8 マミ ワイバーンと戦う (2)
***
マミの、右の悩ましい太股が、しなり、右脚の捻りを加えた後方回し蹴りの、
踵から三日月状の虹色の光の刃が迸り、虹色の光を帯びた右脚全体が
大鎌を象って、やや斜め上気味の水平に1体のワイバーンを両断する。
同時に、マミが一直線に突き出した左手に握ったレインボーブレードから、
虹色の光の砲弾を発射し、1体のワイバーンを撃ち抜いて爆散させる。
2体のワイバーンの無数の歪な牙にまみれた顎が、マミの柔肌を
噛み裂こうとして、軽く浮いたマミに頭上を飛び越され、
次の瞬間にはマミの左脚の踵がその2体のワイバーンの後頭部を
連撃で撃ち据え、マミ自身の後方へと蹴り飛ばし、
蹴り飛ばされた2体のワイバーンの牙が別の2体のワイバーンに
勢いで捻じ込まれてしまって、噛まれた2体のワイバーンが爆散してしまい、
さらに次の瞬間には、噛んだ2体のワイバーンの背後に
瞬間移動に近い光速で迫ったマミの、V字状を描く、レインボーブレードの
斬撃で、斬り下ろされ、斬り上げられ、ワイバーン2体共両断されてしまう。
先程マミがレインボーブレードから放っていた虹色の光の砲弾が、
ワイバーンを撃ち抜いても消える事無く、
三日月状の光の刃に変化して、複雑な曲線軌道を描いてブーメランの様に
空間を舞い、3体のワイバーンを次々と斬り裂いて、光粒子に砕く。
右手で1体のワイバーンの左翼を掴んだマミが、片手で勢い良く
翼長約2メートルのワイバーンを、縦に、横に、袈裟懸けに、
棍棒の様に振り回し、そのワイバーンの両脚の鉤爪で4体のワイバーンを
切り裂いて、爆散させてしまう。
レインボーブレードそれ自体をブーメランの様に投げ放ち、
マミ自身の両腕両脚に虹色の強い光を帯びさせ、
両の手刀と両の蹴り足をまるで光の刃の様にして、
瞳を閉じて、フィギュアスケートにも円舞にも似た、舞い踊る身のこなしで、
虹色の重なり合う光の残像で空間を彩りながら、
次々とワイバーンを斬り裂いていく。
凄まじい高速で回転しつつ自在に空間を乱舞しているレインボーブレードも、
次々とワイバーンを斬り裂いていく。
ふと、マミが、両腕両脚でワイバーンを斬り裂くのを止める。
この上なく優美に空間を舞い踊るだけで描き続ける光の残像で、
次々とワイバーンを撃ち据えていく。
マミの肢体に、虹色の光に触れるだけで、
ワイバーンが次々と撃ち砕かれて光粒子へと散っていき、
気が付くと、残り37体全てのワイバーンが、爆散されてしまっている。
何時の間にか、黒紫の異次元空間から解放されて、
3人とも地面より少しばかり上で浮遊している状態で、
元の空間に戻っている。
フレナも、ミーユも、気が付くと、
戦うのを忘れて、ただマミに見惚れているだけになってしまっているのを、
思い知らされてしまう。
マミの、無造作に舞を終えて、何気無く肩幅に両脚を開いて宙に止まる、
その、仕草が、また、美しく。
ふと、そのマミが、フレナとミーユの方へと飛んできて、「!っ、
ごめんっ…!」と。
「…え!?、何で謝るんですか!!?」戸惑うミーユに、
「いや、その、きみ達の事護らないといけないのに、おれ、
自分に何が出来るのか幾つか試したりしちゃってたから…!」と、マミが。
「試す…?」フレナが、思わず、マミを見つめる。
少し気まずそうにマミが、「…おれ、自分で自分の能力が把握し切れなくて…、
これから先、もっと状況が厳しくなっていくはずなのに、
自分で自分に何が出来るのか分からないままじゃ、まずい気がして…、
…取り敢えず、出来そうな事は一通り出来た、みたいだけど…」
「…何が出来るか分からない状況で思い付いた事をやってみて、
わたし達が二人掛かりでようやく1体倒せるぐらいの強力なワイバーンを、
壊滅、させられるのね……」ほのかにため息交じりに、フレナが、
ほのかに、微笑む。
「すごいです!、勇者様…!!」何だか感動してしまった様な表情で、
ミーユが。
「…マミでいいよ。」苦笑気味に微笑んで、マミが、「…とにかく、
一刻を争う!、急いで、ヴァルテ神殿の総大主教の所へ行って、
洗脳波動の源を断ってしまいたい!。
フレナもミーユも、一緒に来てほしいんだ…!!」と。
ミーユが、思わず震えて、「!!っ、わたしもですか…っ!!?、
…でも、騎士団のみんなを置いて、わたしだけって……」と、
神聖騎士団の野営地の方へ、視線を投げ掛ける。
マミが、「…ミーユ、きみが、神聖騎士団の仲間を本当に護りたいって
思うんだったら、竜族との戦争を止める為に、協力してくれないか…!?、
きみは、神聖騎士団の元団長の、一人娘なんだろう…?」と。
「!っ、マミ様……」思わず、ミーユが、マミの瞳を見つめる。
「…様付けでなくていいんだけど…」また苦笑しつつ、マミが、
言葉を続ける。「…きみのストリンガルってラストネームと、
きみのアーマーに付いてる紋章を観れば、解る。きみは神殿の内情を
よく知ってるはずだから、力を借りたいんだ…!」
思わずフレナが戸惑って、「あの、でも、それじゃ、わたしが
一緒に行くのは、まずいんじゃ…!!?、神殿の人達は、
竜族のわたしの事、敵だと思ってるんだし…!!?」
マミが、フレナの方へ視線を向けて、「…フレナ、
きみには竜族の七大公王の息女として、成り行きを見届けて、
それをきみの口から竜族のみんなに伝えて欲しいんだよ…!」と。
「!!」フレナが、少し茫然と、マミの瞳を見つめる。
マミが、「…きみのグラストってラストネームは、
竜族の皇帝の側近中の側近の7名の公王の内の
1名の家柄を示してる。だから、人間族相手に戦争するのは
間違いだって事を竜族のみんなに伝える役割は、
きみに果して欲しいんだよ…!!、それに……」
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