第21話〜談話〜

二人は薄暗い奥の部屋へ向かった。中にはランプがいくつか点灯している。


「にしたって、あんた魔王よりも魔王って目をしてるよ。とりあえずうちの軍勢は総勢でも百人くらいしかいないよ」


ラズベリは奥の部屋のソファーに腰掛け足を組みながらそう言う。欧斗も向かい側に座りそれを受けている。


「百人もいれば充分足りるさ、ラズベリ。とりあえず君の能力を教えてくれよ」


「能力?なんの事だい」


どうやらラズベリは能力という概念自体を知らないと言った様子だった。


「なるほど、そうか。折角だから教えておくよ」


そう言うと欧斗は糸の能力をラズベリに見せつけた。


「これは能力と言って魔法を持つ・・・そうだな、生物はこう言ったエネルギーを持っている、それを少し応用した力だ」


ラズベリは物珍しそうに欧斗が操っている糸を見つめている。


「なるほど、能力か。それに近い物を私も知っているよ。人間じゃないものの力、ただの物なんだけどあんたの言う能力に近いものを使える。」


そう言うと木でできた器を取り出した。それには全体の三分の二程の水が入っている。


「・・・!?」


その水に全く別の男が映る。


「おお、ラズベリさんか。どうしたんだい一体」


その男が答えた。どうやら通信手段になっているようだ。


「なるほど、自然物も元々は生命・・・そのエネルギーを使えばこういうことも可能という訳か・・・おもしろいね・・・」


欧斗はそれを見て納得した面持ちだった。


「まぁ、あんたの能力って奴は私たちは誰も使えないんだけどさ。この魔王軍領の中で最強って言われてる男ならもしかしたら使えるかも」


それを聞いて欧斗はその詳細について尋ねてみせる。


「そいつの名前は?」


「『アマツ』魔王教徒最高司令官。こんなカオスな国でもしっかりとトップに立って周りからは畏怖されてるよ。能力についての詳細は知らないけど『呪い』って呼ばれるものを使えるらしい」


「呪い?」


「まぁ詳しいことは後で話すわ」


ラズベリはそう言いまた男の顔を見て返事をする。


「今すぐ全隊を館に戻して。大事な報告よ」


ラズベリはそう言い木の器に手を当てると元の水に彼女の顔が反射する。


「いよいよって訳だ」


欧斗は少し笑みを浮かべ足を組んだ。

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