4 マミ 調査する

  

 

 

***

 

 

 惑星エルクヴェリアでは、全土に魔法科学技術で作られたインターネットが

張り巡らされていて、各種族の行政府、国政機関、マスコミ、企業、

一般庶民に至るまで、

ネットを活用して様々な情報を相互にやり取りしている。

 フレナとマミが入浴していた巨大浴場の脱衣室にも

椅子付きのネットの端末デスクは設置してあり、マミは早速、その端末で、

人間族と竜族の対立が深刻化していった経緯を調べている。

 

 「…500年間も仲良くしてたのに、こんなに急に対立が悪化するなんて

何かおかしい。どうも何か、陰謀の臭いみたいなものがする。」と、

深刻な眼差しで、服も着ないで調べ続けている、一糸纏わぬマミである。

 「わたしもそう思うわ。ミーユも同じ事言ってた。いくら何でも対立の悪化が

早過ぎる。何でこんな事になっちゃってるんだろう、って…」と、

傍らのフレナが、やはり一糸纏わぬまま、

ネット端末の大きめの画面を見つめている。

 

 「…確かに540年前にも同じ山脈でファルクリスタの旧鉱脈の奪い合いで、

人間族と竜族の間でかなり酷い戦争してるんだけど、その時の教訓で

戦争止めようって、人間族も竜族も平和尊重し続けてきてるんだよなあ…」

 「…500年以上前の教訓だから忘れかけてきても仕方無いのかも

知れないけど…」フレナが、悲しみつつ、唇を噛み締める。

 「…それにしても何か変だ。調べてて何か嫌な感じがする。何でか

解らないけど……」厳しい眼差しで、マミが。


「……臨戦態勢はまだ三個旅団だけど、人間族側は何時でも

数十万規模で動員出来る様戦争準備を進めてて、竜族側も

それに対抗出来るだけの動員が何時でも出来る様戦争準備を

進めてて……」マミの表情が、苦く。

 

 「…うーん、どう調べてみても、この対立で得をしてるのって、

軍備増強を進めてる人間族と竜族の両方に武器とか売り込んで

特需景気独占してる武器商人ギルドだけなんだよなあ…。

…人間族の政府も竜族の政府も戦争準備に莫大金注ぎ込んで

財政悪化させてるし、人間族も竜族も庶民は急な増税で

酷い目に遭ってる。人間族の商人も竜族の商人も

庶民が生活が苦しくてものが買えないから売上は減る一方に

なってるし…」首を傾げるマミに、

 

 「…それにしては、武器商人ギルドが対立を煽る様な政治宣伝を

してる様子が無い、っていうのが、解らないのよ…」と、

フレナが呼応する。

 

 「…ん…!!?」不意に、少し、マミが身を震わせて、

ネット端末の操作プレートから咄嗟に指を離す。

 「どうしたの!?」

 「…解らない…。…一瞬だけど、凄く嫌な波動を感じた…。」と、

マミが、そっと、もう一度操作プレートに指で触れてみて、「…もう

感じない…。…何だったんだ、今の…?」

 

 「…ガッディスブレインでも解らないの…?」と、フレナが。

 「…何しろなりたての勇者みたいなものだから。」と、少し苦く、マミが。

 

 「…動いてみるか。」と、マミが立ち上がる。「…とにかく一度、

ヴァルテ神殿の様子を観てみたい。ミーユって子にも一度直接会って

話も聞いてみたいし。」と少し微笑みつつ。

 

 「じゃあ、早速!」と、フレナが腕を振りかざすと、

黄金の光粒子の帯がオーロラの様にフレナの裸身を彩り、

その光粒子が物質化し、

フレナの胸元と腰回りに、黄金に輝くハイレグビキニアーマーが装着され、

首元と、両膝の少し上から両足の爪先にかけて、

両肘の少し上から両手の指先にかけての、計5か所にも、

黄金のパーツアーマーが、装着される。

フレナの柔肌が思い切り良く露わな装備ではあるが、

全身を覆う不可視のバリヤーの様なものを発生させていて、

防御力が非常に高いのもマミには解る。

 

 「…そのアーマー、竜の鱗が変化してるのか…!」と、マミが、

思わず見入る。

 「そう。わたし自身の鱗を変化させて身に纏ってるから、この装備だと、

鱗の感覚と人間としてのわたし自身の肌の両方で風を感じる事が

出来るの。」と、フレナが心持ち微笑み、「さあ!、マミちゃんも…!」

 

 「マミ…ちゃん…!?」思わず、少し頬を染めてマミが戸惑い、「…って、

そういえばおれこっちの世界に来てから何にも着る物無いぞ!?」

 「勇者なら勇者専用の装備が有るはずでしょ?」

 「ん!、そうか…!」と、マミが、ガッディスブレインと感覚を同調させて、

少しだけ両腕両脚を開き気味に、瞳を閉じて、

そのマミの裸身が足元から迸る虹の七色の光粒子の奔流に包み込まれて、

 

 マミの、豊満な胸元と腰回りに、蒼く輝くハイレグビキニアーマーが装着され、

首元と、両の太股の半ばから両足の爪先にかけて、

両の二の腕の半ばから両手の指先にかけての、計5か所にも、

蒼く輝くパーツアーマーが、装着される。

 

 脱衣室の壁の全身が映る鏡に、色々と向きを変えながらマミ自身を、

露わな柔肌を映してみて、「…何でハイレグビキニなんだろなあ…?」と、

恥ずかしげに、マミが頬を紅くする。

 

フレナが装着しているのもマミが装着しているのも、

エルクヴェリアに存在するほとんど全てのハイレグビキニアーマーと

同様の、腰回りから脚線へのラインをより美しく魅惑的に彩るデザインの

ハイレグビキニアーマーなのだけれども。

 

 「…ちょっと、ハイキックしてみて?」

 「ん!」高々と左脚を蹴り上げてみて、「そうか、ハイレグだと

脚が動かしやすいんだ…!」と、納得しかけて、「…それにしても

この露出度は…」と、やはり頬を染めるマミに、

 

「女神ヴェリアの加護は風に乗って世界を伝わっていくから、

肌で風を直接感じて子宮で加護を受け止める事が大切なのよ。

だから、特に子宮に近い肌はさらけ出しておく必要があるの。」と、

フレナが無垢に。

「!!、…子宮で、ね……」マミの幼い頬が、一層、真紅に。

 

 「…まあとにかく、」マミが、気を取り直そうとする様に。

「…神聖騎士団が竜族と戦闘を始める前に、ミーユに会わなきゃ。

…それに、その問題のファルクリスタ鉱脈のある山脈も、観ときたいし。

…少し試してみたい事もあるしさ…。」

 

 「…試してみたい事?」首をかしげるフレナに、

 「いや、まあ、実際現地に行ってみないと何とも言えないし。

…気配は消して気付かれない様にしといた方がいいか。

ミーユには極秘で会う様にしないと、トラブル起こしてもまずいし。」と、

応えつつ、マミが、無造作に神界波動を虹色の光粒子帯に変化させ、

物質創造魔術を発動させて灰色のマントを創り出し、

無造作に羽織る。「このマントで気配は消せるはず、と。」

 

 「…そういう事自然に出来ちゃうのね。」少し苦笑気味のフレナも

竜気波動魔術で気配を消す灰色のマントを実体化させて、羽織る。

 

 「じゃあ、行くか…!」と、マミが、

自身とフレナを次元転移させる神界波動魔術を発動させる。












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る