7 マミ ワイバーンと戦う (1)

 

 

 

***

 

 

 黒紫が渦巻く異次元空間の中で、

ミーユが、3人を包囲している39体の黒紫のワイバーンに視線を走らせ、

思わず、(いけない!!、勇者様の足手纏いになっちゃ…!!!)と、

「だいじょぶです勇者様!!、わたし、戦いますから…!!」マミに、

真っ直ぐな瞳を向けて、ミーユ自身の飛翔能力を発動させ、

 

 フレナも、マントを外して超次元に収納し、

両肩から大型の、黄金に輝く竜の羽根を実体化させ展開して、

フレナ自身の飛翔能力を発動させ、

フレナ自身の竜の鱗を変化させた2本の黄金の大型剣「グラスヴァング」を、

両手に1本ずつ握り締め、肩幅に両足を開いて構え、

 

 思わず、抱きかかえていたミーユを解放したマミが、咄嗟に、

「!!っ、二人とも気を付けて…!!」叫びながら、右手を鳥の羽根の様に

翻し、その右手から2条の虹色のオーロラ状の光を放ち、

その2条のオーロラが、それぞれ虹に輝く宝石「ガッディスジュエル」に

変化して、ミーユとフレナの首元のパーツアーマーに、装着される。

 

 「…!!!」ミーユも、フレナも、思わず身を震わせる。

ミーユとフレナが装備しているハイレグビキニアーマーも、

一見露わな柔肌が無防備に思えるが、実際は全身をガードして物理攻撃も

魔力攻撃も防ぐ事が出来る不可視の防御バリアー「プロテクトフィールド」の

発動体であり、防御力は非常に高い。

それにも拘わらず、マミが二人に装備させたガッディスジュエルは、

プロテクトフィールドの上にさらに

防御の為の不可視の「ガッディスフィールド」を展開していて、

ミーユもフレナも二重に護られている状態になっている。

 

 7体のワイバーンの両脚の、片足3本ずつ合計42本の鉤爪が、

凄まじい勢いでミーユ一人目掛けて撃ち込まれ、

咄嗟に、重力制御で浮遊しつつ両の肩甲骨周辺から神聖波動を放って、

高速飛翔で鉤爪の包囲網を危く回避したミーユが、

神聖魔術で実体化させた聖銀の大剣を両手で握り締めて、

「ええいっ!!!」渾身の縦の一閃を1体のワイバーンに撃ち込む。

 

 ミーユの大剣が、ワイバーンの頭部で、受け止められている。

傷付く様子が無い。

 

 「そんな…!!?」即座に神聖魔術の感知でワイバーンの放つ波動を探り、

「アンデッドワイバーン…!!、でも、只のアンデッドじゃない!!、

カオスと融合してる…!!?」と、ミーユが、思わず、愕然と。

 

カオスとは混沌、物理法則を含めたあらゆる秩序が存在しない異次元空間、

万物が生み出される原初の空間とも呼ばれる空間であり、

またその異次元空間に存在する生命体に類似した邪悪なモンスターも

カオスと呼称される。

 

 隙が生まれたミーユの無防備な背中の優美な柔肌に、容赦無く、

1頭のワイバーンの鉤爪が撃ち込まれて、

 

 「!!!!?」ミーユが、驚愕する。

アンデッドに対して絶大な威力を発揮する聖銀の大剣が通じない

黒紫のカオスアンデッドワイバーン、

その、恐ろしい力の込められた一撃が、

マミに与えられたガッディスフィールドに完全に防がれて、

掠り傷どころかわずかな痛みすら感じない。

 

 「!!!っ、この…っ!!!」ミーユを背後から襲うワイバーンに

思わず怒りを抑えられないマミが、瞬時に、

右手の人差し指と中指をそろえて伸ばし、折り曲げた薬指と小指に

親指をあてがい、何となく拳銃を象った仕草のその右手の指先から、

レーザー状の虹色の光線を放ってミーユを攻撃したワイバーンを撃ち抜き、

何気無く爆散させてしまう。

 

 「…グラスヴァングが…、効かない…っ!!!」突き込んだ右手の黄金剣は

ワイバーンの胴体の黒紫の皮膚に防がれ、

袈裟懸けに斬り込んだ左手の黄金剣はワイバーンの翼に防がれ、

フレナが苦しげな表情を浮かべる。「…カオスが…

浄化出来ない…っ…!!!」

フレナの肢体目掛けて捻じ込まれているワイバーンの両脚の鉤爪は、

ガッディスフィールドに完全にくい止められている。

 

 そのワイバーンの背面に、駆け付けたミーユの聖銀大剣が、捻じ込む様に

突き込まれ、やはり黒紫の皮膚に防がれる。「フレナっ!!、神聖波動と

竜気波動をぶつけたら、浄化、出来るかも…!!」懸命に叫ぶミーユに、

「解った!!、ミーユ…!!」フレナが呼応し、

聖銀大剣が増幅するミーユの神聖波動が激しい渦となってワイバーンの

背面に突き刺さり、

2本の黄金剣が増幅するフレナの竜気波動が

交錯し合いながらワイバーンの胸腹部に撃ち込まれて、

ワイバーンの中心核で共鳴し、その波動の共鳴に中心核が撃ち砕かれ、

ワイバーンが浄化されて、白銀の光粒子と黄金の光粒子に変換され、

舞い散る。

 

 「やれる…っ!!」確信するミーユの頭上から、1体のワイバーンが

急降下で襲い、

「させない…っ!!」即座にその両脚の鉤爪を、フレナの

左の黄金剣の一閃、右の黄金剣の一閃が、弾き、そのままフレナが

黄金の羽根の羽ばたきで素早く後退し、

何とかミーユの柔肌に牙で食らいつこうとするワイバーンのその顎を、

ミーユの横殴りのしなやかな蹴りが、弾き、

「ええいっ!!!」ミーユの、渾身の、聖銀大剣の袈裟斬りが、

ワイバーンの肩から胸板へと撃ち込まれ、

「っ…!!!」フレナの、渾身の、左右の黄金剣の突き込みが、

ワイバーンの背面へと撃ち込まれ、

神聖波動と竜気波動の共鳴に斬り刻まれ撃ち砕かれて、

ワイバーンが光粒子となって爆散する。

 

 ふと、ミーユが、「!、勇者様は…!!?」と、身構え、

どこかのほほんと、フレナが、「あそこ。」と、指差す辺りに

視線を投げ掛けて「!!?」ミーユが、思わず茫然と。

 

 気が付くと異様にワイバーンが減っている。

 

 マミの全身が、優美な柔肌が、淡く虹色の光を帯び、

マミの、両腕が、両脚が、少し強く虹色の光を帯び、

水平にスライド上に飛翔するマミの、虹色の光の残像が、重なり合って、

この上なく美しい虹色の光の舞が、空間に描かれ続けている。












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