」と、そこへ、さらにもう一人、美少女が

駆け込んでくる。

気弱そうな印象。澄み透った青い瞳。

水色の髪をポニーテールに纏めている。

フレナに匹敵する要所要所が豊かな魅惑的なプロポーション。

両耳の後ろに備えている

蝶の羽に酷似した少し耳よりも大きい水色の光の羽は、

その美少女が妖精族である事を示している。

胸元と腰回りに水色のハイレグビキニアーマーを纏い、

優美な柔肌が露わで、水色のマントを羽織り、

首元と、両の太股の半ばから両足の爪先にかけて、

両の二の腕から両手に指先にかけての、計5か所にも、

水色のパーツアーマーを装着している。

 

 「…君は?」思わず戸惑うマミに、

水色ポニーテールの少女が、「お初にお目にかかります!」と、

片膝を突いて、「勇者様の従者に選ばれました、

フィリス・エルクレンデと申します!、お見知りおきを!!」と、

名乗る。

 

「従者!?、おれの!?」驚いて声の調子がはね上がるマミに、

「わたしの事は後にさせて頂きます!、それより、

緊急事態になってるんです…!!!!」と、フィリスが、

蒼ざめて、必死な表情で。

 

 「緊急事態!!?」厳しい眼差しになるマミに、

フィリスが、「竜族の城塞都市グラスディナウの中央庁舎に

カオスの波動が凄まじい勢いで集中して波動圧力が激しく

高まってるんです!!!!。ちょうど、竜族の皇帝陛下と

執政官閣下とマリン・マクガイヤー様が会談なさってる、

その地点で…!!!!」

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